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とりあえず面白い話。コミュのでびクエ 六章

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 とある宿屋の一室で、僧侶は勇者の腕に包帯を巻いている。


勇者「…」


僧侶「だからゴメンって勇者〜〜」

勇者「…」


兵士「僧侶殿が勇者様に失礼な事を言うからこうなったんだぞ…」


僧侶「だ〜か〜ら〜、悪かったって言ってんじゃんか〜!」


勇者はふて腐れた顔をして、僧侶とは一切目を合わせようとしない。


僧侶「勇者、ね!機嫌直してよ!ね!」


そんな勇者を見て、僧侶は普段絶対に出さないような高い声と笑顔で話しかける。


勇者「…」


…が、勇者はガン無視。



僧侶「も〜〜〜。


…ま、この件で許してもらうとかそういうのはもういいわ。

…それより、ね!

行くでしょ?魔物退治!


でないとこの村の娘がどんどん生け贄にされちゃうんだよ!」


 勇者達一行は、この村にやってきて一泊して出て行くつもりだったのだが、

別行動をしていた僧侶が【定期的に村の娘を生け贄に取る魔物】の存在を知ったので、勇者に魔物退治の話しを持ちかけているのだ。


勇者「…。

…いや、魔物退治はしない。

先を急ぐぞ」


勇者はそっと目を閉じると荷物を抱えて立ち上がった。


僧侶「え?ちょっと!

ええ〜〜〜

何それ?

アンタガキ?

私がさっきトイレ覗いた事根に持って言ってんのそれ?

は?

あんた勇者っしょ?」



勇者「…トイレを覗いた事は根に持ってるが…それとこれとは別だ」


僧侶「じゃあ何で魔物退治しないのよ?

勇者ならこの村救いなさいよ!」


兵士「…た、たしかに、その辺はこの私も僧侶殿に賛成です勇者様。

僧侶殿の人間性はともかく、この発言には共感出来る部分があります!」


僧侶「…」


勇者「…そうか。



納得できないんだな?」


僧侶「出来ないわよ!」

兵士「い、いえ…別にそういうわけでは…」


勇者「まあまあ兵士、別に脅すつもりで言ったんじゃねーよ。

納得出来ないなら、おれの考えを少し聞いてもらいたいと思ってな」


僧侶「何よ考えって!言ってみなさいよ!全否定してやるから!」

兵士「そ、僧侶殿…!」


勇者はまた椅子に腰掛けた。


勇者「…あのさ、魔王軍ってさ、

たぶん今も町や村を襲ったりしてると思うんだよ」


僧侶「それが何よ!」


勇者「…だからさ、一刻も早く魔王と和解する必要があると思うんだ」


僧侶「和解って…アンタ、そのおかしい考え方を根本的に改めなさいよ!

魔王なんてぶっ殺せばいいのよ!」


勇者「…そこは置いとこうや僧侶。

そのうちオマエにも理解出来る日がくると思うからさ。

…でな、魔王と話し合いをして和解する日が1日遅れれば、

それだけどこかの村や町に被害が出る日が増える事に繋がると思うんだよ」


兵士「な、なるほど…」


僧侶「な、何納得してんのよ兵士!アンタミーハー?」

勇者「…。


…おれたちの旅の目的って何だ?

新人、言ってみな」


新人「え、え?

オ、オラに急にふられても…」


勇者「わからないか?」


新人「え、いや…。

…魔王に会って、話し合いで解決するってのが目的だって、ずっと勇者様が言ってるからそれかなって思うけど…」


勇者「そう、正解。


おれ達の目的は、あくまで魔王に会って和解する事。


それが旅の目的なんだ。


ここの村人を救う事を優先して、他の町や村が滅ぼされる現実を犠牲にするってのは、それは違うと思わないか?


 人それぞれ、役目がある。


 この村の魔物の問題は、この村の戦士が解決するべき事だとおれは思う。


…だからおれたちは…おれたちの役目を全うするべきだと思う」



僧侶「…」


兵士(す、すばらしい理屈…さすがにこれは僧侶殿も反論できないだろう…)


僧侶「…ってい…」

兵士「?」


勇者「…どうした僧侶?声が震えて上手く聞き取れないが」


僧侶「…最っ低って言ったのよ!!!」


勇者「…」


僧侶「目の前に困ってる人達が居るのに、


その人達を救う事も出来ない勇者なんて…

そんなの勇者である前に、人として失格よ!!」



勇者「…何とでも言ってくれて構わないよ」


僧侶「アンタに言葉をかける時間も勿体無いわ!!


いいわよいいわよ!!


私一人で、魔物なんてやっつけてやるからさ!」


兵士「お、おい僧侶殿!

それはさすがに無茶だろう」


僧侶「勇者がこんな腰抜けなんだからしょうがないでしょ!!

このバカ勇者!」


勇者「…勝手な行動は慎めよ僧侶。

おれ達は先を急ぐ。

置いていくぞ?」



僧侶「!!!?

お、置いていくって…。

…そ、そう!

フン!わかったわよ!

私みたいなウルサイ奴なんて放っといて、アンタのいう事をハイハイ聞く意思の弱い奴らだけ連れてとっとと魔王に殺されに行けばいいわよ!

ほんっと最低!勇者を見損なったわ!!!」



僧侶はそう言うと、目に涙を浮かべて宿屋を出て行った。



勇者「…」


兵士「…ど、どうしましょう勇者様…」


勇者「…。

…ここで折れれば、今後も僧侶は個人プレーを続けてしまうだろう。

…そうなっては、おれたちの旅の目的は逸れる一方になりかねない。


…だから、僧侶は助けない。あのまま放っておこう」


兵士「そ、そうですか…では、僧侶殿を置いて町を出るということですか?」






勇者「…。



…あと一泊だけして、この宿で待とう。


僧侶も気が変わって戻ってくるかもしれない」


兵士(勇者殿…やはり心の奥底ではやさしいお方だな…)


新人(オラ、惚れそうだべ…)






ーーーーー 夜 ーーーーーーー





村人「ほ、本当にいいんですか?

そして大丈夫なんですか?

もし、アンタが魔物を退治できなかったら、私は村人全員に非難されちゃうんですよ〜」


僧侶「失礼ね!

私一人では魔物を退治できないって言うの!」


村人「そ、そんな事はないです!

…無いですけど…娘を生け贄に捧げれば、明日からも村は平穏な1日を迎えられるのに、

もしニセモノの生け贄を入れて、それが魔物に襲い掛かったとなると…魔物は怒って何をしでかすか…」


僧侶「…ほんっと、アンタみたいな大人が世の中をダメにするんでしょうね」


村人「…え?」


僧侶「怖い相手と戦おうとせずに、されるがまま。

そうやって少しずつ身を削られて行って弱っていって、

最後は骨の髄までしゃぶられる。


…なんで戦わないの?あなたたちは。


ほんっと…






…どこかの誰かと同じ」


村人「は、はぁ…」


僧侶「…バカに言葉は通じないか。

…まあいいわ。

さ、とっととこの生け贄の箱に私を入れて魔物の洞窟に連れて行ってちょうだい。

ササっと退治してあげるから」


村人「め、めんぼくねえ。

た、頼んだよ」


 村人は僧侶を箱に詰めると、それを抱えて洞窟へと向かっていった…。







   一方その頃、宿屋では…。



兵士「…僧侶殿、戻って来ませんねぇ…。

…まさか本当に一人で魔物退治に行ったのでは…」


心配そうに窓の外を眺める兵士。

勇者はそんな兵士の隣に座り、赤ワインの入ったグラスに口を付ける。



勇者「…ま、良いんじゃないの。

僧侶がそうしたいって思って行くんなら」


兵士「そ、そうですけど…」


勇者「…自分の意思でやりたい事が出来るってな、幸せな事だと思うぜ。


…オレを見てみろよ。


…なりたくてなったわけでも無い勇者を…正直やらされてんだ。

こいつは血縁上の問題だから、変えようにも変えられないんだぜ」


勇者はグラスに入った赤ワインを一気に飲み干した。


兵士(勇者様…今日はアルコールが入って、本音を語ってくれているんだな…)


勇者「…オイ、新人」


勇者は向かいに座ってボーっとしている新人に声をかけた。


新人「あ、は、はい!」


勇者「オマエも飲め、ほら」

新人「え?」


勇者「いいから飲めよ」


勇者は新人のコップに、ワインを注いだ。


新人「お、オラ、お酒なんて飲んだ事…」


勇者「…オマエ、解ってるよな?

なんでこの旅に同行してるのか」


新人「え…え」


兵士(…勇者様…今まで一切手を出してこなかった新人殿に対していよいよ…。

…今日の勇者様は、少し荒れ模様かもな…)


勇者「オマエは【慰み者】としてこの旅に同行させたんだ。

今までは特に仕事を与えなかったが…今日からはおれの相手をしてもらうぞ。

おれの気が向いた時に、おれの都合の良いようにな」


新人「そ、そっだら事ストレートに言わねえでけろ…」


勇者「オマエ店ではどのくらい経験積んだんだ?」


新人「は、はずかしながら、ま、まだ一人もお客さんが付いた事が無えんだ…。


…だから、勇者様の期待に沿えるようなテクは実は何も持ってねえんだ…」


勇者「…あっそ。そんなのは構わないよ。

穴があればそれでいいから。

…さ、とりあえず飲めよ。

ほらほら」


新人「う、うぐっ…」



兵士(勇者様は、実は鬼畜なのか?

酔って本性をさらけ出しているのか???)



新人「ヒック…」


勇者「アハハハハハハ。

えらい酔っ払ったなぁ」


新人「オラ、なんだか良い気分だべ〜」


勇者「ハッハッハ。

…じゃ、部屋行こうか新人。

…あ、兵士も今日はしっかり休んどけよ。

明日からまた危険な旅に出かけるんだからな」


兵士「…は、はい」


勇者「…あ、そうだ。

これ、食べとけよ」


勇者はお菓子を兵士に投げた。


パシッ!


兵士はお菓子をキャッチした。


兵士「な、何ですかこれは?」


勇者「それ、疲れが取れるお菓子らしいよ。友達が昔くれたんだ。食べときな」


兵士「あ、ありがとうございます。パクリ。」



勇者「どう?美味くね?」


兵士「ふ、不思議な味ですね…」


勇者「だろ?


…じゃ、また明日な」


勇者は新人の腰に手を回した。


兵士(勇者殿…


…いいなぁ…。


…仕方ない。今夜はペイチャンネルでも見るか!


…ファァ…。

なんだか眠くなってきたな。


やっぱり寝よう。




…そして明日の朝抜こう…)





ギイイイ…バタン。


ガチャッ。


勇者は新人を連れて自分の部屋に入り、内側から鍵をかけた。


新人「はぁ〜。

オラ、アタマがポーっとしてるだぁ」



勇者「フフ。だろ?


酔って気持ちいいだろ?」


勇者は新人をそっと抱え上げ、ベッドの上に横たわらせた。



新人「あぁ〜〜。

オラ、覚悟は出来てるんだよ、勇者様。


勇者様なら良いって、ずっと思ってたんだよ〜。

オラ、何をどうして良いかわからないんだけど、色々教えてほしいんだ〜」


勇者「そうかそうか」



 勇者はそっと、新人が着ている服を脱がせ始めた…。






ーーーーその頃、魔物の洞窟ではーーーーー



魔物「ウヒッヒ〜


今日はどんな娘っこだろうな〜〜〜。


今日こそは〜〜


今日こそは良い娘っこが入ってたらいいけどな〜〜〜」



 生け贄BOXの元に魔物がやってきた。


魔物はそっとBOXを開けた。



僧侶「チェストーーー!!!」



 ポカリ!!


魔物「痛ぁーーーー!!!」




箱が開いたと同時に、中から僧侶が飛び出し、杖で魔物の額を思いっきりぶん殴った。



僧侶「出たわね魔物!! さあ!勝負しなさい!」


魔物「いでででででで…で、出てきたのはお前のほうだろお〜〜〜」



僧侶「問答無用よ!とう!」


僧侶はまた殴りかかった。


魔物はヒラリと攻撃をかわした。



魔物「お、おめえ、生け贄だろうが!

大人しくオデに捕まれえ!」


僧侶「フッフッフ!

甘いわね!

私は生け贄じゃないわ!

オマエを倒す為、生け贄の代わりにやってきた正義のヒーローよ!」


魔物「な、ナヌー!

あの村人達、オデを出し抜いたってーのかあ!!

けしからんぞおお!!


ずっと村を守ってきてやったってーのにい!!!」


僧侶「ワケのわかんない事言ってないで、とっとと倒されなさい!

下衆で野蛮な魔物よ!!


とうっ!」


僧侶はまた殴りかかった。

魔物はひらりと攻撃をかわした」



魔物「…オメエ、弱くない?

っていうか、レベル低くない?」


僧侶「…う…」


 勇者の方針で、今まで戦闘を避けてきた僧侶のレベルはまだ1のままだった。


魔物「…。

オメ、そのレベルでオデを倒そうなんて、甘すぎねーか?」


僧侶「う、うるさい!!

大事なのは気持ちよ!」


魔物「…オメ、よく見るとカワエエな。

オデ、タイプだで〜」


僧侶「き、キモ!!

鳥肌立つわ!」


魔物「オデ、今日の生け贄はオメエでいいわ。

少し強気な所も気に入ったでよ」


魔物はそういうと、僧侶の武器を奪い取り、両腕を掴んで持ち上げた。


僧侶「ちょ、ちょっと!

キャーー!!!

離せ!


離しなさいよケダモノ!!!」


魔物「ウヘヘ。

おで、ケダモノ。

だから何?」




魔物は僧侶をなめまわした。



僧侶「ひいいいい!!!」


僧侶は身震いした。


っていうか、身震いでは済まず、嫌悪感からのショックで気を失ってしまった。



魔物「ウヒヒ!

あで?

オデの舌テクで、この子悶絶しちまったかな?

ウヒャッヒャ。


ま、ええわ。


【あの部屋】に連れていって、今夜は楽しもう。

ウヒ、ウヒヒヒヒ」


魔物は僧侶を抱えあげると、洞窟の奥にむかいはじめた。




勇者「…ちょっと待てよ」


魔物「?」


と、突然後ろから声がしたので、魔物は振り返った。



勇者「オマエが噂に聞いた魔物か…。


あのさ、僧侶の奴、オマエに襲い掛かったろ?

スマン、許してやってくれ。

僧侶にはおれからきつく言っとくからさ、

僧侶を返してくんないか?」


魔物「んあ?

オメ、誰だ?」


勇者「おれは勇者だ。

その僧侶はおれの仲間なんだ」


魔物「…仲間…

…この子、僧侶って名前なのか。


カワエエなぁ」


勇者「気が強くて口は悪いけどな。

顔は良いんだよ」


魔物「ウヒ、ウヒヒ。

オデ、この子気に入ったんだ。

オデ、この子ほしいよ」


勇者「スマン、

僧侶はおれの仲間だからさ、


そういうわけにはいかないんだよ。


悪いけど返してくんないか?」


魔物「むーりだね!

人間ごときが、オデにそんな事言うんじゃねーよ!」


勇者「…何がほしい?


金なら今持ってる額でよければ全部やるから、だから僧侶を離してやってくんないか?」


魔物「無駄だね!

人間ごときが使う金なんて、オデには一切意味の無いもんだ」


勇者「…じゃあ、どうしたら僧侶を返してくれる?」


魔物「どうしてもだーめ。

返してほしければ力づくで奪い取ってみな!」



勇者「…力づく…か。

出来れば、オマエを斬りたくは無いんだ」


魔物「ん?

はっはっは。

オメ、このレベル1の僧侶の仲間だろ?

オメなんて怖かねーよ。

人間ごときがぁ〜」


勇者「…。

…オマエって、トカゲとかそういう類?」


魔物「…んあ?」


勇者「見た感じ、そうだよな。


しっぽとか斬ってもまた生える系と見たんだが、そうじゃない?」


魔物「よ、よぐ解ったなオメ」


勇者「そっか。


…じゃ、ちょっと失礼」



魔物「!!!!?」


  スパパパパッ!!




まさに一瞬の出来事だった。



魔物のしっぽは、一瞬のウチに刺身みたいに細切れになった。



パチン。


勇者はサヤに刀をおさめた。



 ぶしゅうううう!!


魔物「ひいいいいい!!!」


 魔物は僧侶から手を離し、シッポから吹き出る血を手で押さえた。


勇者「よいっしょっと」



勇者は気を失っている僧侶を抱え上げ、背中におぶった。



勇者「…悪かったな。

…でもま、そういう事だ。


おれと戦ったらどうなるか…なんとなく解っただろ?」


魔物「ひ、ひゃああ…。

お、オメ、何者なんだよ〜〜〜。

レベル1じゃねーのかぁ?」


勇者「…ん?ああ。

レベル1だよ」


魔物「な、なんでそんなに強いんだぁ!


ま、まったくオメの剣さばきが見えなかったぞぉおお!」


勇者「…ああ。

ハハハ。まあ、勇者って知らされる前はずっとDQNやってたからな。

色々若い頃ヤンチャして、戦う術を身につけてんだよ。


…まあでも、その中で一番学んだ事は【争いは良くない】という事なんだけどな」


魔物「と、とんでも無い人間が居たもんだ!!!


い、いや…そもそもオデは、たまたま弱い人間と出会ってただけで、


本当は人間は怖い奴らばかりなのかもしんねえ!!


ひゃあああ!!人間、怖い!!

もう、人間の女の子集めるのは終わりだぁ!」


勇者「?」


 魔物は洞窟の奥のトビラを開けた。


勇者「…は?」


中からはゾロゾロと、今まで捕らえられて来たであろう女の子達が出て来た。



魔物「もう、オデ、人間怖いからお前らの仲間生け贄に取るの辞めるから!


おまえら村に帰ってくれえ!!」



女の子A「はあ?

何言ってんのよ今更!!!

あんなビンボーな村に帰ったって、家事手伝わされてしんどいだけよ!」


女の子B「そうよそうよ!!

ここにずっと住まわせてよ!!!

あんたの作った料理美味しいしさ!」


女の子W「ここの温泉も超きもちいいしね!」



勇者「…」



魔物「んんやんや!!


ダメダダメだ!!

人間怖い!!!

帰ってくれ〜〜〜!!!」


女の子達「ブーブー!」




勇者(…あほらし)



 勇者は魔物や女の子達を放って、僧侶をおぶったまま洞窟の外へと出た。


 スズムシの鳴き声を聞きながら、勇者は村に向って夜道を歩く。



僧侶「…ン…ン〜…」


勇者「お、目が覚めたか」


僧侶「はっ!こ、ここは!


なんであんたが私をおぶってるのよ!!」


 僧侶は勇者の背中から降りようとした。

…だが、まだ体がいう事を聞かない…。



勇者「…まあまあ、慌てるなよ。

宿屋くらいまでならおぶっていける体力は残ってるから」


僧侶「く…。

そ、それより答えなさいよ!

なんでアンタが私をおぶって…

…はっ!

そうだ!魔物は?

さっきの魔物はどうしたのよ!!

私…アイツになめまわされて…気を失って…」



勇者「魔物とは話し合いで解決できたよ。

もう、村に生け贄を取りにくる事も無いそうだ」


僧侶「はぁ?

ウソ!絶対にウソ!!

魔物に話しが通じるワケなんて絶対ありえないから!」


勇者「ん〜。

まあ、すぐには通じなかったけどさ。

最終的には話し合いでいけたっていうか」

僧侶「どうやって!

どうやってよ!!!」


勇者「…まあ、


かるく脅した的な」


僧侶「ありえない!

レベル1のアンタにそんな芸当できるワケないでしょ!!」


勇者「それができちゃってさ。

…ま、そんなのはもうどうでも良いじゃないか。


…一応、僧侶の目的も果たせたし、

何より、僧侶が無事で良かったよ」


僧侶(…えっ…)


僧侶「フ、フン!

ウルサイわね!


…あ、そんな事より、

兵士と新人はどうしたのよ!」


勇者「ん?

ああ、二人は寝てるよ」


僧侶「何〜!

勇者を放っといて寝てるって、あいつら護衛としてどうかしてない???」


勇者「オレが眠らせたんだ。


睡眠薬入りの酒とお菓子を与えてね」


僧侶「は?

な、なんでそんな事…」


勇者「だって危ないじゃんか。

魔物のところに連れてったらさ」


僧侶「だからって、アンタ一人のほうがもっと危ないじゃないの!

殺されたらどうするのよ!」


勇者「おれが?

ははは。

おれは勇者だから大丈夫だよ」


僧侶「どういう理屈よ!!!」


勇者「それより、早く帰ろう。

ふぁぁ〜。眠いし疲れた」


僧侶「フ、フン!!


…」


勇者「…」


僧侶「ゆ、勇者」


勇者「ん?」



僧侶「そ、その…



助けてくれてありがと…」



勇者「ん?


ははは…


…ん?」



勇者はその時、ある事に気付いた。


勇者「僧侶オマエ…」


僧侶「ん?」




勇者「…胸…びっくりするくらいにペッタンコだな…」


僧侶「!!!!」



僧侶は【ザッキ】を唱えた。






ーその頃、宿屋ではー




新人「スー スー…」



新人は勇者のベッドの上でぐっすりと眠っていた。


パジャマを着て寝ている新人の枕元には、新人の服が律儀に畳んで置かれていた。

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