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mixi小説:白球のゆくえコミュの第20話

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僕は制服姿のままボールを一つだけ持ってブルペンに立っている。

日曜日の試合の前日以来だから、4日ぶりにここに来る。



秋の大会に負けると、例年1週間は部活が休みになる。

文化祭とかの学校行事があるため、クラスの仕事に借り出される部員がけっこういるからだ。


グラウンドには僕のほかに数人の1年が来ていて、何やら楽しそうにティーバッティングをしている。

思い返せば、去年は武司とティーバッティングをしながら打撃フォームを指導されていた。



武司のヤツ、何なんだ。

僕はブルペンのピッチャーマウンドに立ち、小さく振りかぶって軽くボールを投げた。

「うっ・・・、やっぱ痛ぇなぁ」


投げた瞬間、右肩に少し痛みを感じる。

前の試合からずっとだ。


僕は下を向きながらホームベースのほうにボールを取りに向かった。



「ねぇ、あなた、野球部のエースの人?」



そのとき、後ろから女性の声がした。

振り向くと、ブルペンの金網越しに女生徒が立っていた。


制服は僕の学校の物だが、僕はその女生徒の顔に見覚えは無かった。

丸い顔立ちにパッチリとした二重で、髪は肩よりやや上のショートヘアだ。



「一応この前の大会は1番着けてたけど、もう今はエースかどうか分かんないよ」

僕は皮肉っぽく答えた。

「で、君ダレ?」



すると、その女生徒は僕の皮肉っぽい言葉を気にしない様子で微笑をつくった。

「私?私は小野由美。よろしくね」



よろしくと言われてもどこの誰だか分からない。

どこかで見たことあったっけなぁ・・・?



僕が考え込んでいると、その小野由美という女生徒はグラウンドの金網のドアからブルペンに入ってきた。

「勝手に部外者が入ってくるなよな」

僕はワザとムッとした表情をして追いやろうとした。


「あれ〜?おかしいなぁ。
相原君から聞いた話だと憎めないヤツなハズなんやけどな〜」



え?相原君…?

ひょっとして相原先輩のことか??

ってことは3年生?



「相原君に言っても全然紹介してくれないから、勝手に押しかけてきちゃった。
ごめんね。」

小野由美は終始にこやかな表情で話しかけてくる。

その表情をみていると、ふてくされている自分が子供っぽく感じてきた。



そのとき、僕はふと数週間前のことを思い出した。

確か、相原先輩のクラスの女子が僕に会いたがっているとかどうとか…。

でも、どういうことだ?



「へ〜、結構かわいい顔してるんやね」



小野由美は僕の顔を覗き込んできた。

今度は本当に少しイラっとした。


「何だよ。何か用か?」

「まぁまぁ、そんなにカリカリしないの。
そんなにすぐ怒っちゃうと女の子にモテないよ?」


今度は小野由美のほうが皮肉な言い方をしてきた。

そして、突然話題を変えてきた。




「あなた、肩痛いでしょ」




突然、僕の心臓がドキッとした。



なぜ分かった?



武司にも康之にもまだ言ってないのに、なんでこの女にそんなことが分かるんだ?





「一回、ウチに来なさいよ」





…何なんだ、この女。





第21話へ続く



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