日本の歴史上、中央集権は奈良時代から平安中期の律令制度期と明治以降の2回だけです。それぞれわずか150年から200年程度でしかなく、それ以外の時代は地域国家がそれぞれ主権を持って地域の社会と経済を発展させてきました。そして戦国期から徳川時代を見ると、それぞれの地域国家はその土地ならではの経済発展政策を実行して、地域の社会経済は大きく発展していました。 さらに16世紀の日本は、人口3千万に達していて、当時世界を覇権していたイギリスの600万人、ポルトガルの150万人と比べても大国でした。鉄砲の数ではフランス一国で3千丁程度だったのに対し、織田信長だけで3千丁、他の諸国を合わせると1万数千丁と、非常に強力な軍事力を持った、世界有数の連邦国家でもあったのです。 現代の世界では軍事力よりも、その国家の経済的競争力が、豊かな社会の実現を左右する重要な要素です。 「日本連邦」United States of Japan実現のためには、まずそれぞれの地域主権国家が世界的に競争力のある産業を育成することが鍵となるでしょう。 これまでの中央集権体制を壊し、連邦国家を作り上げるには、明治維新と同じか、それ以上のエネルギーが必要です。しかし日本再生には、社会構造を本来の連邦制に戻すしかない、と歴史は教えてくれていると思います。 福岡県は人口規模から言えば地域主権国家になり得ますが、九州ぐらいの面積と人口のまとまりが望ましいでしょう。そして九州は、独自の社会、文化、経済構造を持ち、連邦国家として発展できる可能性を秘めています。 連邦国家の実現には信長のような強力なリーダーシップが必要かもしませんが、まず九州、福岡に住む私たち自身が国家像を議論し、将来の世界的競争力のある「九州独自の産業育成戦略」を描くことが重要ではないでしょうか。