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真夜中、幽霊、シーツ、七階コミュのあなたには左腕が必要

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「おねえちゃん、それなに?」
「しじみ蝶だよ。」
姉はなん十ぴきものしじみ蝶を瓶に詰めていた。どうやって捕まえたのか。底にはもう動いていないものすらいる。姉は瓶をゆさゆさと振った。
「……………きもちわるい…」
「大丈夫、しじみ蝶は何もわからないよ。辛いことも悲しいことも楽しいことも。」
にんまりと笑い瓶を振り続ける姉に吐き気がする。ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ………
気付くと病院だった。
「おねえちゃんが、瓶に、しじみ、蝶
はい、ちょっとちくっとしますよ。安心して。もう怖いことはないからね、ずっとここにいていいんだから。寝てください。
瞼が重くなっていく。目の裏で姉はまだ瓶を振り続ける。ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ。
「 ちゃん、蝶じゃないんだよ。見てごらん。」
かっと目を開くと頭の上の電球のまわりにびっしりと蛾が集っている。
「…気持ち悪い…」
わたし、前にも同じこと言ってる。
医師は近付いてきた一匹の蛾を鬱陶しそうに握り潰した。あ、あ、あ、そん、な、
「大丈夫、蛾はわからないよ。辛いことも悲しいことも楽しいことも…」そうだって君も随分昔に言ってたじゃないか。
私はしょうがくごねんせいです。五歳上の姉がいます。でもお医者さんは変なんです。私は十六歳で、姉なんて、いないっていうんです。

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