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魔法使いへの道コミュの第五章 アデプト それは始まりの日? 

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次の日、魔法学校へ行くと、照明が消え、
そのかわりに壁のキャンドルに火が灯され、
とても幻想的な雰囲気がかもしだされていた。

入口のところに、
あのメイド姿でお茶をサービスしくれたくるみさんが居て、
やってきた生徒一人一人に声をかけていた。
今日はメイド姿ではなくて、
白のシンプルなワンピースだった。

「今日は、特別な日ですから、
 よかったらそちらの部屋で好きな衣装に着替えてくださいね」
と衣裳部屋のようなところへと案内された。

モモは、フリルのついた短めの白のワンピースを、
サクラは、Aラインの薄い水色のシンプルなワンピースを選んだ。
着替えて、脱いだ制服をたたみロッカーに入れていると、
「そろそろ時間ですからご集合ください」
と教室の方から声が聞こえた。

急いで教室に行くと、男性たちはスーツ姿で、
生徒たちは全員ドレスアップしていた。
白いロングドレスに身を包んだローズ先生も、
いつも以上に美しかった。

「アデプトとは、魔法使いの弟子のことですが、
 本来は目覚めたものという意味があります。
 人間は元来、魔法を使えるようにと創られています。
 ところが科学技術に頼り過ぎてしまって、
 魔法を信じる心、自分を信じる心を失ってしまったために、
 魔法が使えなくなってしまったのです」

「今日、これから伝統にのっとった
 神聖で特別な方法によって、
 あなたの閉ざされていた扉の鍵を開きます。
 この扉の奥に魔法を使うための秘密が隠されています。
 魔法を使うためには、
 そのカギが開かれた扉を開けて、
 その中に入っていくことが必要です」

「では、お名前を呼ばれた方から、
 お一人ずつあちらの部屋へお越しください。
 くるみさん、誘導係をお願いしますね」

一人ずつ名前が呼ばれ、部屋へと入っていく。
くるみから手渡されたキャンドルを、
それぞれ手に持って、全員で大きなサークルをつくり、
静かに立っていた。

すると帽子をかぶりマントを身につけた
古典的な衣装の男性がその部屋へと入ってきた。
彼は、長い先の曲がった杖を手に持って、
その円の中心に座った。聖杯を持ったカメリアと
キャンドルを持ったローズがその両側に立った。

「では、ただ今より校長先生から、
 皆さんお一人ずつに聖なる儀式を行っていただきます。
 順に、前へと進み出てください」

一人ずつ順にサークルの中心、校長先生の前に立つ。
校長先生が杖を使って、
生徒一人ずつに聖なる儀式を行っていく。

ついに皆の最後のサクラの番だった。
「どうぞ、お座り下さい」
「あなたのお名前は?」
「高橋サクラです」
「高橋サクラさん、あなたは魔法を使って、
 この世界に善き光を広げていく、
 その心の準備はできていますか?」

校長先生の厳かな問いかけに、
サクラはきっぱりと答えた。
「はい」

そして、静かに目を閉じた。
何かが頭や肩、額に触れる感触があった。
そして上の方から何かが
頭のてっぺんに降り注いでいるような感覚があった。
良い香りがしてうっとりとしていると、
背後で美しい鐘の音が鳴り、拍手が、
そして「おめでとう」という歓声が響いた。

すでに終了したクラスメイトたちが、
拍手をして迎えてくれていた。
その中には、モモとケンタの笑顔もあった。

校長先生も立ち上がり、拍手で皆を祝福してくれた。

「同じ日に同じ場所でアデプトになった皆さんは、
 スピリットの段階から、
 何らかの御縁がある方同士です。
 どうぞ、何か困ったことがあった時に、
 お互いに支え合い、励まし合うことのできる、
 あるいは嬉しいことがあったときに、
 ともに祝福しあうことができる、
 よき仲間でいてください」

「さあ、隣の教室の方に
 パーティーの準備ができています。
 新しい魔法使いの方々の誕生を祝うために、
 皆さんの先輩の魔法使いの方々が、
 幸せになる魔法を駆使して作ったお料理をお楽しみください」

パーティーには、校長先生も臨席していた。
明るい場所で会うと校長先生は、
白いスーツが良く似合うケビン・コスナー似の紳士だった。

彼の父もやはりイギリスの魔法学校の校長で、
今、その学校は彼の兄が継いでいるという。
その魔法学校は、伝説の魔法使いとして有名な
マーリーンやセントジャーメインの母校でもあるらしい。

彼の母の家系は、安倍清明で有名な陰陽師で、
彼女の兄はある有名な政治家のお抱え陰陽師として
現役で活動していると、もっぱらの噂である。

校長先生は静かに立ち上がると生徒たちに祝辞を贈った。
「皆さんおめでとう。皆さんは、
 本日めでたくアデプトとなり、
 ある特別な魔法を使用しても良いという許可を
 宇宙から授かりました。
 アデプトの魔法、それが何であって、
 何のために使えるのか?
 それを各自、これからじっくりと探究していってください。
 そして、あなたにしかできない
 この世界の平和や人々の幸福のために
 貢献できる何かを見つけ、
 それをあなたにしかできない方法で
 表現していってください。
 では今日はパーティーを大いに楽しみましょう!
 皆さんの門出に乾杯!」

アルコール類は、人から正気を失わせ、
行動を自分でコントロールできなくするため、
魔法修行の初心者には御法度なので、
今日は魔法学校特製のジュースで乾杯だ。

まるでワインのようにも見える、
搾りたての葡萄ジュースだ。ほうれん草のキッシュや、
フィッシュ&チップス、ローストビーフなど、
魔法使いの本場、イギリス風の家庭料理が並んでいる。
どれもこれも、プロの料理人が作ったような出来栄えだった。

そのパーティーの席で、
サクラに得意のパソコンを使って、
皆で交流できる場所をネット上に
作って欲しいという声があがった。

早速、モバイルPCを持ち出したサクラは、
ミクシー上に「がんばれ魔法修行」という
コミュニティーを立ち上げて、
クラスメイト達を招待した。

このコミュにアクセスすれば、
現代魔法についての色々を知ることができるし、
またクラスメイトたちの近況を知ることもできる。

クラスメイトの約半数が、
中級クラスに進むことになっている。
初級から中級へと進級するかどうかは、
本人の意思に任されている。

中級、上級と進級するにつれて、
より多くの人たち、あるいは全人類の幸せのために
魔法を使っていくという、その責任も増していくのだ。

パーティーから数週間が経った。
コミュニティーへの書き込みによると、
学校の先生だった野口さんは、退職をして
不登校の子供たちのためのフリースクールを
信州の八ヶ岳の麓で開校する準備にとりかかっていて、
大学生だった美春さんは、
卒業後そのお手伝いをすることになった。
二人はいずれ結婚する予定らしい。

OLだったほのかさんは、
会社をやめて子供の頃からの夢だった看護師を目指すという。

ダンサーのリカさんは、遂にオーディションに合格し、
舞台デビューが決まった。

岡田さんは、自分自身の自由と健康のために、
息子の嫁との無益な争いに終止符を打ち、
趣味のバレエと一人暮らしを楽しむことにしたという。

クラスメイトそれぞれが、
新しい人生を歩き始めていた。

サクラとモモも、アデプトになってすぐに
高校卒業後の進路を決めた。
本当に自分がなりたいものが見つかったのだ。

サクラは高校を卒業したら、
大学に進学して心理学を専攻しながら、
盲導犬協会のボランティアをするつもりだ。
将来は盲導犬の訓練士になりたいのだ。
まだまだ不足している盲導犬。
その数を増やすために魔法を使おうと思っている。
そのためにも、もうしばらく魔法学校に通い
修業をつむことにしていて、
今はアロマセラピーのクラスを受講中だ。
植物の香りは、臭覚から大脳を刺激し、
記憶力の向上などに役立つ。
またストレスの解消にもよいということだ。
将来的には、臭覚が人間よりも敏感な犬に使う方法を工夫して、
盲導犬の訓練に役立てたいと思っている。

モモは大学に進学し、
ランドスケープデザインを学ぶつもりだ。
成績はいつも中の中だったモモが、
最近の模試の結果は、担任教師も驚きの
志望校A判定をもらっている。
これも魔法修行の成果である。
パパとママが出会ったような、
奇跡の噴水がある公園をデザインするのが夢で、
恋人たちの出会いをサポートするために
魔法を使いたいと思っている。
もちろん自分自身が、
パパとママのような素敵な出会いをするためでもある。
そのために、モモも、もうしばらく魔法学校に通い
修業をつむことにしている。
今はカラーセラピーのクラスを受講している。
都市景観の中にある色彩が、
人の心に与える影響を理解し、
それを上手く利用することができれば、
人と人が出会い交流する空間をデザインすることが
できるはずだと考えての選択だった。

サクラは、サイトにアップされた
八ヶ岳をバックにした野口さんと美春さんの
ツーショットの写真を眺めながら、
アデプトになった日の校長先生の問いについて改めて考えていた。

「アデプトの魔法とは何か?」
初級クラス修了者であるアデプトが使える基本的な魔法は、
自分の今いるスペースを善き光で満たすというものだ。
何もないところから、突然リンゴが現れたりするような、
センセーショナルな魔法ではない。

しかしながら、善き光で満たすこの魔法を
洗練することによって、
例えばリンゴが食べたいなと思っていると、
青森の友人から産地直送のリンゴが届く
というようなことが、起こるようになっていくらしい。

この宇宙の根源とつながって、
必要なものが常に供給されるという
流れを創ることができるようになるのだ。

アデプトになった仲間たちは皆、
毎日をイキイキと自分らしく生きている。
サクラとモモも将来の明確な目標を定め、
それに向かって充実した毎日を送っている。

人付き合いが苦手だったサクラは、
ケンタに誘われてボランティアサークルに所属し、
その仲間たちと早朝から町の清掃に取り組み、
さらに公民館のボランティアのパソコン指導員として、
パソコンが苦手なお年寄りとの交流を楽しんでいる。

一方、勉強が苦手だったモモは、
英語の成績では学年トップテン入りを果たしている。
近い将来、世界中の公園を視察して回りたいという
夢の実現のためだった。

「自分には出来ない」という苦手意識は、
単なる思い込みにすぎず、自分自身を制限し、
自分を不自由にしてしまう。

しかしながら、その思い込みを利用することで、
思ってもみない成果をあげることも可能だ。

「アデプトの魔法」それは「願いは必ず叶う」という
自分自身にかける魔法なのかもしれない
とサクラは考えていた。

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