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無限会社 tagamixiコミュの企業価値 考察ネタ

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●時節に合ったネタなので書き留め。



「企業価値」を話題にする前に
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■本日の要点
今注目されている企業買収問題の議論からは、「企業価値」の本質は見えにくいものとなっています。本日は、「企業価値」とはそもそも何かを考える上で、企業が取るべき姿勢とはどのようなものかについてレポートしています。詳しくは以下の本文をご覧ください。

◆「企業価値」を話題にする前に必要なもの
まさしく「新しく興った」ビジネスの代表であるネット企業の若い経営者が、メディア規制で守られた某放送会社を買収する問題で巷が賑わっています。

中でもネット企業が某放送会社の株式を買い集める際に採った買収手段の是非が、政財官をも巻き込んでの論争になっています。現行の証券取引法の制度不備を突いたとは言え、一応のルールに則った買収手段であったにもかかわらず、「ルール違反だ」と大合唱して自分たちの都合で安易にルールを変更することは、企業再編の流れそのものを後退させるリスクがあるかもしれません。

また両社の証券アドバイザーが外資系証券と国内大手証券であるために、短絡的に「外資乗っ取り」に論点をすり替える向きもあるようですが、ひと昔前にアメリカで起こった日本製品に対する感情的な不買運動の「逆輸入版」のような気が個人的にはします。

いずれにせよ、「買収手段の是非」や「外資乗っ取り論」については各種メディアの論評にお任せするとして、気になったことは守る側の某放送会社が防衛手段として行った新株予約権の発行目的が「企業価値の毀損(きそん)を防ぐため」と表明したことによって、「企業価値」という言葉がにわかに争点となってきたことです。

私が「企業価値」という言葉をよく耳にするようになったのは、2000年前後のITバブル時に、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったIT系ベンチャー企業を中心とする多くの経営者が、株主に対して自社の経営目標を「企業価値の増大」と申し合わせたように表明してからです。

彼らが言っていた「企業価値」とは、すなわち「株主価値の最大化」、つまり自社の株価を上げて時価総額を最大にすることに主眼を置いたものでした。確かにITバブルに乗じた投資家や、自社株の大株主だったオーナー経営者の利害に一致する解釈だったため、当時は「企業価値」の定義として幅広く認知されていたように思いますし、今でも「企業価値=株主価値」と見る向きもあります。

確かに、企業の価値が株主または投資家のためだけにあるならば、「企業価値=株主価値」という単純な図式が成り立つかもしれません。しかし、企業の価値は株主や投資家だけではなく、顧客(消費者)や取り先や自社の社員や「その会社に就職したい」と考えている学生なども含めると、企業のステークホルダー(利害関係者)の定義はもっと幅広いはずです。

また、「企業価値」に限らず、そもそも「価値があるのか、ないのか」の判断は受け手がするはずのものなのに、価値を提供する側の企業が「我が社は幾らくらいの価値がある」と断定的に判断するのも変な話です。

もちろん、企業価値が高まって株主価値が増大するという構造そのものに異論を唱えるつもりはありません。しかし、今ひとつ見えてこないのは、両社が「何をもって企業価値と言っているのか」、つまり「企業価値を判断するための基準」がどちらも明確に示されていないことです。

攻める側のネット企業は「ネットとメディアを融合することで企業価値を高めることができる」と言っていますが、ネットとメディアを融合することで一体どのような新しい価値を持ったビジネスモデルが創造されるのでしょうか?また、守る側の某放送会社は「グループの中に残ることが企業価値を守る」と言っていますが、グループに残ることで「これまで以上に」どのようなメリット(効果)が生まれるのでしょうか?

これらが明確にならない限り、企業価値があるのかないのか判断はできないと思います。以前、期待価値だけが先行して実体価値が伴わなかったITバブルが崩れたことを考えますと、企業価値とは「実体価値」と「期待価値」のバランスが取れた総和と考えることができますので、企業価値を判断される側の企業はこの2つの価値基準を示す必要があると思います。

2つの価値基準のうち、「実体価値」とはその企業の業績を含む「現在のビジネスモデル」そのものから派生する価値と見ることができると思います。しかし、一方の期待価値は、その企業の『成長ストーリー』を中心とする無形資産としての価値になりますので、多様な受け手によってはその判断基準がブレる可能性もあります。

言い換えれば、受けて側の判断基準のブレをできるだけ最小限に押さえることができれば、期待価値は明確になり、そして最大化するのではないかと思います。そのためには、企業は不特定多数のステークホルダーに対して、将来への明確な『成長ストーリー』を提示する必要があるのではないでしょうか。私は、この「期待価値」を担保するものこそ「自分たちはこうなるんだ」という強い経営の意志ではないかと思います。

かつて「社会との協調」がテーマのCIブームがあったころ、企業はシンボル化されたマークやメッセージ、またはメセナといった万人受けする企業文化で「多様なステークホルダー」に「共通に接する」ことで企業イメージを高めようとしました。しかし、「外側から内側が(=自分たちが)どのように見られているのか」という「Outside In」型の関係性だけでは、結局その企業が持っている個性そのものが見えなくなり、コンピタンシー(他社との決定的な差別化要因)に裏付けられた「その企業ならではの」がなくなってしまったことは、今でも記憶に新しいことと思います。

現在、規模の追求に基づいた企業経営では競争優位が確保できなくなり、「その企業ならではの」という「個社ごとの質の追及」が求められるようになりました。それは企業が保有する価値を戦略的に統合する全社的な経営レベルでのマーケティングが求められるようになったことを意味しますが、そのために企業は「内側から(=自分たちから)外側に対してどのように見せるか」という「Inside Out」型の関係性に転換する必要があるのではないかと思います。

しかし、不確実な将来に対して上辺だけの『成長ストーリー』を提示したとしても、実体価値から大きく乖離していれば将来像を描いてもらうことはできません。そのためには何よりも、まず『コンピタンシーに基づく主体性"もたらすもの"を持つこと(=ブランド・アイデンティティ)』→『"もたらすもの"をはっきりと宣言すること(=ブランド・メッセージ)』→『宣言に基づいた企業行動を実際に行うこと(=ブランド・プロミス)』→そして『ステークホルダーに体験して実感してもらうこと(=ブランド体験)』というプロセスを認識し、そして実行することがますます重要になってくると思います。

今回の敵対的買収で両社が争点とする「企業価値」においても、足りないものは「まずは多様なステークホルダーとそれぞれどのような関係性を築くのか」という説明、つまり「自社ブランド形成のためのプロセスが見えてこない」ということではないかと思います。

両社の経営者は、どのような『成長ストーリー』で自社の企業価値を高めようとしているのでしょうか?
何を担保に『成長ストーリー』を実現させようとしているのでしょうか?
そもそも、『成長ストーリー』を認識しているのでしょうか?

ケン・ミレニアム株式会社 田中達也
(03/08 17:03)

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