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真夜中、幽霊、シーツ、七階コミュのねがいのくに

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シャトル・バスはぐんぐん進んでいく。ぼくは窓の外を眺めていた。地下だから勿論真っ暗だし何もない。一定の間隔でランプが点いているだけだ。それでも良かった。ぼくは滑らかな窓の表面を指の腹で撫でる。きゅ、と音が鳴った。シャトル・バスはそれぞれの街、この時代ではコロニーという。でしか停まらない。環境汚染が進み、人々は住みかを終われ国が決めた区域にしか立ち入り出来なくなった。一般人はコロニーだけだ。コロニーはドオムの中にあり、つまり全て、ぼくらを支配する全てが今や人工物だった。人々はあれほど蔑ろにした自然を恋しがった。コロニーから脱出を試みる者も出た。国はそういった者は容赦なく切り捨て、最終的に口という口を封鎖した。ぼくは空を見たことがない。
「あれは…」「可哀想に」老夫婦がヒソヒソと話していたかと思うと老婆の方がおもむろに立ち上がり、キャンディーを一袋くれた。「あなたが悪いのではないのよ、どうか未来に希望を。」「ええ、希望を。ありがとう。」ぼくはにこりとして礼を言う。すぐ袋を開けて一粒舐めた。グレープフルーツ味だった。ぼくは保護児だ。国の施設で暮らしている。父は空に焦がれ、幼いぼくを置き去りにしコロニーを脱出した。まだ完全に封鎖されていなかった時。なぜ父はぼくを置いていったのだろう。とにかく脱出者の縁者はエントリーバッヂを着ける決まりのせいで、ぼくの父が脱出したことは通りすがる誰にでも分かった。すれ違い様に軽蔑の眼差しで見る者、哀れむ者、関心を持たない者、、。胸元のバッヂを撫でる。「まもなく�鶸コロニー、�鶸コロニーです。」自動音声が流れる。地下鉄の壁をぶち破って外に出たら何があるだろう。父はいるだろうか。家を建てているかもしれない。父の父の父は木製の家に住んでいたという。今では信じられない話だ。でも悪くない。きっと。全てが調合金属の時代しかぼくは知らないしこれから生まれてくる子供たちもそうだろう。ねこ。ねこも飼ってみたい。今全ての動物は国の保護下にあり、ねこはテレビでしか見たことがない。柔らかそうな、白いねこだった。生意気そうな顔の。触ったらどんな心地だろう。引っ掻かれるだろうか。でも。それでも。
キャンディーが舌の上で静かに消えていく。

コメント(1)

実感のない

空虚な世界ですか。

現実はこのお話のような世界にはまだなっていないですが

現代でもこんな感覚を持つ人は多いでしょう

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