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笑えた話コミュの341笑「ありえない体験談」

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「ありえない体験談」




125 名前:カツオ ◆dOsYdwEUQg :04/03/28 17:11 ID:bj+u0A54



バイトを頑張ってお金を貯めてついに念願のハワイ旅行が実現することになった。

1週間7万円という手頃なお値段。

そして旅行当日。
俺はやや緊張した顔で機内に乗り込む。

初めてみるスチュワーデスはとても綺麗で、いい匂いがした。

俺の飛行機は高校生の修学旅行生のほとんど貸し切りで、俺以外はほとんどが高校生。

とてもうるさかったが、ここは我慢だ。

やがて夜になり、騒々しかった隣の女子高生も、ウトウトと眠っている。

初めて触る女子高生は、とても暖かかった。

そして、事態は起きた。

「アテンションプリーズ。お客様の中で、お医者様はいらっしゃいますか?」

ドラマのような緊急事態発生!

だが、あいにく、俺は医者ではない。

俺は気になり、近くにいたスチュワーデスに質問する。

「どうしました?どなたかご病気ですか?」

「ええ。実は機長が先ほど19リットル程度の血を吐いて、寝込んだままなのです。」

なんということだ。19リットルとは・・・。

16リットルの間違いではないのか?
19リッターは多すぎる。

機内にパニックが走る。
なんせ俺以外は学生しかいないんだ。
授業さえ可能なこの機内で、一体誰が病人を治せるというのか?

その時、女性の声がどこからか聞こえた。

「私は学校の保健室の者です。私でよければ。」

助かった!!
これでハワイに行ける。

俺は隣の女子高生の手を握りしめ、
指で、手のひらに「へ・い・わ」と書いてあげた。

だが、パニックはこれからだった。

またも警報が鳴り響く。
再び機内は騒然とする。

「先ほどの話はキャンセルです。事態はAレベルに悪化しました。
繰り返します。事態はAレベルに・・・。」

Aレベル?どういうことだ?
俺は気になって仕方がない。
座席のスチュワーデス呼び出しボタンを押す。

「どうされました?」

「ええ。あの、先ほどのAレベルとは、どういう意味ですか?」

「ああ、あれは緊急事態の最高レベルという意味です。」

「というと、死亡率が最も高い事態ということでしょうか?」

「その通りです。」

「具体的には、どういうことでしょうか?」

「はい。かいつまんで説明しますが・・・機長が「永眠」されたということです。」

絶句・・・。
そんなことが起きるとは。

もうどうすればいいのか分からない。

しかし機内は乾燥している。

「お茶を頂けますか?」

「ホットorコールド?」

「ホットプリーズ」

運ばれてきたお茶を飲み、すこし落ち着く。

そして、再び、機内アナウンス。

「お客様の中で、飛行機の運転をされたことがある方はいらっしゃいますか?
できれば軍用機ではなく、民間機の経験者でお願いします。」

俺はそれを聞いてガックリする。
高校生は飛行機の免許をとれるわけないからだ。
当然、俺もそんな操縦経験はない。

そしてすぐに機内アナウンスが響く。

「お客様の中で、車の運転免許、もしくは自動二輪の免許をお持ちの方、いらっしゃいませんか?」

ここでも俺は首を横に振る。
この高校生はみんな真面目そうで、免許なんてもっていないだろう。
俺も持っていない。

そして、最後の願いをかけたようなアナウンスが鳴る。

「ではお客様のなかで、資格を持っている方はいらっしゃいますか?
種類は問いませんので、挙手をお願いします。」

俺は、まっすぐに手を挙げた。
ワードとエクセルの修了検定をとったばかりなのだ。

そして、もう一人手が挙がる。

「今、手を挙げてくれた方は前に来てくれますか?」

俺ともう一人の真面目そうな男子高校生が前に呼ばれる。
みんなに見られているので少し、緊張だ。

「では、自己紹介と、持っている資格をマイクでみなさんに聞こえるように発表してください。」

ワーという歓声。
なんとか、俺も男子高校生も自己紹介を終えた。

「はーい。いいですか皆さん。これからこの二人のどちらかに運転してもらうわけですが、
どちらに運転してもらいたいか、みなさんの拍手の数で決めたいと思います。
いいですかー?それではいきます。」

「はーい!!」

「英語検定4級の、この高校生に運転して欲しい人ー?」

パチパチ。
まばらな拍手が鳴る。
男子高校生は顔を赤らめてうつむく。

「では、ワードとエクセルのこの男性に運転して欲しい人ー?」

パチパチパチパチ!!
轟音のような拍手。

高校生一同A「エクセル!エクセル!」

高校生一同B「駿台!駿台!」

俺を祝福する声と、期待する声。

そして、俺はスチュワーデスにうながされ、ついにコックピットへと足を踏み入れる。

「では、操縦の説明をします。飛行機のコックピットは、ウィンドウズとほとんど同じです。」

なるほど。たしかに、マウスがないだけで、似ている。
噂で聞いたことがあったが、本当とは。驚きだ。

「その棒が操縦桿です。前に倒したら前に進み、
横に倒したら横に行き、後ろで減速です。
Aボタンでレーダー、Bボタンで加速、
Cボタンでスチュワーデスがコーヒーを持ってきます。」

「なるほど。では、このYボタンは何ですか?」

「やめて下さい。女性にそんなことを聞くなんて!デリカシーが足りませんよ。」

スチュワーデスは顔を紅潮される。

恐らく、このボタンはそういう事なのだろう。

「では、発進します!」

俺は、足元のペダルを踏み込み、ハワイへと急いだ。

運転して3時間。

Cボタンを押し、8杯目のコーヒーを飲む。
運転にも飽きてくる。

「運転ご苦労様です。あと20分でハワイに到着です。」

そして、その言葉通りに20分後、ハワイが目前に見えた。

「これより降下です。降下方法は、右手の近くのレバーをぐいと引っ張って下さい。」

なるほど。簡単なものだ。
俺は、鼻歌まじりでレバーをひいた。

驚きだ。なんと、レバーは、根元からスッポリとぬけてしまった。

高度2万メートルのドリフである。

「あのー。これは長さんが亡くなったことに対する追悼でしょうか?」

俺は、申し訳なさそうに、抜けたレバーをスチュワーデスに見せた。

「・・・!!そんな馬鹿な!何か、替えになる棒はありませんか?」

「そんな事を急に言われても。あ、そうだ。」

俺は、飛行機の操縦がウィンドウズとほぼ同じという事を思い出した。

俺は、すごい速さでコックピットのキーボードをタイピングし、
「着陸」と打ち込み。returnキーを押した。

ギーという大きな音。
軽い衝撃。
そして、滑走路を走る音。
・・・助かった。

俺は、晴れ晴れしい顔で飛行機のタラップを降りる。
その時、背後から声がしたので振り向いた。

そこには、コックピットで一緒に戦ったスチュワーデスが立っていた。


「もう、行くの?」

「ああ。早くコカコーラを飲みたくてよ。」

「そう。また、会えるかな?」

俺は、照りつける太陽に少しまぶしそうに目を細め、

「メイビー。」

と、答え、一度も後ろを振り返ることなく、ハワイのビーチへと急いだ。




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