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マーライオンの秘宝館コミュの割れ目フォッサマグナ・中篇

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秘宝館参加者の兄さん、姉さん、

こんばんわ。
相変わらずのテックスマイです。

改めて読んでみると、
前回の阪神淡路大震災の話はリアリティありますねえ。
そして、お母さんのくだりが爆笑もんだ。

震災当時、僕は関西に住んでなかったので、
これはなんか感じ入るものがありました。

やはり、ほんとうにすごい出来事だったんですね。
しっかしこれって、体験していない人に、そのリアリティを的確に伝えるうまい文章だよなあ。


おっと。
さ、そんなMCのつまらん話はおいといて、
どんどん次にいきましょう。

というわけで、第二回です。

************************************************



【父と祖父】



 父は4人兄弟の長男で、私が幼い頃までは、祖父と一緒に靴の縫製業をしていた。

 ある日を境に父と祖父は絶縁状態になった。
 それはハンメの葬式あたりからかなぁ。
 何か色々あったみたい。

 大人になってからママに聞いた話やけど、
 ハンメが亡くなる3日前に父と祖父は大喧嘩になったらしい。
 ハンメは私のひぃ婆ちゃん。

 私はハンメって名前やと思ってたら、違うねんなぁ。
 ハンメは韓国語でおばあちゃんって意味みたい。

 ハンメは全く日本語が話せなかったよ。
 97歳で寝たきりやったのね。
 食事やオムツの介護は母がしていたのだけど、家は別世帯。

 祖父とハンメは親子の二人暮らしやった。
 ある日の夜、祖父の家の近隣が火事になって、父母が駆けつけた時は祖父は留守だったらしい。
 じいさんは、寝たきりの認知症のハンメ母ちゃんを残しスナック行ってたんやと。

 近隣の火災が大きくなったら大変だってんで、父母は寝たきりのハンメを自宅に連れて帰り、
 泥酔して帰ってきた祖父とまず言い争いになったらしい。

 その3日後にハンメはこの世を去ってしまった。
 老衰死は老衰死やねんけどな〜。

 不思議な事に、ハンメは自分が死ぬのを予期していたみたい。
 亡くなる前日、世話をしている母に自分の指輪を抜き、差し出したんやって。

 母は日本人で、全く韓国語は解らない。
 ハンメも全く日本語が解らない。
 お互い言葉は通じないけど、
 母とハンメがよく話しているのを不思議な感覚で幼い私は見ていた気がする。

 「おばあさん。私、そんなつもりでお世話してるんと違います」
 母がそう言うと、ハンメは韓国語で何か言いながら母に向かって両手を合わせ、
 傍にあったティッシュで指輪を包んで自分の枕の下に入れ、ポンポンと枕を叩き、
 「ここに置いているからね」と言っているようだった。
 この時だけは、ハンメがしっかりしているように見えた。

 いつもは自分のオムツを外してしまい、汚くなったハンメの指や爪を、母が泣きながらブラシで洗っている光景もよく見たが、今想うと母は偉いなぁ。どんだけ献身的な介護をしても、祖父には嫌われとったもん。日本人やっていうことで。

 父と母は国籍の問題で親に反対されたまま結婚したらしい。
 しばらくは駆け落ち同然の暮らしをしていたのだ。

 その間に婚姻届も出さんまま、兄が生まれた。
 母が私を身籠ったのをきっかけに、
 祖父は二人の結婚を許したかのように、自宅の近所に小さな家を買い与えた。

 トラック野郎だった父は家業を継ぐ事になり、祖父と一緒に靴の縫製業をすることになった。
 もちろん、母も働いた。母に給料は支払われてなかったらしいけどね。

 そいで私が誕生して、あぁなんて可愛い女の子、
 「ちさと」と命名し、出生届を出しに行って両親ビックリ!なんと自分たちは結婚してなかったのだ。
 祖父が自分が届けるといって、二人の婚姻届預かっておきながら、提出したふりをしていたのだ!

 それまで国民保険やなんやらで気付かんかったんか!って思うけど、
 これも祖父が加入を反対していたんだと。
 うちの両親もアバウト過ぎるやろ。

 なんやかんやで私は戸籍上、私生児になっていた。
 その後産まれた妹が、戸籍上では長女。複雑な大人の事情よね。

 そんな恨みもあっての、火災の日の大喧嘩だったのかも知れない。

 「お前が、おかちゃん殺したんや」
 祖父がハンメの葬式で号泣しながら父に言っていたのを覚えている。
 それを境に父は仕事を独立し、二軒となりに住んで居ながら祖父と顔を合わせる事はなかった。
 十余年、一言も会話している姿を私は見た事がなかった。

 ここだけ聞いていたら、祖父は悪人ですが、幼い私はこんな大人の事情は知らんので、
 祖父の家に遊びに行っていたし、私には優しいお爺ちゃんだったんだよ。

 ハンメの葬式から数ヵ月後には、祖父の家にすんごい巨体のおばさんがやってきて一緒に暮らし始める。あの火災が発生した日、スナックで働いていたのがこのおばさん。祖父はこの人に会いに行ってたんやね。 

 それにしても前妻といい、このおばさんといい、
 今思うと祖父はかなりなデブ専だったに違いない。
 どうでもええけんど(笑)

 そんな大人の事情満載で、父と祖父は絶縁状態にあった。



【そんな事言ってる場合じゃない】



 そんな十数年間も親と口をきかない頑固者の父が真っ先に祖父の家に走っていった事、私はかなり驚いたよ。
 まぁ当たり前っつったら当たり前なんだけどね。
 「喧嘩中ですので…」そんな事言ってる場合じゃないよね。

 それがきっかけで父と祖父は仲直りしたんだぁ。
 それから毎年、正月お盆は祖父の家で集まっては、
 震災の時に長男である父が助けに来てくれた事を、お爺ちゃんは嬉しそうに話していたよ。
 母に対しても優しくなった。

 祖父は、あの日、家具に挾まれ脚を骨折して入院したんだけど、日本の人に親切にして貰ったと、毎年毎年話していた。祖父にとっても震災は、戦争と同じくらい色々考えさせられたんやろうね。

 こういう時に人の善悪って見えるよね。
 いろんな人がいたよ。

 皆、まず自分の家族を守るのに必死だったよね。
 そっから先、他人の救助活動に取り組むのか、一足お先〜に避難所行って場所取りするのかは個人の自由。自由やけどよくわからん人間もおったんが事実。

 ここぞとばかりに泥棒になってしまった人も居たし、記念撮影しているご家庭もありました。

 ちょっと自慢していい?(笑)
 私は善人です!って言うてるみたいでダサいけどね。

 父母を救出してからすぐ、野しょんしている母を置き去りにして、私も祖父の家へ走っていった。

 祖父は二階で寝ていたらしく、骨折はしていたものの、
父と、内縁の妻に支えられながら二階の窓から外へ降りようとしているところだった。

 私はそれを手助けせず、
 なぜか(なんでやったやろ・・・?)隣りの峰岸さん家のベランダへよじ登って行った。
 母が「危ないから止めて!」と言ったが無視し、二階の部屋に入って行くと誰も居ない。

 ここは確か、おばちゃんの一人世帯だったはず。
 当時私はバンド活動に夢中になっており、奇抜なファッションをするようになってからは近所の井戸端会議のネタにされていて、ムカつくから近所付き合いをしていなかった。

 でもそれとこれとは別よね。人の命が掛かっておるのだから、付き合いもくそもない。そんな事言ってる場合じゃない。

 最終的には、祖父の救助を終えた父も参加し、一階で寝ていたおばちゃんを見事救出しましたぁぁ!!!!

 これは父母の救出より大変やったよ。畳を剥がしてアイロンでガンガン掘るしかない。
 皆さぁーん、アイロンは災害救助の際、役に立ちますっ。
 でも高い所に収納しておくのは止めましょう。危険です!!!(笑)


 近所の人の救助を終えて、私と父はもう一度自宅に戻り、
 二階の私と妹の部屋にある物を整理し始めた。
 どれだけ探しても財布は見つからなかったが、私の愛車の鍵は見つかった。

 余震で何度か家が揺れ、怖かった。
 財布はもう諦めよう。と私は断念した。が、父は諦めない。

 あのねぇ、当時私は二十歳。
 父親に自分の部屋を探られるのは正直嫌〜なわけですよ。
 下着やなんかを触られるのも嫌〜なわけですよ。

 そんな事言ってる場合じゃないんだけどぉ・・・、学習机を動かしてみたらば、
あ!こんなところに昔お兄ちゃんの部屋からパクってきたSMスナイパーがぁ!ってな具合に、親に知られたくない事だってあるんだな。私が大事にしていたCDや楽器や本はすでにボロボロで持ち出しても意味がない。でも、ま、とりあえず金が必要や!

 「おい、鞄がでてきたぞ」
 振り向くと、それだけは見られたくない品々が入っている鞄を父が持っていた。
 私は即座に鞄をもぎ取り、父も乙女心を察した様子だった。

 「もう諦めようか」
 父はベランダを降りていった。
 私も鞄を持ったまま、母と妹が先に行っている兄夫婦の家へ向かった。

 その鞄の中にはね、手枷足枷なんかのSMグッズが入っていたんだよ。
 そりゃあ、さすがに嫌ですよ。親だって娘が変態だと知ったら嫌ですよね。

 ちっ違うよ!これは本当にライブの衣装として購入した物なんだからね!
 中には電動のいやらしいのも入ってたけどね!
 これもライブの演出ですからね!ってどんなバンドやねん(笑)


[下篇に続く]

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