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ほんの少しの物語-ShortStory-コミュの雨の涙

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 外はあいにくの雨模様。

 昨日の天気予報では、

『今日の天気はなんとか持ちこたえるでしょう』

と言っていたのに……

 天気予報も所詮は予報でしか無いんだなぁ……

 そんなことを考えながら、テーブルに突っ伏したまま俺は外を見ていた。

「本当だったら、今頃アイツと出掛けてるはずだったのになぁ」
 
 誰に言うでもなく、俺はつぶやいた。

 そう、本当なら、今日は久しぶりにヒデと会えるはずだった。
 
 長期出張で北海道の方に行っていたヒデが、昨日神戸に帰ってきていた。昨日は急ぎで会社の方へ行かないといけなかったらしく、残念ながら会うことは出来なかったのだが……

 その代わり、今日は休みになったからゆっくり会えると言っていたのだが、この雨じゃ……こないだろうな。

 ヒデは昔から雨が嫌いだった。まるで猫のように、雨の日は外に出ようとせず、部屋でぐったりとしているのがいつもだった。

 だから、俺は雨の日にヒデと出掛けたりしたことは殆どない。そのせいか、俺も雨があまり好きでは無かった。

「空気読めよなー……こんなタイミングで雨とか降るなよー……」

 今年の記念日も、ヒデが北海道に居たから会うことは出来ず、やっと会えそうとなったらコレだ。

 今年の俺はとことんついていないらしい。
 

 することも無くなってしまった俺は、とりあえず昼飯でも作ろうと台所へと向かった。
 その時だった。

『ピンポーン』

 誰かが来たらしい。おおかた、新聞か何かの勧誘か、工事のお知らせとかだろうと思い、うんざりしながらドアを開けた。

「よぉ。悪ぃちょっと遅くなっちまった」

 ……ドアを開けた先に居たのは、ヒデだった。
 
 何が起こっているのか、理解に時間がかかり、呆然としている俺を見て、ヒデが言った。

「とりあえず、中、入っていいか? 荷物重たいんだけど……」
「え、あっ! ご、ごめん!」

 ヒデの言葉で我に返った俺は大慌てでヒデの荷物を奪い取り、部屋へと招き入れた。

 俺が奥のテーブルに荷物を置くと、ヒデもそこに荷物を置き、座り込んだ。
 そんなヒデを見ながら、俺はドギマギしていた。

『なんで雨なのにヒデが家に来てるんだ?』

 ヒデが部屋に来ることなんかもう何回もあったし、雨の日には家でグダグダしてることも普通だった。

 今更、緊張もなにもないんだけど、何故か今日は胸のドキドキが止まらない。
 そんな俺を見て、ヒデはバツが悪そうに言った。

「悪いな、本当はもっと早く来るつもりだったんだけど、この荷物に雨だろ? 今日は親父が車使ってたからさ、時間かかっちまったんだ」

 そういえばヒデ、今日は傘を持っていた。普段なら車で来ているから、多少濡れる程度で済むから傘はあまり使わないのに。

「その……出張、お疲れさま」

 俺はやっとの思いでつぶやいた。

「おう、本当は昨日そのままこっちに来る予定だったんだけど、あいにく仕事が入っちまったからな。コレ、北海道の土産な」

 ヒデは大量の荷物を指差して言った。

「うん。ありがと。……あの、さ」
「ん? どうした?」

 俺は、先ほどからの疑問を投げかけた。

「その、何で今日、雨なのに来てくれたの?」

 俺の疑問に対し、ヒデは少し困った様子で答えた。

「いや……なんでって、やっと出張終わって会いたかったし……それに……」
「それに?」

 俺が急かすように聞く。

「記念日……」

 ヒデは顔を赤くしながら、ボソッと言った。
 それを聞いていた俺は、なんのことかわからず、おもわず「え?」と聞き返してしまった。

「ほら、今年の記念日、会えなかっただろ。今日って記念日から丁度一ヶ月なんだよ。だから……一ヶ月遅れたけど、お祝いしようと思ってさ」

 そういわれて、俺はカレンダーを確認する。

 ……本当に丁度一ヶ月だ。

 もう今年は、記念日に会えなかったってだけで、諦めていたから気がつかなかった。

 ヒデは、そんなとこまで気を遣っていてくれていたんだ……

 そう思うとなんだか無性にうれしくなって、自分でもわからないうちに涙が溢れていた。

「お、おい! どうしたんだよっ」

 ヒデが、泣いている俺に対して酷く焦っていた。

「……っく……ひっ……あ、あり……がと……」

「泣きながら言われても困るだろ! ほら、頼むから泣き止んでくれって!」

「ひっく……だ、だっで……うれし、ぐて……」

 なかなか泣き止まない俺をみて、ヒデが「あーもーっ」と言いながら俺を抱きしめた。

 ヒデの大きな腕に包まれ、その暖かさを感じ、俺はさらに涙が溢れた。

「……ほら。俺、ここにいっから。これからも傍に居るから。だから泣き止め。な?」

 俺はヒデの胸でそのまましばらく泣き続けた。
 ヒデの不器用で、優しい暖かさがとても嬉しかったから。

 その後、やっと泣き止んだ俺とヒデは、大量のお土産を食べたり見たりしながら、一ヶ月遅れの記念日を過ごした。

 俺は、前よりも少し、雨が好きになれた気がした。




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はい、初っ端からやっちゃった感が否めないですねww

コレ書いたのは最近なんですが、友達の持ってた漫画読んで、それに感化されて勢いだけで書きました。

一般的なファンタジーしか書いてなかった俺にとっては恋愛ものでしかもこの路線は初挑戦でした^w^;

短編〜中編くらいの長さになってしまいましたが、それは俺の文才の無さの現れでしょう……

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