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iM@S サイドストーリーコミュの蒼い鳥 その7 1/2

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 翌日。
 今日はドームを使ってのリハーサルだ。千早と春香をタクシーで先行させ、俺は律子と事務所で落ち合い、事務所の車で向かうことにした。トップアイドルの現場を見学したいと言う、律子からの要望なのだが、ほんの一年前には自分がその立場だったんだから今さら、と言う俺に律子は、
「あの時は演者側でしたから」
「そう言うもんかね━━━━それはそうと、今日はレッスンあるんだろ? 良いのか? 立ち会わなくて」
「大丈夫ですよ。まだデビュー前ですから、基礎練習みたいなものですし。それに素地はもう整っていますから」
 ま、美希なら心配ないか。
「それで? 今日の予定は?」
「んー、朝からゲネプロ二回通しのダメだし。諸々調整した後に仕上げでもう一回ゲネプロって感じかな」
「げ! ハード……。どおりで朝から現場入りしているはずだわ」
「今回はオケでストリングスも入ってくるからなあ」
「ってことは、オケリハとバンドリハはまた別で……」
「やるのだろうね。時間の許す限り」
「あたしの時とはエライ違いだわ」
「今回は舞台装置も凝っているからなあ━━━━それはそうとさ」
「はい?」
「あんまり驚かないのな」
「なにがです? 企画のことですか?」
「それもあるんだけど、千早のことが、ね」
「ああ。まあ、多少はね。でも、意外ではないですよ。ずっと千早の夢だったことですし、なによりも……」
「……ん?」
「この秋月律子をトップアイドルに仕立てた人のプロデュースですから」
「……そう言われてもなあ。俺はお前について行っただけだし」
「ちょっとちょっと、そんなこと言わないで下さいよ。自信が揺らぐじゃないですか」
「自信?」
「ええ。あたしを育てた人を、あたしは手本にしているんですから。否定はさせませんよ? あたしがその証明なんですからね━━━━って、なんですか、人の顔をジロジロと。危ないから前見て運転し下さい」
「……いーや。別に」
 案内表示が西神田の出口を示した。俺は車を左に寄せる。
「とりあえずさ」
「はい」
「企画のことは、もうすぐ局のプロデューサーから連絡が来るから、それまでは秘密と言うことで。うちの娘の誰にも言わないでおいてくれ」
「ええ、分かっています」
「それから千早のことも、俺から切り出すまではトップシークレット扱いで頼むわ」
「はい、分かりました」
 ま、こいつには言うまでも無いことではあるんだけどさ。

 現場に着くと、リハーサルは既に始まっていた。俺と律子はとりあえずディレクターと舞台監督のところへ挨拶に行った後、舞台袖からリハーサルを眺めていた。
「指示とかしないんですか?」
「これだけ規模が大きいと、もう俺が口出しすることは無いよ」
「それもそうか━━━━それにしても」
「ん?」
 律子の方を見ると、息を呑む様に舞台を凝視していた。
「凄いわ……。ここまでとは思いませんでした」
「そうだろ」
「テレビ画面からでは伝わらない、こう、なんて言うか、ビシビシ来ますね」
 力7割と言ったところだろうに、間近で見る二人のパフォーマンスは、まさに完成されていないけれど洗練されたそれだった。
「俺としてはさ」
「はい?」
「……」
「なんです?」
「いや。なんでもない」
 正直に言うと、複雑な気持ちなんだ。
 なんとかその言葉を飲み込んだ。
 律子は怪訝な顔で、俺と二人の姿を交互に見つめていた。

その7 2/2へ
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