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Pの『THE つだん部屋』コミュの【】このお札、絶対見ないで下さい

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【コピペ】



僕が中学3年生のときのことです。

これから冬になろうとするその季節には珍しく暖かい日のつづいた11月、京都・奈良への修学旅行に行きました。

〈この旅行で出会いがあるかも……〉

などと、淡い期待を抱いてバスに乗りこんだのを覚えています。
それがまさか、あんなことが起こるなんて……。

それは旅行2日目のホテルでのことです。

修学旅行というと、どこでも大部屋に10人くらいがいっしょに泊まるものだと思いますが、僕たちもその例に漏れず、11人がおなじ部屋に泊まることになっていました。

夕食はすでにすませて到着したので、お風呂の順番が来るまで部屋で待機していました。
誰かが持ってきたトランプで遊ぶ者や、2、3人で女の子の部屋に行く者や、みんな思い思いに過ごしていました。

僕は携帯オセロで友達と対戦です。

夢中になっていると、床の間のほうから友達のひとりが

「おい、これ見ろよ」

と大きな声をあげました。

張り紙を見つけたようです。
古びた掛け軸の隣に、これまた古い名刺大の張り紙がありました。
どのくらい経っているのかわかりませんが、日焼けして茶色になっています。
友達が興味を引かれたのは、その張り紙に書かれた言葉でした。


『この掛け軸の裏にはお札があります。
絶対に見ないでください』


何人かが覗きこむと、

「見てみようぜ」

という者がいました。

ひとりでは絶対に見ないと思いますが、男子が11人。
一言で見ることに決定です。
誰が掛け軸を開けるか、ということでは少しもめましたが、公平にジャンケンです。

ジャンケンに負けたのは……僕でした。

「ちょっと開けるだけだぞ」

そーっと掛け軸を下から開けていったそのとき……。

「う……目、痛てえ」

友達のひとりが突然、目を押さえてうずくまりました。
友達の目を見ると、さっきまでなんともなかったのに、左目が真っ赤に充血していました。
驚いて先生を呼び、友達は救急車で病院へと運ばれていきました。

この騒ぎで、掛け軸のお札を見るのは中止です。

「おい……、祟りじゃないよな」

騒ぎはすぐにクラスじゅうに広まり、僕たちの部屋に大勢が集まってきました。
しかし、誰ひとりとして掛け軸をめくってみようとする者はいませんでした。

その夜、病院に運ばれた友達は左目に眼帯をつけて帰ってきました。
医者にも原因はよくわからないらしく、

「埃が入ったのではないか」

ということでした。

消灯まで枕投げ、消灯後は「恋の話」と盛り上がっていたのですが、先生の一喝でみんな寝ることになりました。
寝る場所もジャンケンです。
今度は2番めに勝った僕は、掛け軸からなるべく遠い場所を選びました。

みんな驚くほどおとなしく、布団に潜りこみました。
あたりが静まり、寝息やいびきが聞こえはじめると、僕の目はどんどん冴えていき、どうしても眠れません。

「……誰か、起きてる?」

ささやくような声で呼びかけてみました。
すると、遠くのほうから、

「俺……起きてるよ」

というかすかな返事……。
掛け軸にいちばん近い場所にいる友達です。

僕とその友達はなんだかこの部屋にいたくないと話し合い、ほかの男子部屋に行こうと、廊下に出ました。

「隣に行ってみるか?」

そういって振り返った僕は、その場で凍りつきました。

たったいままでそこにいたはずの友達の気配がないのです。
消灯後の部屋は暗かったのですが、たしかに友達の気配も感じ、声も聞き、いっしょに部屋を出たはずです。

その場にいるのが怖くなった僕は、隣の部屋に逃げこみました。
その部屋も真っ暗です。

「誰か……起きてる?」

返事はありません。

しばらく、ようすを窺っていましたが、目を覚ます者もいないようなので、僕は諦めて自分の部屋に戻ろうとしました。

と、そのときです。

「……カシャ……カシャ」

壁越しに奇妙な音が聞こえてきました。

考えてみれば、僕が逃げこんだ部屋は、あの掛け軸と壁を鋏んだ反対側にあったのです。

恐怖心と好奇心が混ざり合って、心臓がドクンドクンと音をたてました。

廊下に出て、自分の部屋に向かうと、襖は出てきたときのまま開いています。
そっと覗きこんだ僕の全身の血がサーッと音をたててひくのがわかりました。
目の前の光景が理解できません。

真っ暗な闇のなかに光る掛け軸……。

その後ろから出てくる、落武者……。

ひとり……ふたり……。

「……カシャ……カシャ」

歩くたびに、鎧の擦れる音が響きます。

3人の落武者が出てくると、掛け軸にいちばん近いところに寝ている友達の枕元で止まりました。
さっき僕と話したはずの友達です。

いやな予感がする……。
そう思うのですが、足が動きません。

「シャキッ……」

青白い刀の光が、落武者の姿を照らすように光りました。
額がぱっくり割れ、鎧を血で染めた姿を……。

恐怖のあまり僕が息を呑んだ瞬間、

「ザクッ」

友達の顔をめがけて、刀が振り下ろされました。

「……う……うわ……」

声を出すこともできませんでした。

「……カシャ……カシャ」

鎧の音をさせながら、枕元を歩く3人の落武者は、つぎの友達のところに行くと、ふたたび「ザクッ」と、聞いたこともないようなおぞましい音をたてて刀を振り下ろしました。
つぎつぎと刀が振り下ろされ、ついに僕が寝ていた布団のところまで来ました。

「……カシャ……カシャ」

落武者は何かを探しているように、歩きまわります。
僕にはわかっていました。
僕を探しているのだと……。
けれども、どうしても足が動きません。

襖の前に立ち尽くす僕のほうにゆっくりと鎧が向かってきました。

「く……来るな!」

震える唇からは、かすれたような声が漏れるだけでした。

「……カシャ……カシャ」

僕との距離はもう2メートルほどしかありません。
落武者は刀を振り上げました。

「……死ぬ……」

かぶとのなかのぱっくりと割れた額を見ながら、僕は意識を失っていきました。

……気がつくと朝になっていました。

昨夜のことを友達に話しましたが、信じる者などありません。
夜中に僕と話した友達さえ、何も覚えていないといいます。

「じゃあ、確かめてみようよ」

もうホテルを出発するという時間になって、誰かがそう提案すると、すぐに掛け軸をめくりに行きました。


「…………!」


そこにいた者はみんな、言葉を失いました。

昨日見たときになかったものが、そこにあったのです。
黒ずみ、何年も前のものだと一目でわかるような手形……。
おそらく、血の手形です。

修学旅行から戻ったあと、全員ではありませんが、何人かが原因不明の目の痛みに襲われたことと、あの掛け軸とのあいだに関係があるかどうか。
いまとなってはわかりません。

コメント(1)

こっわ!!
夜中に読むんじゃなかった(TT)

息子は修学旅行の夜、藤娘の人形が藤の枝を振ってうるさいとケースを開けて
枝を取り除いたそうです・・・・さすがワタシの子だww

R嬢さん、ご懐妊おめでとうございます♪
お健やかに〜

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