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ハヤカワ・ポケット・ブックSFコミュの3251〜3300

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3251 暗い光年 B・W・オールディス 中桐雅夫訳
3252 海が消えた時 チャールズ・E・メイン 中上守訳
3253 魔界の紋章 ポール・アンダースン 豊田有恒訳
3254 馬は土曜に蒼ざめる 筒井康隆
3255 バベル=17 S・R・ディレーニイ 岡部宏之訳
3256 隠生代 B・W・オールディス 中上守訳
3257 人類の罠 ロバート・シェクリイ 井上一夫・他訳
3258 地球地獄 リヒャルト・コッホ 松谷健二訳
3259 第四次元 リーノ・アルダーニ 千種堅訳
3260 転位 エドマンド・クーパー 中尾明訳

3261 縄の戦士 ピアズ・アンソニイ 峯岸久訳
3262 生きている海 石原藤夫
3263 闇よ落ちるなかれ L・S・ディ・キャンプ 岡部宏之訳
3264 たそがれの地球 ポール・アンダースン 船戸牧子訳
3265 夜の翼 R・シルヴァーバーグ 佐藤高子訳
3266 両惑星物語 クルト・ラスヴィッツ 松谷健二訳
3267 エスパーお蘭 平井和正
3268 ニュー・ワールズ傑作選No.1 マイクル・ムアコック編 浅倉久志・伊藤典夫訳
3269 人間がいっぱい ハリイ・ハリスン 浅倉久志訳
3270 時のオデュッセウス 眉村卓

3271 不死販売株式会社 ロバート・シェクリイ 福島正実訳
3272 逆まわりの世界 フィリップ・K・ディック 小尾芙佐訳
3273 およね平吉時穴道行 半村良
3274 奇蹟の次元 ロバート・シェクリイ 三田村裕訳
3275 銀河は砂粒のごとく B・W・オールディス 中桐雅夫訳
3276 遥かなる日没 エドマンド・クーパー 中尾明訳
3277 草の死 (映画化名 最後の脱出) ジョン・クリストファー 片岡義男訳
3278 アイスワールド ハル・クレメント 小隅黎訳
3279 長く大いなる沈黙 ウィルスン・タッカー 矢野徹訳
3280 鳥はいまどこを飛ぶか 山野浩一

3281 未踏の時代 福島正実
3282 異境 光瀬龍
3283 小鬼の居留地 C・D・シマック 足立楓訳
3284 太陽神降臨 P・J・ファーマー 山高昭訳
3285 黒いカーニバル レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫訳
3286 流刑の惑星 クラーク・ダールトン 松谷健二訳
3287 タイタンの妖女 カート・ヴォネガットJr 浅倉久志訳
3288 神々の糧 H・G・ウェルズ 小倉多加志訳
3289 白壁の文字は夕陽に映える 荒巻義雄
3290 夢みるものの惑星 ジョン・D・マクドナルド 関口幸男訳

3291 光の塔 今日泊亜蘭
3292 緑の時代 河野典生
3293 虚構の大地 B・W・オールディス 山田和子訳
3294 宇宙への序曲 アーサー・C・クラーク 山高昭訳
3295 いばらの旅路 R・シルヴァーバーグ 三田村裕訳
3296 フェッセンデンの宇宙 小尾芙佐・他訳
3297 長い明日 リイ・ブラケット 久保田八郎訳
3298 闇の左手 アーシュラ・K・ル・グィン 小尾芙佐訳
3299 地衣騒動 ジョン・ウィンダム 峯岸久訳
3300 いまひとたびの生 R・シルヴァーバーグ 佐藤高子訳

コメント(5)

3300 『いまひとたびの生』 R・シルヴァーバーグ

ちょっと暗いけど面白かったです。 

未来世界では、裕福な人は半年に一回「霊魂バンク」に行って自分の知識や経験を磁気テープみたいなものに記憶させ、その人の人格「パーソナ」を常に最新の状態で保存させておく。その人が死んだら、その「パーソナ」は別な人間の脳の中に埋め込まれ、別な人間の心の中で生き返ることになる。といっても「パーソナ」が宿主を乗っ取るのではなく、宿主の心の中のもう一つの人格として共存し、互いによき相談相手となったりする。それでこの小説の登場人物たちも「死んでもパーソナとして誰かの心の中で甦ることができる」と思っている。

主人公の若い娘と、その富豪の祖父の強烈な個性も、読者の関心をぐいぐい引っ張っていく。

ただこれは一種の「不老不死」の話だけど、クローン人間と同じで、本当にそれで「生き返った」ことになるのかやや疑問を感じた。
3266 両惑星物語 クルト・ラスヴィッツ

18××年、三人の科学者を乗せた気球が、人類未踏の地であった北極への探検を敢行していた。しかし極地についてみると、小さな島の上に、明らかに人工と思われる基地が建てられていた。気球が制御不能になり、探検家たちはその基地の住民によって救われた。その住民たちは実は火星人だった。北極上空に宇宙ステーションが建造されており、そこは火星地球間航路の地球駅となっていたのだ。火星人たちは男性が白髪であるほかは、おおむね地球人とそっくりだった。火星語も難しくなく、探検隊員たちは火星人たちと親交を結んだ。実は火星人は何十年も前から地球に訪問しており、第一次地球探検の隊長であったアルは、ドイツで地球人女性と結婚し、エルという子を設けていた。やがて探検隊員ら数名の地球人が火星を訪れたが、その出発の際、英国海軍と不運な武力衝突を起こし、それが火星人が地球人を危険視する火種となった。

やがて火星は英国と戦争状態になり、容易に勝ちを収め、ヨーロッパ各国は火星の北極での主権を認めるようになる。火星人は個人の自由の尊重、平和主義を旨とする種族だったが、地球人とりわけヨーロッパ列強の好戦的態度に直面し、地球人を火星のよりよき道徳心で導こうと考え、それはやがて火星人の武力を背景とした強制的な教化になっていった。地球人の間には、火星の文化を取り入れつつもその圧制から脱しようという機運が高まっていく。

火星の女ラーと地球人探検家ザルトナーとの恋、火星人と地球人との混血児として火星の重要人物となっていくエルの苦悩などが生き生きと描かれている。火星の重力が地球の三分の一しかないことからくる両惑星人の接触の困難さは、重力調節装置によってほぼ解決される。宇宙船が超光速を実現する手段として「宇宙エーテルの爆発」を利用するというのは、アインシュタイン以前の小説としてはやむえないところか。

1897年に出版されたドイツの小説。ヴェルヌ、ウェルズ以前に発表された画期的なSF作品だが、古きよきヨーロッパの風俗も垣間見える楽しい小説。
3256 隠生代 ブライアン・W・オールディス

時は2090年代。CSDという薬品によって人々は精神だけを過去に送り込む「マインド・トラベル」を可能にしていた。主人公エドワード・ブッシュは「空間動群画」を得意とする芸術家で、この二年というもの人類の生れるはるか以前のデヴォン紀を旅して、その風景をもとに創作活動を行なっていた。久しぶりに2090年代に戻ると政情は不安定化しており、マインド・トラベルの高い能力を持っていたブッシュは芸術家としてではなく、軍人として働くことになった。現政権の敵、反革命派の指導者シルヴァーストーンを抹殺するのが使命である。しかしブッシュは自分の先祖たちの時代を見聞し、反革命派と交流するうち、シルヴァーストーンの側に寝返った。彼らは誰の邪魔も入らない地球の創成期「隠生代」へとおもむく。シルヴァーストーンによれば、真の時間は未来から過去へと流れており、これまで人間の意識はそれを歪曲して理解してきたのだという。

結末が安直で、肩透かしを食わされるようだ。時間に関するシルヴァーストーンの革命的理論が、物語の中で十分生かされないまま終ってしまう、そんな印象が残る。
 3299 地衣騒動

 ダイアナ・ブラックリーはダア・ハウス開発研究所に籍をおく生化学者だった。ある日、彼女がいつも猫にやっているミルクの皿に、ある種の地衣類(藻類と菌類の共生体)が繁殖しているのに、彼女と所長のサクソバー博士は気が付いた。地衣類は抗生物質として医療に役立つことがあるため、サクソバー博士はその点について研究してみるといってサンプルを持ち去った。ダイアナもその地衣類を自分で調べてみた。

 結果、それは驚くべき性質を持った物質であることが分かった。それは、人間の代謝を遅らせる働き、すなわち人間を長生きさせる働きを持っていたのだ。サクソバーもダイアナもそのことを突き止めたが、互いにそれを隠し、ダイアナは突如研究所を退職する。その「超寿物質」はのちにアンチ・ジェローンと名付けられた。

 ダイアナは「ネフェルティティ」という高級美容院を始め、客にアンチ・ジェローンを投与して、文字通り客の「若さを保つ」施術を行った。しかしアンチ・ジェローンにアレルギーを起こした婦人がネフェルティティを訴えたことから、ダイアナは十四年ぶりにダア・ハウスのサクソバー博士に連絡を取る。博士はあくまでアンチ・ジェローンの効能について公表を避けており、自らと自分の子供たちだけにその投与を行っていた。サクソバーの娘ゼファニーは自分が二百年も生きることを知らされ、衝撃を受ける。息子のポールも同様に驚いたが、自分の妻も同じく長生きする権利があると主張、しかしポールの妻はこれを金儲けの種と考えたため、アンチ・ジェローンの秘密が広く流出し、やがてマスコミをにぎわすようになる。

 ダイアナがアンチ・ジェローンについて正式な発表を行ったが、今のところイギリス全国民に行き渡るだけのそれは確保できないと言わざるを得なかった。かつての発明品と同じくそれを多く製造することもやがてはできるだろうという楽観論もあったが、人間が二百歳まで生きることによる食糧問題、次の世代に起こるであろう失業問題を重く見て、アンチ・ジェローンの製造は禁止するべきだ、という声もあった。
さまざまな利害関係にある勢力がうずまき、ダイアナはなんとか事態を収拾しようとするが、暴徒によって暗殺されてしまう。ただしこの物語はハッピーエンドで終わる。

「人間が二百歳まで生きられる薬品が開発されたと人々が知ったら?」という設定で社会の各層が次々とテンポよく映し出されていくさまは面白く、かつリアルである。実際に人々が長生きするところは描かれていないから、その際に起こる社会の変動については、読者の想像に任されている。
3295 いばらの旅路 R・シルヴァーバーグ

 宇宙飛行士ミナー・バリスは惑星マニプールで異星人に捕えられ、その外科医たちによって改造手術を受けた。理由は分からない。その手術によってバリスのまぶたは縦に付けられ目が左右に開くようになり、口は絶えず円形に大きく開き牙がむき出しであり、両の手のひらには何の役に立つのか分からないミミズのような触手が付いており、内臓も徹底的に作り変えられた。地球に戻ってきた彼は、その醜い姿を人前にさらすまいと隠れて生活するようになった。

 ロナ・ケルビンという十七歳の少女は、ある医学実験のため卵子を提供し、処女のまま百人の赤ん坊の母親となった。彼女も世間の好奇の目に耐えられず、ひとり目立たぬようにひっそりと暮らしていた。

 全世界に娯楽を発信しつづけ巨万の富を築いたダンカン・チョークがこの男女に目をつけた。ぶくぶくに太ったチョークは人の苦しみを栄養源にするという奇人だった。彼はバリスとロナを恋人同士になるようしむけ、二人の愛の語らい、セックス、また憎みあって喧嘩する姿を格好の娯楽として全銀河に発信した。
 しかし二人は最後までチョークの操り人形のままではなく、恐ろしい復讐を遂げるのだった。

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