ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

Pの『THE つだん部屋』コミュの【1007】心霊写真

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【コピペ】



これは私が体験した話です。

あれは、高校卒業後就職した会社での社会人1年目の夏のことでした。初めての社員旅行で、社長が個人的に持っている別荘に行ったのです。私は初めてということもあり、少し緊張していました。


私が勤めていた会社はとても小さく、社員も、社長、専務、部長、男性社員が2人、女性社員が2人。肩書もあまり関係なく全員で仕事をして、全員家族のようなアットホームな会社でした。
社長は元々かなり大手の会社に勤めており、定年後独立し、今の会社を作りました。
かなりヤリ手らしく、独立後わずか数年で会社を軌道にのせました。
ところが、ある時、会社の経営が危ないのではないかと噂が立ったのです。その噂の発信源は男性社員のAさんでした。Aさんによると、売上と支払の差が素人でも分かるほどひらいているとのことでした。経理については社長が一切を仕切っていたので真実はわかりません。私は、平社員には分からないような利益があるのではないか?とAさんに言ったのですが、Aさんは納得していないようでした。
私は自分のお給料は毎月きちんともらえているし、会社が倒産するというのは他所の話であって、自社が…というのは当時の私にとって現実味のない話でした。それから暫く経った頃、またAさんが話かけてきました。
「やっぱウチの会社ヤベーよ!」
「何がですか?」「これ、見てみ」「…」
その書類には債権調査の内容が記載され、書面の最後に〔破産管財人 弁護士○○〕のようなことが書いてありました。
「Aさん…これどこで見つけたんですか?」
「社長の机!」
「…」

その数日後、Aさんが来月末で退職することが朝礼で報告されました。

社員旅行は、Aさんの送別会もかねており、参加者は社員全員でした。別荘は有名な避暑地にあり、建物もオシャレなペンションでした。私はもう一人の女性社員のM子さんと同室でした。荷物を持ってその部屋に入ったとたん、イヤな感じがしました。それはM子さんも同じだったらしく、
「ねぇ…この部屋気持ち悪くない?」
「そうですね…」なんというかその部屋は、そこにいるだけで不安になるのです。あの時の感覚を言葉にすると、まさしく「不安」でした。でも、社長の別荘ですし部屋数も限られていたので、私達は我慢することにしたのです。

そして夕食。
別荘には住み込みのお手伝いさんがいらっしゃり、夕食の準備やら何やら全てこの女性がやってくれました。びっくりするほど美人なのですが、一言も喋らず、怖い印象だったのを覚えています。
夕食という名の飲み会を終え、お風呂に入って部屋に戻ったのが夜の11時頃だったと思います。M子さんと一緒に戻ったのですが、何故か私は部屋に入れませんでした。怖くて不安で泣いてしまったのです。
私が泣き出したのでM子さんはビックリしていました。何故泣いてしまったのか当時の私はわかりませんでした。そして何故か、
「Aさんと部屋をかわってもらいたい…」と言ったのです。何故かわかりませんが、Aさんがこの部屋に泊まらないといけないと強く思ったのです。

その後、適当な理由をつけてAさんと部屋をかわってもらいました。
Aさんはすんなり部屋をかわってくれました。
荷物の移動もAさんがしてくれ、私達は気持ち悪い部屋から逃れることができたのです。

「大丈夫?突然泣き出すからビックリしたよ。」
「すみません。」
「何か見えたの?」
「…霊的なものですか?」
「霊感とかあるの!?」
「いえ、ないですし、何も見えませんでした。でも、やっぱりこの部屋の方が落ち着きますね。」
「そう?アタシはこの部屋のほうがかなり気持ち悪いけど…。」
そう言ったM子さんの顔がひきつっていました。
今思えば、確かにその部屋は気持ち悪かった…というより明らかに女性の部屋だったであろう形跡が残っていました。
大きな鏡台や綺麗な装飾が施された照明。
でも、私はその部屋にとても安心感を覚えました。

そして夜。
ふと目が覚めました。深夜の2時くらいだったと思います。どこからか「うぅ…」といううめき声が聞こえたのです。
ぱっと目を開け、声のする方を見ると、あのお手伝いさんがM子さんの首を絞めていたのです。M子さんの上に馬乗りになり、全体重をM子さんの首にかけているのです。
うめき声はM子さんのものでした。私は「ひっ!」と声をあげてしまいました。お手伝いさんはゆっくりと首だけをひねるようにして、こちらに顔を向けました。
「なっ…なにするんですか!?」
私は飛び起き、お手伝いさんを突き飛ばしました。
「M子さん!!M子さん!!」
私は泣きながらM子さんを必死に起こそうとしていました。
「なんでこんなことするんですか!?」
私はお手伝いさんに向かって色々なことを叫んだと思います。
でも、お手伝いさんは私には見向きもせず、ベッドから少し離れた所に立ち、首をかしげたままM子さんのことをじっと見つめています。
…なにこの人…
その普通じゃない姿を見て、背筋にツッと冷たいものが伝いました。
とにかくM子さんを起こさなきゃ。そう思い、M子さんの肩を揺らし、必死で呼び掛けました。
「M子さん!M子さん!!起きて下さい!!」
私はゆさゆさとM子さんの肩を揺らしました。
「M子さん!!」
その時です。

「何してる!?」と怒鳴り声が聞こえ、私は突き飛ばされました。

「なんてことするんだ!?」
Aさんでした。
私はM子さんを揺り起こしていただけです。酷いことをしようとしていたのはあのお手伝いさんです。
「私は何も!」
するとM子さんが震えながら、
「T子(私)に突然首絞められて…」

そんなバカな。
首を絞めていたのはあの…

そこにはもうお手伝いさんの姿はありませんでした。
結局、私が寝ぼけていたということで話はまとまりました。

翌朝。

朝食の準備が出来たと、M子さんに起こされました。
私はあんなことがあったのに、熟睡してしまったようです。あれは夢だったのか。ふとそんな事を思ったのですが、M子さんの首にはくっきりと指のようなあとが残っていました。
「M子さん…あの…」
「いいのいいの!もぅ寝ぼけすぎでしょ〜(笑)」
そう言って笑ってくれましたが、なんとなくギクシャクしていました。
ダイニングに行くと、すでにAさんが席についていました。なんとなく気まずい雰囲気でしたが、元気におはようございますと挨拶し、席に着きました。
「昨日はすみませんでした。でも、なんで私達の部屋に来たんですか?」
私は笑い話にしようとしたのですが、失敗してしまいました。Aさんいわく、夢を見たのだと。私が、誰かを殺す夢です。その夢で目が覚め、いてもたってもいられなくなり、私達の部屋にきたのだそうです。
気まずい雰囲気が一層濃くなり、そのままキッチンに逃げ出してしまいました。
キッチンでは、お手伝いさん朝食の準備をしていました。

「あの…、すみません。昨日の夜、私達の部屋に来ませんでしたか?」
私は思いきって聞いてみました。しかし、お手伝いさんは私の顔を見てニッコリ微笑むだけで何も答えてくれませんでした。

結局、その件はうやむやになり、帰宅時間になりました。

帰り際、社長が集合写真を撮ろうと言い出しました。
「ちょうど使い捨てカメラを持っていてね。記念にね」

私が一番下っぱなので、カメラマンに志願し、社長が持っていた使い捨てカメラで集合写真を撮ることになりました。
社長の使い捨てカメラの残り枚数1枚。
ペンションの前に集合し、みんな私の方を向いています。
あのお手伝いさんもちゃっかり並んでいます。
…撮ってくれてもいいじゃん…
でもまぁいいか、と思いながら掛け声を掛けました。
「じゃあ、いきますよ〜!!はい、チーズ!!」





社員旅行から約1年後、会社倒産の報告を受けました。
私は幸いにも、比較的早く就職先を見つけることができました。しかし、あれから色々なことがありました。

会社が倒産してから、3ヵ月ほど経った頃でしょうか。私は既に再就職し、新しい生活にも慣れてきたところでした。
突然、専務に呼び出されたのです。
喫茶店に入ると、専務が席についていました。
「おっ!T子!」
「お久しぶりです!」
しばらく世間話や新しい仕事の話などをしました。そして、専務がおもむろに封筒を差し出したのです。
「これは、T子の分だ。」
なんだろうと思い、封筒を開けると、中には現金が入っていました。確か、30万ほど入っていたと思います。
「これ、何ですか?」
「退職金だ。社長のかわりに私から渡しておく。」
それから専務は、会社を潰してしまい、本当に社員には申し訳ないことをしたと、社長が言っていたこと、このお金は社長がせめてもの償いにと個人的に社員全員に用意したものだと涙ぐみながら話してくれました。私もつられて泣いてしまい、しばらく二人で泣いていました。あのアットホームな会社はもう無いと思うと、本当に寂しい気持ちでいっぱいになりました。
厳しくもあり、優しくもあり、父親のような存在だった社長。社長は会社を愛し、社員を愛していたと思います。



※コメントに続きます

コメント(1)

※続き



「社長は、お元気ですか?」
「………亡くなったよ。」



え?


「社長は先月亡くなった。社員旅行で行ったペンションを覚えているか?あそこが火事になって、おそらく煙にまかれて…建物も全焼した。タバコの火の不始末だそうだ。」

「…そんな…まさか…お葬式とか、告別式は…?」
「社長の奥様もすでに他界されていて、息子さんの希望でごく親い方々のみで行ったよ。会社から参加したのも私だけだ。」
ショックでした。社長が…あのペンションが…

「…ペンションにいたお手伝いさんは無事だったんですか?」
「お手伝いさん?」
「はい。社員旅行のとき、私達のお世話をしてくれたお手伝いさんです。」
「そんな人いないよ。」
「…またまたぁ!専務!夕飯の支度とかしてくれたじゃないですか!あのキレイな女性ですよ!」
「夕飯の支度はM子と君がしただろう?」
「…。」
「名前は何ていう人だ?」
「名前は聞いていません。」
「何か他の行事と勘違いしてるんじゃないか?」
「そんなはずないです!」
「う〜ん。そうか?まぁ、とりあえず亡くなったのは社長だけだ。それにしても、何もあのペンションで亡くならなくてもなぁ…」
「どうしてですか?」
「ん?あ、いや、まぁあれだ、T子には関係ないことだ。じゃあ、忙しいところ悪かったな。元気に頑張れよ!その金はちゃんと貯金しろよ!じゃあ、またな!」


一人残った喫茶店で、専務が言っていた言葉を反芻していました。


そして理解しました。社長はあのペンションに愛人を囲っていたのではないでしょうか。
あのお手伝いさんは社長の愛人だったのでしょうか?
本当のことはもうわかりません。しかし、私の予測は当たっているような気がします。

何故、私だったのか。何故、彼女の姿が私にしか見えなかったのか。

彼女はきっと、社長のことが大好きだった。2番目の女で十分というポーズをとりながらも、いつか奥さんと別れて、自分と結婚してくれるんじゃないかと淡い期待を抱いていた。けれど、社長は家庭に帰ってしまう。
奥さんさえいなければ。
奥さんさえいなければ。
奥さんさえいなければ。

私は彼女そのものだったのです。





当時、私も不倫をしていました。
相手はAさんです。



あの夜、私は本当に殺そうとしていたのかもしれません。




Aさんの奥さんであるM子さんを。





それから数年が過ぎ、そんな出来事もすっかり過去の思い出話になったころのことです。

部屋の片付けをしていると、使い捨てカメラが出てきました。
なんだろうと思い、現像しました。
数日後、写真が出来上がり、見てみると猫がたくさん写っていました。
社長の猫です。
社長は飼っていた猫を溺愛していました。
猫の肉球、猫の後ろ姿、猫の寝顔。久しぶりに社長の顔を見たのと、猫への尋常じゃない愛情を感じる写真を見て、思わず笑ってしまいました。
でも、なぜこんなものがウチにあるのか…

あっ!!そうだ!
社員旅行で集合写真を撮った!

現像を頼まれていたのですが、バタバタしていてすっかり忘れていました。


懐かしい。最後の一枚だから、失敗してはいけないと緊張しながら私が撮った写真です。

最後の一枚に写っていたもの、それは、












燃え盛るペンションの前で微笑む、お手伝いさんでした。



※終わり

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

Pの『THE つだん部屋』 更新情報

Pの『THE つだん部屋』のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング