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エコロ書店コミュのそば・ババァ 4

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「そば・ババァ3」のつづきです。

<バランス>

車内がザワザワとし始めた。
電車が出発するようだ。
ホームの放送があり、ドアが閉まった。
電車が動き出す。
立川から約200mくらいは直線だが、その先には「右へ大きなカーブ」がある。

ふと、そばババァを見ると割り箸を持っていた。
シッポを出したな!その割り箸で決定的だ。
やはりアンタは「立ち食い 奥多摩そば」の従業員だ。
っていうか、アンタ、タッパー並べて割り箸持って、何してるの?


見ていると、私側に置いてあるタッパーから少しソバをつまみ、隣のタッパーに移している。
「ん? 自分の食べる分を増やしているのか? ズルいぞ、そばババァ!
 ダンナとそばババァの取り分の比は、3:7ってところか...
 だんだんやせ細っていくダンナと、ブクブク太っていくそばババァが目に浮かぶ...」
っていうか、こんなに混んでるのに、今いやらなくてもイイのでは??
電車は速度を上げていく。

作業が終了したのか、私側のタッパーのフタを閉めている。ソバの少ない方のタッパーだ。ダンナ用だ。
向こう側の満タンのタッパーは、まだ全開の状態だ。
オィオィ、タッパーがユラユラしてるぞ。バランス悪いぞ。大丈夫か?
乗客は固唾を飲んで見守った。
そのとき、電車は魔の「カーブ」に差しかかった。
電車が大きく右に傾く。
そして電車は揺れる。
乗客も揺れる。
私も揺れる。
そばババァも揺れる。

乗客は皆、転ばないように自分の体勢を保とうと、つり革や手すりにしがみ付くことに意識したため、一瞬だけ「タッパー」の存在を忘れた。
グラっと、マグニチュード8クラスの大揺れが襲う。
2つのタッパーがオバちゃんの手の中で暴れている。
「あ!」そばババァの短い悲鳴。
スローモーションで落ちていくタッパー。
「パコン!」と軽い音。
そばババァの顔色が蒼白になっていく...
そばババァのヒザの上を見ると、フタをしてあるタッパーをガッシリとおさえているが、もうひとつのタッパーが無い。
落ちたのはフタをしていない「そばババァ用」の夕食の方だった。
それでもお構いなしに電車は2回、3回と小さく揺れる。
「落ちたソバ」は、そばババァの前に立っているオジさんの革靴の上にブチまけられていた。
幸い、私への被害は無かった。

オジさんはまだ気づいていない。

つづく...

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