ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

自作小説お披露目会場コミュのこいこいしようよ! 2−4

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「――さて、いよいよ「こいこい」だよ。こいこいは役が成立しても敢えてあがらずに別の役を増やすためにゲームを続行する宣言の事なの。このゲームの醍醐味はこいこいするかどうかの駆け引きにあると言っても過言じゃない。何故なら、役が増える可能性はあるけれど、ゲームを続行して自分の役が増えるより先に相手が役を作って勝負宣言した場合には、それまでに作った自分の役は潰されるリスクがついて回るからだよ」
「作った役が潰されるってどういう意味?」

 女子が聞いてきた。
 キキコは即答する。

「さっき勝負宣言したら得点を得られるって話はしたよね?」
「したね。で、増やしたい場合はこいこいを宣言するんだよね?」
「そ。でもね、こいこいを宣言して先に相手に上がられてしまった場合、どれだけ高い点数の役を成立させていたとしても相手の役の得点計算をしてゲームは仕切り直されちゃうの。さらにこいこいを宣言した方が親だった場合、親が相手に移って何処までも良い事がない。ま、その読み合いが熱いのだけれどね」
「うわー……」

 質問した女子がげんなりとして言った。


「それなら、こいこいしない方が無難という事でしょうか?」

 別の女子が尋ねてくる。

「現在における予め決めた持ち点を減算していく形式だと割と正攻法だね。しかも持ち点十二文なわけだから、札の紹介の時にざっくり触れた花見酒と月見酒が採用されているルールだとするとどちらか一方でも四分の一減らせるし、こいこいをして二つ成立させた上で勝負したから半分減らせるわけだから」
「でもよ、上手くすれば一気に全部減らし切る事も可能なんだよな?」

 男子が質問を投じてくる。

「もちろん可能。それ以外にも自分で成立を目指した役で減らせればスカッとするし、一気に減らし切った時の快感なんかは一度しちゃったら病みつきになっちゃう可能性もある。しかし、そういう拘った戦い方は当然こいこいというゲームの性質上、相手にもチャンスを与える事に繋がるからその辺注意ね」

 肯定の声が返ってくる。
 キキコは深く一息入れた。

「――とまあ、一連の流れは大体こんな感じ。最後に勝敗の決め方について触れてゲームの流れに関する説明を終えるよ。こいこいにおける勝敗の決め方は色々あるけれど、現在におけるこいこいは持ち点十二文を減らし合う減算形式が主流となっているからこれだけ覚えておけば多分誰とでも遊べると思う。でも、人によって――特に年配の人と遊ぶ時は他のルールでやる場合もあるし、どういうルールで遊ぶかは事前に決められもするから事前の確認を怠らないようにしてね。ルールを守って楽しく遊んだ方がずっと楽しいからね」

 キキコは微笑みながら言った。これを機に皆が花札を好きになってくれますように、という願いを込めて。
 その笑顔にクラスメイト達は見蕩れて呆然となり、頬を紅潮させた。黙っているのはもちろん、口を開いても同性から嫉妬よりも憧れが先にくるほどの美貌で晴れ渡った空のような笑顔を向けられたら誰だってこうなる。
 が、キキコは皆が紅潮している理由が分からないので首を傾げる。

「? 皆、急に顔を赤くしてどうしたの?」
「あー、気にしないで。ちょっと暑いなー、って思っただけだから」

 亜衣が手を団扇のようにしてパタパタを自分の事を扇ぎながら言った。
 クラスメイト達も似たり寄ったりな事を口々に言った。
 キキコは何だか仲間外れにされた気がして寂しくなったものの、皆の反応を信じて敢えて言及はせずに机に広げた札をまとめる。

「――さて、後は【役】に関して、だね」

 キキコがそう言った時、備え付けてあるスピーカーが起動した。

『――校内に残っている一年生の皆さん、見学会の準備が整いましたので各自見学したい部活動が行われている場所に向かってください。繰り返します。校内に残っている一年生の皆さん、見学会の準備が整いましたので各自見学したい部活動が行われている場所に向かってください。尚、何処で行われているかは既に配布してある部活動一覧表の方に明記されているのでそちらを参考にしてください。――以上で放送を終わります』

 そして、ハキハキと聞き取り易い女声による放送が教室に響いた。
 それを受け、キキコは『あちゃー』と頭を掻く。

「皆、ごめん。見学会始まるまでに説明終わらなかったよ」
「いいって、いいって。それより続けてくれよ」
「そうそう。後は役だけなんだからさ」

 すると、クラスメイト達からそんな声が返ってきた。
 キキコは反射的に尋ね返す。

「いいけど、皆、見学会に行かなくていいの?」
「いいから言ってんだよ。俺、行くところ決めてるし」
「私も決まっています。それにそういう人達はすぐに立ち去るかと」

 一人の女子の発言に周りはうんうんと首を縦に振った。
 それを受け、キキコは説明を続ける。

「分かった。じゃ、さくっと行くね」


次→http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=66379108&comm_id=4595819

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

自作小説お披露目会場 更新情報

自作小説お披露目会場のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング