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Pの『THE つだん部屋』コミュの【538】山のなか

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※グロ注意※



【コピペ】



申し訳ありませんが、一切心霊とかではないです。


私は生まれは神奈川なのですが、家内の両親と同居するために、
30の時に家内の故郷である北海道に引っ越してきました。
それから約30年、すっかり北海道が故郷となった私ですが、
死ぬまで忘れられないであろう出来事に遭遇したのは今から5年前のことです。

昔から山歩きが趣味の私は、仕事の休みの日には、よく山登りを楽しんでいました。
北海道の雄大な自然に満ちる山々を歩くと、まもなく還暦になろうかという身体に力が沸いてくるのです!

その日もそんな素晴らしい天気と陽気に恵まれた絶好の山歩き日和でした。
意気揚々と山道を歩き、自然の素晴らしさを堪能していた私ですが、
1時間ほど歩いた辺りで、森の奥から信じられないものが出てきました。

それは上半身裸の女性でした。
ですが驚いたのは、上半身裸ということではなく、その女性の惨状です。
顔半分はどす黒く変色し、ほほの辺りはザックリと割れ耳も取れかかって、
右腕は刃物で裂いたように肉がズタズタになり、様子からして肩の骨も折れているようでした。

私も北海道暮らしが長いですから、一目で女性の身に起きたことを理解しました。
羆(ひぐま)です。そう女性は山菜取りに来て羆に襲われたのです。

私も元々は本土の人間でしたから判りますが、本土の人は羆というものを勘違いしています。
本土の人は熊というと全て一まとめにしがちですが、
本土に生息する熊はツキノワグマという種類で、体長も100キロにあるかないかですが、
羆は大きなものになれば体重は400キロを超え、その力は強大です。
成獣の羆の一撃で牛や虎の首がへし折れたという事例も残っています。
時速60キロの瞬発力を持ち、また頭もよく、人に追われると自分がつけた足跡をバックし、横合いのブッシュに隠れ、
足跡を追ってきたハンターをやりすごして、逆に後ろから襲うこともあります。
また一度自分のものとした獲物は、どんなことをしても取り返すといわれます。
そう羆は日本に生息する猛獣なのです。遭遇した時の危険度もライオンや虎以上と言われています。

女性は重症でしたが病院に行けば、助かるはずです。私は女性に肩を貸し、急ぎ山を下り始めました。

あれほど美しく感じていたうっそうと生える木々が、今では恐怖の対象になっています。
木々の合間から今にも羆が飛び出してきそうで、生きた心地がしません。


私は女性に肩を貸し、山を下り始めました。
その道すがらで少し聞いたのですが、案の定女性は山菜を取っていたところを、
横合いのブッシュから飛び出してきた羆に突然襲われたそうです。

一応持っていたタオルで止血はしましたが、それで傷が治るわけではありません。
苦痛に顔を歪め、息も荒く、大怪我をしている女性に話を長々とさせることはできませんので、
この辺りは断片的に聞いた情報を元にした私の予想になるのですが、
恐らく女性は飛び掛かられながら顔面を羆の腕で叩かれたのでしょう。
もちろん女性の首がついているのですから羆も全力ではなく、撫でる程度の力だったのでしょうが、その程度の力でさえ人間の顔は割れるのです。

また羆は人を襲うとき、なぜか服を剥ぎ全裸にするといいます。
のし掛かられながら爪で服を剥ぎ取られる際に、
肩の骨が折れ、腕の肉も裂けたのでしょう。二の腕辺りは肉が削げて骨も見えていました。
また女性が重傷ながらも生きてここまでこれたということは、
恐らく女性は一瞬の隙をついて羆避けスプレーかなにかで羆を撃退し、無我夢中で逃げてきたのでしょう。

しかし脱力した人間の重さというものは大変なものがあり、
完全に脱力している訳ではありませんが、力の抜けた女性に肩を貸しながら、
還暦の私が山道を下るのは容易なことではありませんでした。

一歩、また一歩とよろけながら進んでいましたが、地を一足踏むごとに私は、脳裏で最悪の事態を想像していました。
一度人の味を覚えた羆は何度でも人を襲うといいます。
捕るのに手間のかかる動きの早い野生の動物や鮭などと違い、
愚鈍なのに肉付きも良く栄養価の高い内臓を沢山持つ人は、羆にとって最良の食料なのでしょう。

女性の腕の怪我。肉が削げ落ち、骨が見える部分。
その部分はただ爪でえぐり飛ばされただけなのだろうか?
羆がその部分を喰らったのでないだろうか?

もし喰らったのであったら羆にとって女性はすでに自分の食料です。
一度は羆避けスプレーで逃げたものの、羆が逃げた食料を追って来るのではないだろうか?

女性から発せられる血の臭いは、私の脳内の想像に現実の肉付けをしていきます。
恐怖のあまり胃酸が食道をかけ上がり、何度もえずきました。

どれぐらい歩いた頃でしょうか、早く町に出たいと願い歩む私たちの後方で……

ガサッ!

と音がし、気付けば辺りには濃厚な獣臭が立ち込めていました。


聴覚と嗅覚を同時に刺激され、私は心臓の付け根をグッと一息に握られたような気がしました。

音は断続的に続き、その音が徐々に近づいてきます。
恐らく大分前から辺りには獣臭がしていたのでしょうが、
逃げることに必死の私は辺りに漂う獣臭に気付いていませんでした。


私はゆっくりと後ろを振り返りました。
目の前には自分が歩いてきた山道と、うっそうと生えしきるブッシュが横手に広がっています。

音はどんどん近づき、臭いもさらに濃くなります。
耳元では女性の「ひゅぅひゅぅ」という震える声が聞こえます。
私の口からもカチカチという歯の音が止めどなく溢れでていました。


次の瞬間、ガサリッという大きな音を立てて、ブッシュから黒く巨大なものが姿を現しました。それはやはり羆でした。
私は猟師ではありませんので、見ただけで羆の体長などを判断はできませんが、
それでもその羆が200キロを軽く越えているだろうことは一目で理解できました。
その羆はブッシュから顔と前足と上体を覗かせ、こちらをじっと見ていました。

羆と対面したとき、一番してはいけないのが、背を向けて走って逃げることです。
羆は走るものを追う習性がありますから、それは命取りの行為。

しかし生命の本能なのでしょうか、走って逃げたい、その場から遠ざかりたい、
そう身体が訴えかけているのを抑えるのに必死でした。
もし女性がいなかったら、身体の訴えを抑えきれずに走って逃げてしまったかもしれません。

羆から目をそらすことも危険なため、私たちは恐怖におののきながら、じっと羆と見つめあいながら、
ゆっくりゆっくりと後ろ足で下がっていきました。

しかし羆も一歩、また一歩と近づいてきます。
一応携帯していた羆避けの笛を吹こうとしますが、歯と笛がガチガチとぶつかるばかりで、なんの効果もありません。

叫びだしたい、泣き出したい、駆け出したい。本能がそう訴えかけます。

目の前にいる羆の眼が私の恐怖心をさらに煽ります。
それはただ黒く鈍く光り、じっと私たちを見据えています。
羆はじっと私たちを見据え、低い声でグゥゥゥと唸ります。
その唸り声は私の心も身体も恐怖で埋め尽くしていき、すでに私は小便を漏らしていました。


次の瞬間き、羆が少し、前のめりになったように思いました。
それはまるで獲物に飛びかかるような姿勢でした。



羆がとった前傾姿勢には、それだけでもうすぐ襲ってくるという、圧迫感がありました。
こうなってはとてもじゃないが後ろ足で下がっていくことなどできず、
私たちはまんじりともせず羆と向き合っていました。
横の女性は震えながら泣いていました。気づけば私も泣いていました。

羆が飛びかかってきた瞬間、私の命が尽きる……
命を失うという恐怖の圧迫感に吐きそうになりながら、私は脳内で謝り続けました。
何に対してという訳ではなく、人はどうしようもなくなったとき、思わず許しを乞うてしまうようです。

(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ……)

歪む視界の先で、羆の身体が膨れ上がるのを感じました。

―襲われるっ―

刹那、私の身体は、横にいる女性を羆の方へと全力で突き飛ばしていました。
なぜそんなことをしたのか、今でも判りませんし、覚えていません。

ただ覚えているのは私に突き飛ばされ、まるでスローモーションのように、
前方へつんのめる女性の姿と、そこへ躍りかかる羆の姿でした。

あの重傷の身体で、どうしてこんな声が出るのか?
それほどにけたたましい叫声が、森のなかに響き渡りました。
羆は先ほど女性がしたであろう反撃への復讐をするかのように、
女性の身体を片手で押さえ、もう片手と牙で女性の身体を分解していきます。
羆の一つ一つの行動で、辺りに血と肉片が飛び散り、女性の呻き声と血霧が広がります。

惨劇を目の当たりにし、私はなんてことをしてしまったんだと思う反面、
これで自分は助かるかもしれないとも思っていました。

その間も羆は女性の身体を旨そうに咀嚼し続けています。
腕、顔、乳房、腹、脚、内臓。
内臓を喰われ始めた辺りまでは、女性のか細い呻き声が聞こえていました。

ある程度を食べ終わると羆は、女性の身体をくわえ森の中へと引き返そうと、
女性の身体が羆にくわえたその時、すでに鼻も唇も右眼もない女性の顔がこちら側へ向き、
血が滲む、女性の左眼が私を睨んでいるように見えました。

羆が森の奥へと帰って行くと、あとには大量の血液と千切れた右腕、細かい肉片とズボンだったボロボロの布が残っていました。

そのあと私はどう下山したのか覚えていませんが、
下山後、羆に女性が襲われたことは猟友会に伝えましたが、私が女性を突き飛ばしたことは伝えませんでした。

以来、山歩きは止めました。
今でも女性の最後の眼が忘れられません。

コメント(7)

おそらく、この熊にとって女性は自分のものにした獲物だったんだろうな。それをこの語り部の男性から取り返そうとしたわけだ。

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