とにかく泣ける話。コミュの米の人(手料理４実話長文)

幼い頃から調理師になりたかった俺は『食』へ繋がる勉強がしたくて
『専門知識を勉強できるから』と農業系の高校へ通い食品の分析などを学んでいた…

そんな高校で俺が一年生の夏休み明け
学校にＡＥＴ(アシスタント･イングリッシュ･ティーチャー)として１人の外人がやって来た

金髪で青い瞳のアメリカ人クリス(♂)

クリスは英語教師のサポートと自身の農業留学を兼ねて採用されたらしい

ヤンキーと出来損ないしか居ない学校に突然現れた青い瞳の外人に皆浮き足だっていた…

それなりに頭がよかった俺は学校英語くらいは使えたためクリスともすぐに打ち解ける事ができた…

クリスはまだ若く歳も近かったため、お互い敬語など使わずフランクに話をしていた

ある時クリスに質問をした事がある…

俺『なんで日本に来たん？』
クリス『…僕…アレルギーがあって…』

俺『アレルギー？』
クリス『そぅ…アレルギー…』

俺『なんのアレルギー？』
クリス『…イースト菌…』


俺『Σ(￣▽￣：)イースト菌ってあのパン酵母のイースト菌？』
クリス『そぅ…そのイースト菌…』

俺『パンの国の人なのに？』
クリス『そぅ…パンの国の人なのにパン喰われへん(笑)』

俺『マジでかΣ(￣▽￣：)www』
クリス『うん…それで世界で一番お米の美味しい国に来た(笑)』

俺『そりゃ…良かったな(笑)だけど大変やなぁ…』
クリス『まぁ…お米美味しいから平気だよ(笑)』


クリスと話てて考えた…
もし俺が『お米アレルギー』だったとしたら…
主食を食べられないってかなりツラいと思った…

幼い頃から食べるのが大好きで満腹フトルを地で行く性格だった俺…そんな俺なら自殺モンである…

クリスを不憫に思い料理好きな俺は
『白米に合うオカズ研究部』を設立してクリスに顧問をお願いした…
まぁ日本の食文化を勉強して美味しいお米を食べてほしかったわけだ…


顧問→クリス
部員→俺

今日は明太子、明日は焼き鮭…など二人でお昼休みにお互いが『白米に合う』と思ったオカズを持ち寄って毎日食堂で食べ比べるという活動内容…

ただ昼食を一緒に食べてるだけだが、凄く楽しく新しい味の発見がいくつもあった…

クリスは焼き魚系が好きだった…
金髪の青い瞳で
クリス『塩鯖サイコー♪大根オロシ考えたヤツマジ神♪』
と、よく宣ってた…

クリスが日本に来て二年強が過ぎ俺も卒業し大学へ進学する事になった…

俺が卒業してからもクリスはＡＥＴを続けていた為ちょくちょく部活動と称して二人で飲み食いに行ってた…


しかし卒業から2年後…クリスはフィアンセと結婚する為に国(アメリカ)に帰る事になった…


俺『大丈夫？日本のお米になれた舌でカリフォルニアササニシキとか喰えるの？』
本気で心配した…

クリス『軽！白米に一番合うオカズは何かわかるか？』
俺『塩鯖か？』

クリス『違う違う！一番合うオカズは好きな人の喜ぶ顔だよ♪フィアンセが喜ぶ顔が見れるなら少しくらい米が不味くても３杯は喰えるね(笑)』

俺『…しかし…』

クリス『ヘィ！軽！ナメんなよ！アメリカって漢字で米の国って書くんだぜ(笑)日本より美味しい米作ってやんよ♪』

クリスは笑ってた…
帰国後日本の稲作に習った米を作る農家に就職するそうだ…


クリスの出立の日…
大学サボって空港まで車で送っていった…

俺『じゃあ…気を付けて…手紙書いてくれよ…』
クリス『いろいろありがとう…日本が大好きになれたのは軽のおかげだよ…』

俺『クリス…』
クリス『最初は異国に１人でとても寂しかった…でも軽に会えて部活とか誘ってくれて…ぐっ…』

クリス泣いてた…
それ見て俺も泣いちゃった…

クリス『美味しい白米のオカズが好きな人の喜ぶ顔だと気付かせてくれたのも軽だった…部活でご飯を食べる時が一番美味しかった…』
俺『俺も…俺も美味しかったよ…』

クリス『ありがとう親友…また…』
俺『あぁ…またいつか…いつか必ず…』


二人涙ながらに別れた…


あれから１４年…
クリスは新米の季節にカリフォルニアからお米を空輸で送ってくる…

今年の新米も本当に美味しかった…

未だクリスとの再会の約束は果たせずにいるが
いつかきっと…

いつかきっと二人で部活をやりたいと思っている…


P.S.
白米に一番合うオカズは漬物だと思う…
ビーフジャーキーを新米と一緒に送ってくるクリスはやはりアメリカ人で米の国の人ではないと思う…
ビーフジャーキーにはビールだろクリス…