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油井ゼミ 北崎リーダーグループコミュの改良版 グローバル化の問題点(公共選択論はまだw):担当 まさし

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グローバル資本主義自体の矛盾

ここでは、現代社会の根底的存在である資本主義の問題点を指摘していく。

1 生産と消費の分離

グローバル化社会と呼ばれる現代はまさに未曾有の世界といえる。1991年社会主義を代表とするソ連の崩壊で、アメリカを筆頭として資本主義勢力は向うところを敵なしに暴走をし始めた。ちょうどそのころコンピュータやインターネットの開発の進展により金融や情報の移動が一瞬で可能となり、グローバリゼーションという言葉は生まれた。一国内の資本主義は資本家(企業)と労働者(消費者)の関係が経済発展のなかで絶妙な位置を占めている。賃金の上昇は商品の需要上昇につながるからである。一国内の市場の消費者は労働者であるため、経済成長に伴い労働者の賃金が上がって行くことは企業自身の利益へとつながる。けれどもグローバル資本主義は生産と消費の関係が分離されている。資本家(企業)は利潤最大化を求める。先進国の資本家(企業)は生産コストをさげるために自国内の非熟練労働者を正社員として利用するよりも途上国の安い労働力を利用したほうが利益を追求することができる。消費者が必ずしも自国の労働者とは限らない。途上国であれば生産された商品は先進国に輸出され消費され、途上国内の労働者が消費者となるわけではない。先進国の投資により途上国も徐々に経済発展をしていき、人件費上昇の圧力が起こってくる。そうした場合、先進国はさらに貧しい国へ労働力を求めていくことで、利潤最大化を得るのである。生産拠点が自国内ではなく安い労働力の途上国に移されている場合、先進国では中流階層の労働者の失業が目立つことになる。日本では、今や3人に1人が非正規労働者であるのが問題となっている。


2 格差の拡大

グローバル資本主義により富国の内部、貧国の内部でも、富者と貧者の格差が
大きくなっていた。勝ち組、負け組みと言われる現象である。先進国を代表とするアメリカは最大の格差社会である。確かに全体の経済成長率を見た場合所得の上昇は平均して一貫してあがっているが、現実的には一握りのスーパーリッチ層と圧倒的多数のワーキングプアの二極化がみられる。「競争の結果、負け組になった者が貧しくなるのは自己責任」、「就職できないのは本人の努力が足りないためで自己責任」といったロジックにより低所得者層に対しての救済の措置が行われない限り格差はさらに広がっていくだろう。日本もまさにアメリカに次いで今や格差社会となってしまった。富の集中(所得の集中=購買力の集中)が起こると、富を得た人が、生産された商品とサービスの全量を購買できなくなる。「一部の人がその年に消費できる量」には限りがあり、たとえばビル・ゲーツは、個人所得分を、その年には使いきれない。使いきれなければ、余る。ビル・ゲーツ一人だけではなく、人口の5%が富者になり、他は所得が伸びない状況(米国)ではどうか?富を得た人は、消費分の残りを、多額の金融資産や株としてもつことになる。その金融資産や株が、持たざる人に万遍なく融資され、投資されれば、余剰生産物も購買されて、経済は正常に回る。しかし、そうはならない。金融や投資の向かう先は、「富者間でのやりとり=金融資産の増加=裏では負債の増加」になる。そうなると、「実質」金利は下がり、一部への投資集中で、株は上がる。上がれば、他国からのマネーも庶民マネー(米国の401K)も「儲けの機会に遅れまい」とバンド・ワゴン効果でそこに殺到する。これが、金融資産と株をさらに膨らませる。バブル現象はこのようにして起こる。直接金融の米国のバブルは、土地が中心だった間接金融の日本とは異なり、株が問題となった。



3 貨幣の商品化

グローバル資本主義がもたらしたもうひとつの問題は情報通信の発達によるものである。安い金利で調達した資金を何倍にも膨張させることを可能にするレバレッジ経営ではモノづくりよりも、マネーそのものが注目され、目先の利益を追い求めたビジネスが展開される。そもそも貨幣とは単なる取引における交換の手段に使われる道具にすぎないのに、その貨幣があたかも商品のごとく市場で売り買いされることは実体の伴わない行為である。20世紀末に金融工学が実用化されるに伴い、貨幣を商品としたマネーゲームはいよいよ勢いを生じてバブルを引き起こして巨額の負債の山を残した。サブプライムローンもマネーゲームのなりの果てに生まれた商品といえるだろう。現代日本のバブルの膨張と破裂の経験は、目先の利益を追い求める現代経済の特徴と問題点を示してくれているといえるだろう。「経済大国」日本は、海外で300万人ほどを雇用しつつも、国内ではリストラと人減らしを加速させ、300万人を超える過去最高の失業者を排出している。財やサービスの生産や販売が主な経済活動である間は、景気循環的な不況をどう克服するか、といった問題で済んでいた。それが、マネーの自己増殖的なビジネスが自己目的化し、モノづくりをともなわない金融経済が独り歩きをしはじめると、事態は一層深刻になる。巨大マネーがいとも簡単に国境を越えて移動できるようになると、一国の国民経済自体がその存亡を問われることになる。目先の利益を追い求めたルールなき資本主義が暴走しはじめるからである。言い換えれば、「市場」の論理によって、「国家」と「市民社会」が選別され、再編成され、翻弄されてしまうことを意味する。


4 効率性の問題

資本主義社会の前提には、完全競争、情報の共有などがあるが、資本、原料、技術、組織、情報等、諸他財・サービスを利用することのできる労働力を持つ労働者には価格についての情報が与えられておらず、移動についても制限がある。つまり、グローバリゼーションは資本・金融を対象としているのみである、ということである。労働力のグローバリゼーションは世界大の「労働市場」を、瞬時に、実現する。「一人当たりの国民総生産 GNP p.c.」を使って、表現すれば、1998年現在、100ドルのエチオピア、110ドルのコンゴ民主共和国(旧ザイール)、140ドルのブルジン等、低所得国の平均は520ドル、2600ドルのコロンビア、3600ドルのマレーシア等、中所得国の平均は2950ドル、高所得国では、40,080ドルのスイス、34,330ドルのノルウェー、33,260ドルのデンマーク、32,380ドルの日本等、その平均は25,510ドルほどであることがわかる。利潤最大化を労働者がとることを考えると、労働者は自由な利潤追求に生きるから大移動がは始まり、低所得国の35億1500万人だけでなく、中所得国の14億9600万人、合わせて50億1100万人、もの大波が、 8億8500万人の先進国に押し寄せることになる。これは瞬時に始まり、瞬時で終わる。その結果は、ほぼ誰もが現在の世界平均4890ドル近辺に納まるが、これは生活水準を、先進国全体では1/5以下、日本ではほぼ1/7に急落させることを意味する。しかし、現実はそうなるはずもない。各国政府は軍事力と警察力で国境を固めているからである。直接投資を促し多国籍企業を展開させ、途上国に産業を興して労働の機会を提供し、国民全体にもトリッキング・ダウンの(滴り落ちる、又は、おこぼれに与かれる)利益が浸透し、結果的にはキャッチ・アップの機会を提供しているのだから、という開発主義者の見解は、先進国の立場、資本の立場を代弁するに過ぎない。なぜなら、直接投資と開発援助の後に残るものが莫大な累積債務と地元産業の崩壊であることの他に、先進諸国からの海外進出は、途上諸国の廉価な労働力を廉価なままに、そして劣悪な労働条件下に、隔離して徹底的に搾取し続けて資本の効率化を企る、現代の奴隷制に等しいからに他ならない。もとより、資本・金融の自由化は、地元経済の振興を意図したものではサラサラなく、利潤確保のために一国の経済を葬り去ってお構いなしの “変わり身の早いもの”である。また、デリバティブなどマネー投機に動く額が1日1兆5千億ドルであって、これは貿易取引額の実に75倍に当ることも、その正体を物語っているといえよう。





参考文献
資本主義はなぜ自壊したのか 日本再生への提言  著 中谷 巌(2008年) 集英社 
何が間違いか日本の経済政策 マドリングスルーの時代 著 白川 一郎(2004年) 丸善ライブラリー
財政学と公共選択 国家の役割をめぐる大激論 著 ジェイムズ・M・ブキャナン リチャード・A・マスグレイブ(2003年)勁草書房
グローバリゼーションとはなにか? 多国籍露天商で成りあがれ! 著 エル・フィスゴン(2005年) 明石書店
二十一世紀の資本主義論 著 岩井 克人(2006年)   

参考URL

http://peace-appeal.fr.peter.t.nishiyama.catholic.ne.jp/g7.html

環境Q&A 環境マネジメント(環境経営)
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kankyokeikaku/ecobox/faq/manegement/a-keiei/a-keiei.html

日刊ベリタ  記事:世界を壊していくグローバル化 ノーバーグ=ホッジさんの講演から 安原和雄
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200712131300374

Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries
http://www.oecd.org/document/53/0,3343,en_2649_33933_41460917_1_1_1_1,00.html

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