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神戸三宮・焼き鳥のんちゃんコミュの第一回のんちゃん寄席

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お店に張り紙があったので、知っている方はご存じだと思いますが、本日、神戸大学落語研究会による「のんちゃん寄席」が開催されました。
今回、お誘いを受けて解説チラシを作成しました。
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第一回 のんちゃん寄席
2010年5月30日

わざわざのお運び、ありがとうございます。今回の演目は
「牛ほめ」と「阿弥陀池」
 どちらの噺も、「アホが人の言うことを真似してしくじる」というもの。これが舞台や材料が変わると、どう噺が違ってくるか、聴き比べてみて下さい。


牛ほめ
 我らが主人公のアホ、池田のおじさんの家を褒めて小遣いを貰おうと、家の褒め方、牛の褒め方を習います。いざ池田へ行って家を褒めようとすると……。
 大体落語の主人公が小遣いにしようとか、一杯呑ませて貰おうとか、下心で何か褒めますと、たいていスカタンなことになります。「子ほめ」という噺では、
「この子、人形みたいやな」
「ありがとう。もう何も言うてくれるな。その一言だけでどれだけうれしいか」
「おなか押したらキュウキュウ鳴りよる」
「死んでしまうわ!」
 無茶なことをします。
 家を褒めたり牛を褒めたり、結構小難しい言葉が出てきます。題の「牛ほめ」、牛を褒める言葉ですが、「てんかくちがんいちこくろくとうにしょうはちごう」、耳で聞いても、なんのことやらわからん。漢字で書くと「天角地眼一黒直頭耳小歯違」となりますが、よけわからん。あの天神さん、菅原道真公でさえ、これを聞いて「一石六斗二升というのは、牛の値段じゃろ」と言わはったとか。……これ、嘘やありません。人形浄瑠璃『菅原伝授手習鑑』の「天拝山」の段に、ちゃんと書いてあります。
 上方落語の噺は、明治頃のものが多いのですが、我らが主人公、おそらく住んでるのは大阪の町中、今でいえば梅田から難波の間くらいに家があったと思います。そこから小遣いもらうためだけに池田まで歩いて行くわけですから、昔の人は健脚やったというか、このアホが他にすることがなかったというか……。のどかな時代です。

阿弥陀池
 こちらは、新聞を読んでないばっかりに一杯食らわされた主人公が、同じように他人を引っかけようとして失敗する噺です。もともとは短い噺やったそうですが、これを血沸き肉躍る(?)爆笑長編落語に仕立てたのは、「浪花恋時雨」で有名な初代桂春團治やったそうです。
 落語というのは、あまり年月日のはっきりしたものがありません。江戸時代か明治になってからか、大体はそれくらいしかわからん。その中でこの「阿弥陀池」という噺は、珍しく、時事ネタを扱うております。和光寺で賊に襲われた尼さん、賊に向かって「私の夫、山本大尉は、過ぎし日露の戦いに、乳(ち)の下を一発のもと打ち抜かれ、名誉の戦死を遂げられた」と言います。近代日本にとって二度目の対外戦争で、前の日清戦争とは比較にならん数の戦死者を出した、このことは去年テレビにもなりました『坂の上の雲』にも出てきますが、大阪にも大量の戦争未亡人が生まれていたわけでございます。戦地から生きて帰ってきたはええが、生活がたちゆかん、それで盗人に身を落として、という人間もおったに違いありません。
 また、日露戦争というのは、新聞が戦況を中継した戦争でもあります。我々が湾岸戦争やイラク戦争をテレビの実況中継で見てたのと同じように、日露戦争では戦況を毎日の新聞で知った。そういう時代やっただけに、「新聞読まんと世間のことがわからん」と言われるわけです。この「阿弥陀池」、明治の終わり頃という時代を色濃く反映した時事落語でもあるのです。
 余談ですが、この阿弥陀池、歴史的にも有名なところでございます。時は大和朝廷の時代、遠く百済から日本へ献呈された阿弥陀像を、時の豪族・物部氏により池へと捨てられてしまいます。ある日その池の近くを通っていた本田善光、我を救えとの阿弥陀のお告げにより、阿弥陀像を池から救い、遠く信州へ連れて行き、寺を建立した。その寺こそが本田善光の名前をとって善光寺、阿弥陀像の見つかった池を阿弥陀池と呼ぶようになった、そういう言い伝えがあります。


《おまけ》
『菅原伝授手習鑑』から「天拝山」の段。お家で、ご興味がありましたらお読み下さい。
君を思へばよやヨホイホ、結ぼれ糸のハリナ、解けぬ心がつろござる、イヨつろござる、辛き筑紫に立つ年月。御痛はしや菅丞相、讒者の業に罪せられ、埴生の小屋の起き伏しも、昨日と暮れて今日は早や。延喜三年如月半ば、空も春めく野山の眺め、野飼に召させ奉り、わが楽しみは在郷唄、「君を思へばよやヨホイホ。ハヽヽヽ、ハア何をがなお気晴らし。しはらくさいどつてう声、牛殿の手前も面目ない。エヽ見れば見る程見事な毛並み。角の構へ眼の備へ頭持ちの様子骨組肉合ひ。惣毛一色(いっしき)真黒黒牛、渡り繻子(しゅす)も及ばぬ色艶、天角地眼(てんかくじがん)一黒直頭(いちこくろくとう)耳小(にしょう)歯違ふ。天晴れ御牛候よ、ちよちよらのちよせい」と誉めにける。菅丞相は珍かに、聞き馴れ給はぬ賞め詞、「ヤイ白太夫、春は耕し秋は刈穂の稲を負せ、耕作の助けとなる、牛の善悪よく知る筈。天角地眼と申せしは角と眼の備への事、一石六斗二升とは牛を買取るその価、升目に積る物やらん。語れ、聞かん」と仰せける。「さつてもしたり、天下にありとあらゆる事ども、余さず洩らさず知つてござる丞相様。牛の事はご存知なくお尋ねに預るは、百姓に生れたこれも一得。お慮外ながら、ヘヽ牛の講釈、マヽヽ聞かしやりませ。エヽ一黒と申すは俵物の石目ではござりませぬ。毛色を吟味する時は黒いが極上、それで一黒。次に直頭とは頭の見どころ、頭(とう)とはかしら、何方へも傾かずまんろくながよいさかいで、直頭(ろくとう)と申します。耳小の耳(に)は耳、小は小さし、随分耳は小さいを好みます。さて歯違ふとはきやつがおね/\にれを噛む、上下の歯先揃ふは悪し。五一(ぐいち)に生へたが歯違ふの歯の見どころ。次第を上から言ひ立つれば一石六斗二升八合、牛の講釈、モーウ仕舞ひでござんまする」

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