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Pの『THE つだん部屋』コミュの【20】黒猫 前編

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※狐憑きにあった方はお気をつけください。未成年閲覧禁止。


10月も後半。

寒さが、あくるたび。

身に染みてヒタヒタと近づいて来ていた。

「この子は私が引き取ろう」

六畳ほどの居間に黒爽の厳かな声が響いた。

私は黒爽と目があった。

対面しているキツ姉は小さくため息をついて。

テーブルに置かれた黒い便せんをひと睨みして。

お茶をズズッとすする。

その様子を私はキツ姉の膝の上で眺めながら鎮座している。

「養っていけるんですか?」

「もちろん」

「貴女はアパートに住んでいますが…」

「大家さんなら了承してくれている問題ないさ」

キツ姉の追求に黒爽はニヤニヤと笑って答える。

すでに手を打っている、と言わんばかりだ。

「ではお好きに」

キツ姉は目を閉じると、呆れた口調で告げた。

私の両腕には一匹の黒猫が丸まって黒団子みたいになっていた。

この黒猫は昨日。

キツ姉宅の入り口に黒い便せんを口にくわえていた。
私はそれに気付き、黒猫に「お前どっから来た?その便せん何だよ?」と絡んだが。

黒猫は知らんぷり。

お前なんか眼中にない、と言った感じだった。

黒猫はただただ入り口の向こうを見つめていた。

視線を追うと。

縁側でキツ姉が眉間にシワを寄せて猫を睨んでいる。
しかも、狐の尾が九本ユラユラ揺らいでいる。

臨戦態勢だった。

「お前悪い妖怪なのか?」

私はしゃがんで猫に問いかけた。

キツ姉がしきりに「離れて!」と言っていたが、私には黒猫が悪いものには視えず。

黒猫を抱き上げて金色の瞳をジィッと見つめた。

お互いやましいことがないか腹の探りあいをするように。

そうしていると、この黒猫は何かあるかなー?と感じ。

離れようとした矢先。

黒猫は鼻先を私に擦り付けてじゃれてきた。

くすぐったくて。

嬉しい。

温かい気持ちが体を伝う。
私は黒猫を抱き締めた。

黒猫は、気持ち良さげに眼を細めた。

「マー君!離れんしゃい!」
裸足で駆け寄って来たキツ姉は私の名を叫び。

黒猫を退けようと手を風を切って伸ばしてくる。

私はそれを、ひょいひょい、とかわす。

「良い子だから…その猫、キツ姉にくれない?悪いようにはしないから」

キツ姉は配下の狐霊を従えながら、作り笑顔で誘う。
「嫌だ」

断固拒否。

キツ姉が良からぬことを考えていることは明白だった。

「どうしてもダメ?」

キツ姉は小首を傾げて。

一歩近づく。

「ダメったらダメ!キツ姉なんか企んでる!」

私は一歩後ずさる。

「じゃあキツ姉、マー君にお仕置きしようかな〜」

「お、お仕置きってなにさ…!?」

「ん〜どれにしよっかな迷うね」

キツ姉は顎に人差し指を当てて、先ほどとは打って変わって無邪気に笑う。

一歩、二歩、三歩…!

軽快にササッと近づくキツ姉。

私は慌てて後ずさるが、背中は塀の壁に当たった。

後ろを見ると、行き止まりだ。

嫌な汗が脇の下から流れ落ちる。

…しまった!

「マー君ってまだ剥けてなかったよね?いっぱい痛くしながら剥いてあげる」

キツ姉は私を壁に追い込むと、唐突に身体の欠陥について問う。

私は思い当たるふしに顔が、カアーッ、と赤くなる。
「私を怒らせるからいけないんだよ?」

ひたり、と私の頬に冷たい感触。

…怒らせちゃいけない。

鼓動が痛いほど速まる。

緊張して。

私は蛇に睨まれた蛙のように動けなかった。

「いっぱい反省してね」

キツ姉の手が肌をつまんだりして弄び。

爪を少し立てながら首筋を、つーっ、と下り。

私より大きな手のひらが胸を撫でる。

「んっ!」

そしてキツ姉の細い指先が、つんつんと私の急所をつつく。

ぱーん!

「っ…マー君…痛いよ?ふーん、私に反抗するんだ?」

私はあまりの恥ずかしさに片手でキツ姉の手をひっぱたたいてしまった。

キツ姉は拗ねたように言い。

恨めしそうに私を睨む。

赤い舌で少し腫れた手の甲を、ペロリ、と舐めると、私のほっぺをギュ〜っとつねる。

「ほら、猫を渡さないとキツ姉…こんな風に鬼になっちゃうよ?それでもいいの?」

頬に食い込んだ爪の痛み。
私は眉を潜ませながら、猫を強く抱き締める。

「ふーん、今夜はマー君のお父さんとお母さんいなかったよね?」

キツ姉は無表情のまま、私の頬を両手で力いっぱい引っ張る。

私はただただ肩を震わせた。

「お風呂の時間になったらマー君の服を脱がせて…両手を縄を縛って…チンチンの皮を…一気に剥いちゃったらどうなると思う?」

キツ姉は狐みたいな顔でニンマリと笑い、耳元で囁く。

私は怖くて、膝がケタケタと鳴く。

「そうしたらチンチンからぴゅーって血が出て…マー君死んじゃうかもしれない。嫌でしょ?」

正直嫌だ。

私は内心、猫を差し出してしまいたかった。

だが、良心の呵責からそれができずにいた。

「君たち、何を遊んでるんだ?」

張り詰めた弓が飛翔する時を今か今かと待つ間に。

場違いな。

和やかな声が響いた。

キツ姉は振り返ると。

チッ!

と、舌打ちした。

「別に…いち保護者として躾ていただけです」

キツ姉は吐き捨てるように言うと、頬から両手を離した。

着物の乱れを直し、そっぽを向いてしまう。

「過度な躾は…教師としては見逃せないからほどほどに」

黒爽は腰に手を当てて苦笑し、私と黒猫を見つめると。

なるほどな、と意味深に呟いた。

「家にあげたくはありませんが、こういった場合仕方ありませんね」

キツ姉はため息をつくと、入るよう乱暴に手を振って促した。

「そうだな、君も裸足なことだし」

「なっ!?よ、余計なお世話です!」

キツ姉は黒爽の指摘に、真っ赤になりさっさと家に入ってしまった。

それでも、黒猫は腕の中で安らかに眠っていた。


前編完

コメント(4)

みっけた。

R嬢さんのコレクションだったのですね

お邪魔します。



|壁|ω・`;)あせあせ(飛び散る汗)

見つかったのですねあせあせ(飛び散る汗)


⊃旦

粗茶ですが、どうぞ。
まぁ。いただきます。( ^^) _旦~~

あちこち探してしまいましたあせあせ(飛び散る汗)

すみません


|壁|ω・`)

探して頂けるなんて光栄です。

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