ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

メルヴィルよ永遠なれコミュのメルヴィルの死を知った瞬間の記憶について

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
1973年8月30日医学部1年生の晩夏。
ボクは帰郷していて、毎日ホールに日参し「日本の喜劇映画」tぴう特集上映を観ていた。以下は、その辺りの日記からの抜粋である。


<『にっぽんのお婆ちゃん』『気違い部落』> 
毎日ホール・自主上映(8/30)

今井 正の『にっぽんのお婆ちゃん』は随分と厳しい映画で、最初は老人を主人公としたコメディかと思っていたら、流石は今井 正だ。社会派の重喜劇で、ひとの死も絡んだ展開は重たく鋭い。

北林谷栄、ミヤコ蝶々、飯田蝶子、原泉、浦辺粂子、村瀬幸子、岸 輝子、東山千栄子などにっぽんの婆さん女優総出演の感あり。

『気違い部落』はむかしNHKで何度も放映されているから何度も見たが劇場でみるのは初めてだ。

東京郊外の極貧の村が舞台のやはり重々しい喜劇である。淡島千景が綺麗だ。水野久美はこれがデビューなのか?

松竹映画の水野をみたのは初めてだった。きだみのる原作。菊島隆三脚本。

それにしても差別用語2連発のこの映画は題名だけでもテレビ放映はむりだろう。そこに極貧を描いたのだから、いまのような事なかれ主義の安全路線では極貧だけでも差別と考えて放映されるはずはない。人間観察が行き届いた重喜劇、決して大笑いしたりする映画ではない。


この映画を見て、その足で新学期のために帰京することになった。

いつもの新幹線。新大阪〜東京間4130円也。

水了軒の八角弁当とお茶を買い込み座席に着く。丁度名古屋を過ぎたあたりであったろうか、ボクは週刊誌の記事の1行に目が釘付けになってしまった。


そこには8月2日に亡くなったフィルム・ノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルヴィル監督の回顧上映が東京の名画座で早速企画された・・・、という記事だった。

何だって!メルヴィルが死んじゃったんだと!

初耳であった。

ボクにとって一生に1本という映画『影の軍隊』を見せてくれた恩人メルヴィル。

初めてひとりで名画座通いを始めた頃シビレた『ギャング』、親戚のいとこのお姉さんに奢ってもらった『サムライ』、遺作となった『リスボン特急』はついこの間のことじゃないか!


後で分かったことなのだが、ボクが映画開眼したジャック・ベッケルの『穴』はメルヴィルのスタジオで撮影されたものであった。

そういう因縁の運命の糸によって関係が確かめられたメルヴィルとボク。

若いからこその強引なる理由付けだったかもしれないが、初めて人間は死んじゃうんだと新幹線の座席で思い知ったのである。

そこでボクは決心した。
恩人の喪に服すことを。

1ヶ月はどんなことをしても映画を絶って、我慢することにしたのである。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

メルヴィルよ永遠なれ 更新情報

メルヴィルよ永遠なれのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング