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日本死語研究会コミュのストリクラウドの日記2

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ある日、戦場の片隅で、フレデリック・ジョンソン三等兵は言った。「ついに完成した。」
あんまりうれしそうに言うので、何が完成したのか見てみると、木彫りの奇妙な人形であった。
 後年、日本という国で、アニメーション制作が盛んとなり、その登場人物を人形にしたものを「フィギア」とか呼んでいて、えらく人気があるという話を孫から聞いたが、孫の手にしていたそれを見て、フレデリック・ジョンソン三等兵が作ったものと酷似していることに気付いた。
 しかし、フレデリック・ジョンソン三等兵が人形を作ったのは孫の生まれるずっと前の話だ。奴の感性は時代を先取りしていたのか。現在となっては確かめるすべはない。奴はいまだに、定住するという言葉を知らないため、連絡がつかないからだ。
(ウチコマさんの日記に2月19日出現)
 
 フレデリック・ジョンソン三等兵は言った。「よし。このカードで勝負は決まりだ。」
夜の森で、いつ敵襲があるかわからない中、ポーカーをやろうと言うのはこの男だけだろう。とてつもない金額を掛けるため、やり始めるとみんな必死だった。負けをとりもどすため、一刻も早く戦闘を終わらせてフレデリック・ジョンソン三等兵に挑もうとする者たちの活躍が、わが小隊の生存率を上げていたのかもしれない。
ところで、彼らの知られざる戦いは、結局のところ、一人の破産者も出さなかった。戦争が終わるころには各々の負け分も勝ち分もゼロとなっていた。ものすごくバランスよく勝ち負けが決まっていたのだ。
フレデリック・ジョンソン三等兵のイカサマと計算のテクニックを我々は思い知ることとなった。彼もまた、知られざる戦いをしていたのだ。
(A4紙製戦車の日記に2月19日出現)

 フレデリック・ジョンソン三等兵の使っている自動小銃は、一見したところ、私たちのものとなんら変わりはなかったが、奴の暴走行為に付き合わされ続けても少しも調子を崩さなかったのをみると、ずいぶんと良い小銃だったと思う。
 あの戦争の間、フレデリック・ジョンソン三等兵と行動をともにし続けた私などは、心労で体のいたるところにガタがきていた。
 一度、寝込みを襲われた時、フレデリック・ジョンソン三等兵と私は銃を取り間違えた。
 フレデリック・ジョンソン三等兵はいつもの通り快調に銃を乱射していたが、私のほうはなぜか銃が上手く作動しなかった。
「なあ、相棒。それ、俺の銃だな。替えよう。」
 そう奴に言われて、私は銃の取り違えに気付いたが、その後も事態はあまり変わらなかった。私が使っていた時にはあんなに不調だった奴の銃は、持ち主の元に戻ったとたん調子を取り戻した。一方で、奴に使われてた時には何の問題もなかった私の銃は、私の元に戻ってきたとん、弾がろくすっぽ出てこなくなった。
 奴はよほど銃に好かれていたんだろう。奴に一度持たれた銃は、奴以外の人間を受け付けやしなくなるのだ。
 道具に頼られる人間というのもいるもんなのだ。
(ばば氏さんの日記に2月21日に出現のち削除さる。)
フレデリック・ジョンソン三等兵はときおり、とんでもない主張をする。ある日、戦場の片隅で突如、「俺の口笛は世界一だ!」と主張しはじめ、ベートーベンだかシューべルトの曲を吹き始めた。
 それが通常の場合なら何の問題もないのだが、夜のジャングルの中で行軍中だった。
 夜空に口笛の甲高い音が響き、敵がその音からこちらの音を察知したらしく、隊長がフレデリック・ジョンソン三等兵を黙らせる前に、襲撃を受けることとなった。
 これだけのことをしても、わが小隊は一人の死者も出なかったため、フレデリック・ジョンソン三等兵はまたも営倉入りを免れた。

(ばば氏さんの日記に2月23日に出現。即座に削除さる。)
 
フレデリック・ジョンソン三等兵は恐れるということを知らない男だった。戦場において、勇敢な兵士ほど長生きしないという格言があるが、奴の場合、それはあてはまらなかった。もっとも、奴を良く知る人間ならば、奴の行動は勇敢というよりやけくそといったほうが正しいことを認識するだろう。やみくもに敵に突撃するその五頭身の体は、映画の中であったならば銃弾にしこたま穴を空けられる羽目になるだろう。しかし、現実では、そのあまりに滑稽な光景に敵の兵士たちは半ば茫然とし、気がつくとフレデリック・ジョンソン三等兵の銃の餌食となって、あの世で語りあうこととなる。「何なんだ?あの鼻の下の長い男は?」
(コミュニティ「chickens☆」に3月10日に出現)

フレデリック・ジョンソン三等兵がなぜ戦争に来たのかは、よくわからない。なんでも、大学を辞めて軍に入りなおしたらしい。後に「プラトーン」という映画で、チャーリー・シーンが似たような兵士の役をやっていたが、彼と同じく、フレデリック・ジョンソン三等兵も「大学に入るような奴がもったいない」と当初はいわれていた。
もっとも、奴の破天荒ぶりが明らかになるにつれ、何かを大学でしでかしたのだけは間違いはなくなったが。いったい奴は何をしでかしたのか。
 後に、ノースカロライナでフレデリック・ジョンソンの大学の同級生と偶然でくわしたが、彼はフレデリック・ジョンソンの名を聞くと飲んでいた酒を吹き出した。それが脇にいた中年の太ったビジネスマンにかかり、乱闘が始まり、巻き込まれた私は気がつくと病院におり、その同級生と同室のベッドで目覚めたことから新たな友情が始まった。
 しかし、フレデリック.ジョンソンが何をしでかしたのかは、21世紀になった今日でも、教えてくれない。
(ひでき@CR-Zさんの日記に3月18日出現)
フレデリック・ジョンソン三等兵の結婚式という、物理的かつ文法的にありえない事態で、しかもスピーチなどを間違って任されたことがあった。
 奴の聞こえだけは良い、戦場での活躍や、大幅に脚色した彼の人格の優れた面などを私が一生懸命語っているのに、彼は幸福のあまり、大変しまりのない顔をしており、殴りたくてしょうがなかった。
 ところが、式の最中、突如として奴は深刻な面構えとなり、とうとう式の最後までそのままだった。
 奴と釣り合いがとれないほど顔の整った新婦がおろおろしているのにもまるで気づいていなかった。
 後日、奴に聞いたところでは、突如、何の前触れもなく、戦死したキャスパー・モレル軍曹の事を思い出し、彼にポーカーで負けがあったことが申し訳なくなって仕方なかったらしい。
 奴の思考回路がどうなっているのか不明だが、とにかく、あの式から20年経った今も、離婚していない。
(A4紙製戦車の日記に、8月17日に出現)

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