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草太郎クラブコミュの草太郎

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草太郎

日本から大分離れた海に囲まれた島国、セントプリプリ・エドワード国に
外堀 草左衛門という男がいた。
男は広大な土地を持っており、50歳まではただの人であったが、
むしろふがいなく、土地持ちのくせに独り者で気の弱い男だった。
その草左衛門だが、50歳の誕生日の時に
自分でコンビニへ誕生日ケーキを買いにいった時のことだった。
「さみしい」
草左衛門はロンリーな寂しさに天候を気にしていなかった。
そして雨が降っているのに、濡れ鼠のように雨に濡れながら
イレブンセブンへ行ったのだった。
「ケーキは苺が乗っているのがいい」
「苺ケーキはついさっき売り切れました」
チーン
「っていうか、お爺さんずぶ濡れですよ。お爺さん80歳越えてるでしょ?風邪ひいたら大変じゃないですか」
草左衛門はまだ50歳だというのに、老け込んで見えるらしい。
ふぁーーーっと草左衛門はため息をついて、棚にあったチーズケーキを手に取り、
ついでにビニール傘を手にとった。
「これください」
「えっそんなに濡れて今更傘差すの?」
「これください」

本当についていない誕生日だった。
草左衛門はピンク色の唇を梅干状につぼめてながら、傘をさして家へ帰ろうとしていた。
しかし本当についていないことに、大雨は友達を呼んできた。
雷さまであった。
ピカッ
眩い光に草左衛門は包まれた。
ドッ 
ドンガラガッシシャーン


草左衛門は脳髄を揺さぶられるような衝撃に
「ぬおーーーーー」と咆哮をあげた。




雷が草左衛門に脳内革命をもたらしたのだった。
雷を受けて倒れてから病院で目を覚ますと、草左衛門は人が変わったように
豪傑になっていた。
その豪傑さはまるで戦国武将のように猛々しく、その魅力に
2週間入院していた外科の病院の全てのナースが恋に落ちるほどであった。
草左衛門はグラビアアイドルみたいな若い子が、雷を受ける以前は好きなような気がしていたが、人が変わってからは趣向が変わっていた。
看護婦の中でも一番、年配であった70歳の看護婦スミエと
退院して1日、電撃結婚したのであった。

それから20年後
草左衛門は押しも押されぬ、街の名士となっていた。
街どころか、セントプリプリ・エドワード国の主席とも交友があるくらい巨大な財閥を
一代で築いたのだ。
そしてその横には、魔女のように90歳のスミエが寄り添っていたが、
スミエは足腰が弱っており、執事が車椅子に載せて移動していた。


シーンはまた繰り返す。
20年の歳月がまた草左衛門の趣向を刺激しつつあった。
なんと草左衛門はスミエの目が弱っているのをいいことに、20代の若くて綺麗なダンサーとただならぬ仲になったのだった。
そして草左衛門はダンサーに頼み込んだ。
「バアさんは90歳。もう子供は出来ん。わしの子供を生んでくれぇ!!!金なら腐るほどある」
こうしてこの小説の主人公草太郎がこの世に生を受けたのだった。
ただこれだけ言っておこう。

草太郎が外堀家の子供になるのには、草左衛門も大変な苦心をした。


草太郎の誕生を極秘に知って、浮き足だって帰ったその日の夕食後。

「お婆さん、今日は水戸黄門があるからお風呂はその後ではいるから」
「ちょっとお爺さん」
車椅子の中で淡く微笑んでいるお婆さんの目が、この日は鷹のように鋭く
光っていた。
「あんた子供作ったって本当なのー?」
20年車椅子を使っていたスミエが突然、何の補助もなく立ち上がった。
「ひょえーーー!!!お婆さんが立った!お婆さんが立った!
20年以上座ったままだったのに」
「ずっと知ってたんだから!!!エロジジイ!」
お婆さんは立ち上がると、すばやい速さでひざ掛けの下からグレートランチャーを引き抜いて、お爺さん目掛けて銃を乱射した。


執事は気づいていた。
一年前からスミエに爪を噛む癖が出てきたことを。
キリキリキリキリ
指先から血が滲む位噛んでいた。
「奥様」
たしなめても更に
「キリキリキリキリ」
爪をおやつのスルメイカのように噛みしゃぶるスミエ。
執事はスミエが呆けはじめたのではないかと、危惧していた。
しかしそれは杞憂だったと
スミエが打ちはなった散弾を胸に受けて、血の海の中で執事は思った。
(奥様・・・・、お爺さん不在の夜、トレーナーを呼んで、体を鍛えていたのは
このためだったんですね)

気の毒な執事はそのまま気を失って絶命しそうになっていた。

しかし70歳のお爺さんと90歳のお婆さんの洞察力ではそのことに気づくのに
まる二日とかかってしまうだろう。
「お婆さん、わしが悪かった」
「シャラップっ」
お婆さんがさらに、銃に玉をこめる。
お爺さんの体が軽やかに宙を舞う。

そうしてこの平均年齢80歳の戦いは3日3晩続くことになる。
そして四日目の朝 エドワードタイムズという新聞の朝刊の見出しはこうだった。

「血の三日間、外堀家当主片目を失うが生き延びる」
諸君、プリテングタウンの名士外堀草左衛門氏が銃弾を浴びて片目を失い三日三晩銃撃戦を繰り返すが、
生き延びる。漆黒の眼帯が渋い!!
スミエは怒ると手がつけれないが、その怒りは三日もたない。
草左衛門の読みはあたった。
「何故なら、物忘れが激しいからじゃ」
病院のICUでうら若い看護婦に看護されながら
草左衛門はピースしていた。


草太郎の母親は恐れをなして、草太郎を置いて行方をくらましてしまったので
草太郎はそのまま外堀家の子供として育てられることになる。

スミエも歳をとって丸くなったのか
実際に赤ん坊を見ると、何事もなかったかのようにかわいがりはじめた。
しかも草太郎は実にかわいらしい顔をしていた。
赤ちゃんモデルになってもおかしくないくらい、赤ちゃんらしい顔立ち、
ふくふくのホッペ、丸みを帯びた輪郭。
外堀家に天使がふわりと舞い降りたかのようであった。
草左衛門とスミエは草太郎を目にいれても痛くないほど甘やかして育てた。

草太郎はぐんぐん成長し、成長するごとにその端正な容姿に磨きがかかっていった。
お爺さんのDNAもお婆さんのDNAの存在も微塵と感じさせない、光輝く
少年に成長していったのであった。
もちろん外堀家にはうなるほどの金があった。
そして草太郎の容姿に磨きがかかるにつれて、お婆さんは草太郎が妾のこどもだということを完全に忘れてしまったかのように草太郎に夢中になった。

想像して欲しい。
生まれながらに欲しいものが手に入った。
これ以上ない贅沢をした子供がどんな風に育つだろう?

草太郎は綺麗な顔をしていたが、とても我侭な少年に育っていった。

草太郎が15歳の誕生日を迎える2日前
いつもどおりお婆さんが用意した料理を草太郎は、机ごとヒックリ返していた。
「ババア!何回砂糖と塩を間違えて料理作る気だ!アホンダラー!!」
「何十年生きているんだ!味見位しろ」

「草太郎ちゃん・・・っ」
お婆さんはかなしんでいるとおもいきや
「ワイルドでなんてカッコいいのでしょう」
草太郎に痺れて動けなくなっていた。
「若いっていいわー」

「ババアの料理なんて食べれるかよ。外食してくるからな」
「待ちたまえ!草太郎君」
しかしこの日は、お爺さんは草太郎にいおういおうと思って、心に決めていることがあった。
「外食しようにも、君のカードは今月すでに際限を越えているはずだ!
御婆さんの手前、詳しくは言えないが、いけないスポットで軽く100万使っただろう!
君ってヒトはまだ15歳なんだよ」
「まあ草太郎ちゃんたら、、、、猛々しい」
「だったら何なんだよ」
「ひとーーーーつ!!!提案がある。」
お爺さんはゴクリと唾を飲み込んだ。
今日こそビシッと言ってやらねば。

「今この国の人たちは困っている!何故困ってると思うかね」
「俺は何一つ困ってない。知らないよ」
「西の方で鬼たちが悪さをしているらしい。
このまま鬼たちの勢力地域が拡大して言って、この国を征服してしまったら
外堀家の莫大な財産は鬼たちに根こそぎ取られてしまうかもしれん」
「考えすぎじゃない?征服されたら考えればいいじゃん」
「いかーーーん!草太郎君、君は今すぐ鬼退治に行かねばいけないよ。
外堀家の男子は15歳で一人前だ、という家訓がここにある。鬼退治をして真の男だと認められたものだけが、跡取りになれるという家訓がある」
「一代で成り上がったくせに、その家訓は最近決めたな」
「いいから行くんじゃーーー!」
お爺さんは怒っていた。
自分だって50歳からゲイコ遊びやクラブ通いは覚えたのに
15才で草太郎は湯水のようにお金を使って、しかももてていた。
狙って通っていたヒナコちゃんを落としおって!
許せん許せん。
こんなバカ息子に育ちおってー!!
鬼退治という名目で勘当してくれるわ

続く

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