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インドネシーアバウの24小説コミュの24(mcdonalds)?14:32-15:00

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14:32

デイビッド・パーマーは社長室で難しい顔をしながらソファーに腰掛けていた。
大きくひとつため息をつき、手元にあった電話のスピーカーボタンをプッシュしながら話しかけた。
「マイク。至急CTUの責任者に電話をつないでくれ」
--分かりました。そのままお待ちください。--

デイビッドはそこから見える別室を、ソファーに腰掛けたまま覗き込んだ。
シェリーがドレッサーの前で身支度をしているところだった。
シェリーはそれに気付いたのかデイビッドに言った。

「デイビッド、結局どうするの?」
デイビッドは意表を突かれたらしく、少し苦笑いをして答えた。
「君の提案通り、CTUに指示しようと思う。」
「そう…それがいいわ、デイビッド…あなたはこれからとても忙しくなるわ…
 おかしなクレーマーに構っている時間なんてないものね。」

「そうだな」そう答えたと同時に電話機のスピーカーからマイクの声が聞こえた。

--デイビッド…失礼…プレジデント・パーマー。そのままお話になれます。--

デイビッドは立ち上がり、腰に軽く両手を回し、数歩電話に近寄りながら話した。

「デイビッド・パーマーだ。」

--責任者のビル・ブキャナンです。ご就任おめでとうございます。--

「ああ、ありがとう。ところでブキャナン君、クレーマーの居所は掴めているのか?」

--はい。現在都内のパチンコ店の地下2Fの駐車場にいると思われます。
 現場で店舗クルーのトニー・アルメイダが監視中、店舗外にはチームが待機中です。

「なるほど。いつでも確保できる状況にあるという事だな。」

--爆弾投下の脅迫さえなければ…と言っておきましょう。--

「その事だが…私の権限で全世界のマスコミに事前対策を打とうと思う。
 『誹謗中傷が流れたとしても、それはテロリストによるものだ』
…と全世界のテレビ番組に速報を流そうと考えている。どう思うね?」

--なるほど…確かにそうすれば、テロの被害は激減するでしょう…しかし…--

「何か問題があるのかね?」

--はい、プレジデント…人質となっているクルーは…ジャック・バウアーです。--

「ジャック…あのジャック・バウアーか?」
デイビッドは眉間にしわを寄せながら電話機のスピーカーに目をやった。

--はい、プレジデントも良く御存じだと思います--

「もちろんだ。しかし…彼ほどの男が、簡単に人質になっているとは…考えられん…」

--お察しの通りです。
 方法は分かりませんが、パチンコ店の従業員を通じて我々に伝言を残しました。--

「伝言というのは…?」

--『てりやきチーズバーガー』です。覚えておいでですか…?--

デイビッドはその言葉を聞いて一瞬黙り込んだ。電話の周りをコツコツと歩いた。
シェリーが近づいてきて「何なの?」と聞いたが、それには答えずにビルに話しかけた。

「もちろん覚えている。私が作戦指揮を取った。
マクドナルド史上稀にみる大クレーム事件だ…」

デイビッドは更に続けた。
話の内容を知らないシェリーに対する配慮だったのかもしれない。
「『てりやきチーズバーガー』を発売しろとせまったクレーマーとマクドナルド幹部に繋がりがあるとの情報を事前入手し、ジャック・バウアーを3ヶ月間クレーマーの一員として潜入捜査をさせた。--

--…その通りです。結果クレーマーを一網打尽にし、関係していた幹部は退陣…
 あなたの提案したメガマックが大ヒットしました。
あの潜入捜査がなければおそらく『てりやきチーズバーガー』が新商品として発売されていたでしょう。--

「なぜバウアーは、今になってこの作戦名を伝えてきたと考える?」

--今回のクレームにも黒幕が存在します。
 バウアーは、何かしらの方法で潜入捜査を続けるという事を
我々に伝えたかったのではないでしょうか?--

「ふむ…潜入捜査か。
彼の事だ…それだけではあるまい…
 どうやら、バウアーも私と同じところに違和感を感じていたようだ。」

--どういう事でしょう?--

「今回のマックカードの被害予測金額はいくらだ?」

--平均単価の計算によると、マックカード1年分を5人分…
 299万8,620円です。--

「おかしいとは思わないか…
 CTU単独で処理できる上限金額300万円を知っているかのような金額だ。
 この上限金額はマクドナルド社内の人間しか知りえないはずだ。」

--マクドナルド内に内通者がいると…?--

「あくまでも予測に過ぎない…
 しかし…今はジャック・バウアーを信じ、クレーマーを泳がせる方が得策だろう。
 ブキャナン君、この電話は外に誰か聞いているかね?」

--いえ、『てりやきチーズ』の件がありましたので、私だけです。--

「黒幕及び内通者の件で進展があるまではマスコミへの事前対策の件は一旦保留しよう。
 できるだけCTU内でも情報を与える人間を絞るように徹底してくれ。」

--了解しました。--
横からシェリーが小声で口出しした。
「あなた!保留なんてとんでもないわ!
 すぐにクレーマーを確保して完結させるべきだわ。」

デイビッドは人差し指を口に当て、シェリーを睨んだ。

「ブキャナン君、引き続きクレーマーとのコンタクトを続け、進展があり次第報告を頼む。」

--分かりました。プレジデント・パーマー。失礼します—

電話が切れると同時にシェリーがデイビッドに近づいた。
「デイビッド!あなたの今の立場を考えて!
 もし失敗して、爆弾が投下されるような事があれば
 就任したばかりとは言え、あなたは責任を取ることを余儀なくされるわ…!」

「シェリー…バウアーには恩がある。
 今の私がこのポストにいるのは彼のおかげだ。
 もしも本当に内通者がいれば…それこそマクドナルドにとっての被害は尋常ではない。」

「でもデイビッド…!!」

「これは、プレジデントである私の決断だ!」
デイビッドはシェリーを制して強く言い放った。

シェリーは不服そうな顔でしばらくデイビッドを見つめていたが
やがて振り返り、無言で別室に去って行った。

そして、シェリーはドレッサーに置いてあった携帯電話を手に取り
デイビッドに気づかれないようにどこかへ電話をかけ始めた。


14:40

トニーは地下駐車場で相変わらずワゴンを見張っていた。
今のところ、そこから見える運転席の男性には動きはない。
相変わらずイヤホンを耳に当てた状態で腕組みをして座っている。

その時、手に握っていた携帯電話にメールが届いた。
トニーは折りたたみ式の携帯電話を片手で開き確認した。
地上で待機するチームの隊長からだった。
【全員が遊戯台の方向を向いているうえ、
新型インフルエンザ対策かマスクをしている人間も多く全員の顔を把握は不可
 ジャック・バウアーは現在未確認】

「くそっ…」

トニーはメールを閉じると時間を確認した。
時計は14:41を指している。監視を始めてかれこれ40分以上になる。

そう呟き、電話を閉じようとした瞬間に着信音が鳴った。

「アルメイダだ!」
--トニー、クロエです。--

「クロエ、待機中のチームに店内を確認させたが確認は難しい…!!
本当にジャックは店内から伝言してきたのか!?」

トニーは苛立ちもあり、クロエに対して一方的に話しかけていた。

--詳しい方法は分かりません…ただ、従業員を使ってこちらに電話をかけてきました。--

「『ルイーダの酒場』に向かうならそろそろ出なくてはならないが…
 ワゴンにも動きがない…!!場所は「123」で間違いないんだろうな!!」

--おそらく…。
トニー、すみませんがこちらの用件を伝えます。
プレジデント・パーマー夫人からあなたにお電話です…--

「社長夫人…??何の用だ!?」

--聞いていません。支局長には言わず、内々にあなたにつなげと…--

トニーは、一従業員である自分を知っている事を不審に感じたが、
社長夫人となれば無視できない。

「分かった!つないでくれ。ビルには言うな!」
--どうぞ--

「パーマー夫人、現場指揮者のトニー・アルメイダです。」
--初めましてアルメイダ。シェリー・パーマーよ。--

「ご主人のプレジデント就任…おめでとうございます。」
--ありがとう…ところで…あなたは今クレーマーを監視しているそうね。--

「はい、あるパチンコ店の駐車場で監視中です。」
--そう…すぐにでも突入出来る態勢かしら?--

「ええ…指示があればいつでも突入は可能です。なぜです?」

--実は、内々にクレーマーの強制確保をする事が決まったの--

「なんですって?CTUからは何も聞いていませんよ。
 今突入すれば…爆弾が世界中のネットワークに投下されます!
それに…人質もいます!」

--いい?爆弾の件は、マスコミを通じて事前に手を打ったわ。
誹謗中傷は事実無根だと、世界中のテレビに速報を出すわ。--

トニーは少し間を置き、シェリーに話しかけた。
「…なるほど…それは良い作戦です。
…それでジャック…人質は…!?」

--トニー、野暮な事は聞かないで--
シェリーは静かな声で『トニー』と親しみを込めて言った。

瞬間トニーは察した。
「まさか…見捨てるのですか!?」

--見捨てるとは言わないわ。いい?よく聞きなさい…トニー。
ジャック・バウアーが優れた従業員である事は主人も私も認めている。
でも今はマクドナルドにとって、主人にとって大切な時なの。
すぐにでもこのクレームをクローズしなくてはならない。
もちろん人質も無事に救出できる事を祈るわ。
でも、ジャック・バウアーもマクドナルドの優秀なクルー…
最悪のケースの覚悟はできているはずよ。--

シェリーは早口で、しかしはっきりとした口調でトニーに言った。

「パーマー夫人…なぜ直接私に…?」

--もしジャック・バウアーにもしもの事があった場合…
 指示をしたのが『社長』だと公になれば問題になるわ。--

トニーは顔をしかめ、俯き、車のハンドルにもたれかかった。
「私の独断という事にしろというわけですね…」

--成功すれば幹部ポストの座を約束するわ。
…そうならなかったとしても、あなたの生活は必ず私たちが保障する。--

トニーとシェリーの会話にはしばらく間が空いた。
重い空気を裂いたのはトニーだった。

「最後に聞きます。これはプレジデント・パーマーのご決断なのですね。」

シェリーは数秒黙り込んだが静かな声で答えた。

--そうよ。マクドナルドとしての決断よ。--

トニーは、電話をしたまま車を降りた。
「パーマー夫人、私の評価の話は任務遂行後にして下さい。」

そういうとトニーは電話を切り、そのままどこかに電話をかけた。

「チーム全員2F駐車場に集まれ!
ターゲットは駐車場南西の白のハイエースワゴンだ!!突入する!!!」

そう告げると電話をポケットにしまい、
銃を構え、車の陰に隠れながらワゴンに近づいて行った。

14:44

デイビッド・パーマーは一人で部屋にいた。
そしてネクタイを緩め結び目をほどくとテレビをつけた。
ソファーには新しいネクタイが数本かけられている。

テレビでは宮根誠二と呼ばれる男性アナウンサーが司会を務める番組が放映されている。
フリーアナウンサーになり関東地方のお昼の番組でも目にするようになった男だ。
かなりのやり手らしく、「浪速の『みのもんた』」と称される事もあるらしい。

「これくらい出来る男が我が社にも欲しい…」

デイビッドは毒づく宮根を見て薄く笑いを浮かべた。
しかし、その笑みも一瞬で消えることなった。
テレビ画面に思いもよらぬ速報が流れたのだ。

          ==ニュース速報==
==日本マクドナルドは、クレーマーによるテロが起きる可能性があると発表。==
==テロの内容は、世界中のネットワークを使用した誹謗中傷行為であるとの見解==
==『同日中に流れる可能性のある誹謗中傷の情報については一切事実無根』である==
==と世界中に呼びかけている。==

「なぜだ…!?」
デイビッドは頭を抱えながらテレビの前に立ち尽くした。
しかし、すぐに一つの結論に至った。

「シェリー…!!!」

パーマーは大声で叫びながら別室を覗いたが、シェリーの姿はなかった。

14:46
トニーは車の陰に身をひそめながら、目標のワゴンとは逆方向を向いていた。
一台の黒いセダンが地下2Fに入ってくる事を確認した。

その車はクリープ現象で進む程度のゆっくりとしたスピードだった。
トニーはその車に向けて、まずは指を3本立てた。
そして、一度指を握り込むと、今度は2本の指を揃え、ターゲットであるワゴンを差した。
その合図に、ゆっくりと進む黒いセダンが一瞬スモールライトを点滅させた。

トニーはそれを確認し、再度指を3本立てると、その指を1本ずつ倒していった。

すべての指が倒れた瞬間、黒いセダンは突如スピードを上げ、急ハンドルを切ると、目標のワゴンに突撃した。

トニーはワゴンの後ろから、銃を両手で構え、運転席へと回り込んだ。
運転席の男が戦闘不能である事を確認すると、
車のドアを開け、後部座席に向けて銃を構えた。
黒いセダンに乗っていたチームのクルーも同時に後部座席のスライドドアを開け放った。

しかし、トニーはすぐに銃を下ろした。
後部座席には人の姿どころか、段ボールやプラスチックのケースが積み上げられており、人の乗れるスペースすらなかったのだ。

「どういう事だ…!!」

トニーは、イヤホンをつけながら悶絶する男を見た。
イヤホンの先には、i-podがあった。
よほどの大音量で聞いていたのか、イヤホンから音が漏れていた。

苦痛に顔を歪めながらハンドルにもたれかかる男に対して
トニーが怒号を浴びせた。

「おまえは誰だ!?ここで何をしている!?」
その男は、「…さぼってて…すみません」と小さな声で呟くと、気を失った。

チームの一人が、後ろの段ボールを開け中を確認しながら言った。
「箱の中身は医薬品ばかりです。」

トニーは男の体を探り、胸元から財布を抜き取った。
その中に入っていたカードを順に取りだすと、一枚のカードで目をとめた。
そこには、「?布タートル 社員証 田中一郎」と書かれていた。

「こいつは…ただの置き薬の営業だ!!
 くそっ!!!どうなっている!!!!完全な人違いだ!!!!」

トニーはチームの一人に「後は頼む」と言うと、自分の車に戻りながら、携帯電話を取り出した。

--はいCTU—

「クロエ!!俺だ!!聞こえるか!」

--そんなに大きな声を出さなくても聞こえています。--

「ターゲットは『パチンコone two three』にはいなかった!!!どうなっている!?」

--監視中のワゴンはどうしたんです?--

「…突入したが、赤の他人が乗っていただけだ!!」

--突入したんですか!?確保命令は出ていませんよ!?—

「結果別の場所だと分かった!!携帯の電波が途絶えるパチンコ店は本当にここだけか!?」

--はい。docomo、au、softbank 3社すべての電波が通じないのは…
そのパチンコ店だけです。--

トニーは車に乗り込み車のキーを回してエンジンをかけた。
携帯電話をフリーハンドモードにし、ダッシュボードの上に携帯電話を立てかけた。
その時、『softbank』と書かれた文字を見て、トニーはハッとした。

「…しまった…そういう事か…!!!
 クロエ!どこか1社だけが電波の通じないパチンコ店を当たれ!!」

--そういう事…!?分かりました!
でも…さっきより検索条件が厳しいので…少し時間がかかります…!

「ジャックの伝言を伝えてきたパチンコ店の従業員は…
 確かに『イチニサン』の者だと名乗ったのか!?」

--いえ…実は…電波状況が悪く…最後の文字が「ん」である事しか…
 トニーが、「イチニサン」でワゴンを確認していたので…てっきりそうだと…--

「最後の文字が「ん」!? それは確かなのか!?」

--はい—

「マックの店舗向かいにある店だ!!「マルハ『ン』」だ!!!
 そこに絞って電波状況を当たれ!!!!」

そういうとトニーは車を急発進させ出口に向かって急ハンドルを切った。

--トニー!当たりです。
 マルハンの地下2F駐車場に限りsoftbankの電波状況が非常に悪いようです!!—

「すぐに向かう!!…しかし…!!すでに出ている可能性が高い…!!!
 このままでは見失う…!!!マルハンの駐車場からルイーダの酒場までのカメラを監視だ!」

--了解--

「クロエ、切らずにビルに代わってくれ!!状況を説明する…!!」

トニーは後輪を滑らせながら国道に飛び出した。
車道を走ってきた数台の車が、トニーの車をよけて縁石に乗り上げた。


14:55

秋葉原5kmと表示された青い看板の下を一台の白いハイエースが通過した。
新名は運転席と助手席の間に肘を置き笑みを浮かべながら手元の紙幣を見ていた。
新名を含め、4人の口の中には飴玉が入っている。

ショット☆ガン、スイッチ、モルダーの3人についても
心なしか緊張感のない顔つきをしていた。

新名は飴玉を舌で転がしながら慣れない手つきで札を数えた。

「82,000円か…久しぶりの大金だ…等価交換とはなかなかの強運だな。」
そう言うと新名は最後部にいたジャックを見た。

通常パチンコで遊戯を始める際は、1玉4円で一度に500円分を購入する。
通常、換金をする際には、1玉の価値が下がり、3.5円や3円程度の価値になる。しかし、「等価交換」というのは現金に換金する際にも、
購入時と同じく1玉4円の価値で交換する事が出来るというものだ。
82,000円の現金を手にしているという事は、20,500発を出した計算だ。

「『マルハン』が良かっただけだ!しかし新名…!なぜ止めた!
 確立変動は終わったがまだまだ出る可能性があったぞ!」
ジャックは新名の目を見ずに言った。

「そう怒るな、ジャック… こっちにも色々予定がある。
 余り玉で『カロリーメイト』を食べさせてやっただろう。
 足りないなら飴玉でも舐めてろ。
 3個か!?甘いの3個欲しいのか?いやしんぼめっ!」

新名はジャックの顔に狙いを定め、むき出しの飴玉を3つ投げつけた。
その飴玉は、手足を縛られたジャックには受け取ることが出来ず、
顔に当たって地面に転がった。

「…んだよ…3つとも『歯』で捕れよ…」
それを見ていたスイッチがぼやいた。

新名は「セッコ(※1)じゃあるまいし無理か!」と言い、
スイッチと共に機嫌良く笑った。


ジャックは新名の方向をようやく見た。
「新名…モスバーガーには行かないのか?
 昼食もまだだろう…!!せっかく現金が入ったんだ。先に行かないのか!?」

新名はジャックをしばらく見つめて言った。

「…次の任務が終わってからだ。現金があるんだ。
 そんなに焦る必要もない。」

ジャックは無言のまま数秒間新名を凝視していた。
新名はその視線を嫌ってジャックに言った。

「なんだ!?何か言いたい事があるのか?」

ジャックは一度俯き、鋭い目で新名を見上げこう言った。

「新名…俺にもモスを食べさせてくれないか…」

その言葉に、新名を始め、残りの3人も耳を疑うような反応を見せた。
運転席の「モルダー」がバックミラーの照準をジャックに合わせて第一声を発した。

「馬鹿な!!!マックの従業員がモスを食べるって事は…
 それは即ち…自分の従業員生命を断つに等しい裏切り行為だ!!
 考えられないっ!!!」

「その通りだ!!フジテレビで『ズームイン』と言うようなものだぞ!!」
助手席のショット☆ガンも続いて言った。

スイッチは、半分口を開け、唖然とした顔をしている。
新名が掌を前方の2人に向けて、ジャックに話しかけた。
「ジャック・バウアー…それは…俺たちの仲間になりたいという事か?」

その問いにはジャックは、首を振った。

「一度モスバーガーを食べてみたいだけだ…!
 噂に聞くクオリティの高いハンバーガーを一度口にしてみたい。」

「…何もこの金で食べる必要はない。いつか勝手に食べろ。」

「新名、聞け。
 俺はお前たちのためだけにパチンコを打ったわけではない…!!
 俺もモスバーガーが食べたい。
 そしてマクドナルドの店長という立場も守りたい。
 自分の金でモスを飲食すれば、足がつき、マクドナルドを首になる可能性もある。
 だからお前たちがモスを購入する際に一緒に買ってもらう必要がある!
 一時的に手を組むんだ…!!
 お前たちはマックカードを手に入れたいんだろう!!
 俺はマクドナルドのやり方を知り尽くしている。
 マックカード入手に協力する!!どうだ!?」

ジャックの表情からは冗談めいた雰囲気は漂っていない。
ただ、新名はすぐに情に流されるような簡単な人間ではない。

「バウアー…そんな取引に乗ると思うか!!
 モスを食べるだけなら俺たちではなく、友人にでもお願いするんだな。」

新名はそう言うと、鼻息を飛ばしながら前を向いた。
ジャックはしばらくタメを作り、新名の背中に向かって話しかけた。

「俺には…そんな友人はいない。」

その言葉に新名が前を向いた状態で止まった。
他の三人も全員がその言葉に息をのみ、一瞬車内には静寂が走った。

「家族は?」新名がそのままの姿勢で問う。

「妻は死んだ…娘がいるが…見限られた。俺は1人だ。」
ジャックは歯を食いしばりながら答えた。

再度車中を沈黙が襲った。
しばらくして静寂を破るように、誰かが小さな声で呟いた。

「俺たちと同じかもな。」

車は人通りの多い大通りに出ると道路の脇に車を寄せた。

全員が新名の顔を見ていた。
新名が1人1人見渡すと、彼らのそれぞれが一度頷いてみせた。
そして振り返り、

「モスを食べる前に、裏切りがバレないように気をつけるんだな!」

そういうと座席のシートをまたいでジャックの横に座り、持っていたバタフライナイフでジャックの手足の縄を切った。

「上手くやるさ」

ジャックは縛られていた手首を握り、ほぐすように回転させた。
新名はその様子を、ナイフをジャックの顔に向けて凝視し、
低く、力の入った声で言った。

「共同戦線だが武器は渡さない。裏切るな。」

ジャックは頷き車内の窓に顔を近づけ、現在位置を確認した。

15:00

続く→http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46881848&comm_id=4580506

(※1)セッコとは「ジョジョの奇妙な冒険」第五部に出てくるキャラクターです。
「3個か〜」のくだりは、知る人ぞ知る、同じく第五部のチョコラータのセリフです。
参考?:チョコラータがセッコに角砂糖をチラつかせる。
http://www.geocities.jp/hobby_room_pearl/jump/daiamon/27-20-jojo3-2.jpg
参考?:チョコラータが角砂糖を振りかぶる
http://www.geocities.jp/hobby_room_pearl/jump/daiamon/27-23-jojo4-3.jpg
参考?:チョコラータが投げた角砂糖を口でキャッチするセッコ
http://www.geocities.jp/hobby_room_pearl/jump/daiamon/27-26-jojo5-2.jpg

コメント(3)

> そんなに大きな声を出さなくても聞こえています



本当にクロエが言いそう笑

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