イーグルスファンコミュのリーグ最多の被本塁打、大幅に落ちた防御率＜夢しぼむ　東北楽天２０２２年の戦い＞

松井友飛投手「ＭＶＰ取りたい」８日・ファーム選手権阪神戦

楽天のドラフト５位・松井友飛投手が７日、阪神とのファーム日本選手権
（８日、サンマリンスタジアム宮崎）でＭＶＰ奪取を宣言した。
８日の大一番に向けて「投球内容よりはチームが勝てばいいと思っている」としつつ
「がめつく言うとＭＶＰを取りたい」とニヤリ。
あくまでチームの勝利が最優先だが、賞金５０万円ゲットに色気も見せた。

今季唯一の１軍登板となった７月８日の西武戦（楽天生命）では４回４失点も、
直球の威力自体は「通用する」と手応えを得た反面、変化球の精度や
クイックモーション時の投球に課題を残した。
ファームでは久保、永井両２軍投手コーチの指導の下、地道に課題克服に取り組み、
イースタンでは６勝１敗、防御率１・１７。着実な成長を感じさせた。

石井監督も来季の開幕ローテの一角に期待を寄せるＭＡＸ１５４キロの“未完の大器”は
「緊張はそんなになくて、それよりも早く試合がしたい気持ちが強いですね」と
落ち着き払った表情を浮かべ、
「大舞台だと思うので、結果を出せるか、出せないかでは今後の野球人生にも
関わってくる。それくらいの気持ちでいきたい」と力を込めた。
２年ぶりの日本一へ導き、名をはせる。



リーグ最多の被本塁打、大幅に落ちた防御率＜夢しぼむ　
東北楽天２０２２年の戦い＞

（中）夏場の投壊　　　　

ペイペイドーム（福岡市）の客席に、打球が次々と吸い込まれた。

交流戦を勝率５割の７位で終え、リーグ戦の仕切り直しのカードとなったソフトバンク
３連戦（６月１７〜１９日）。
初戦は田中将が国内登板で初となる１試合４本塁打を浴び、
２戦目は同点の延長十回に松井裕がサヨナラ２ランを被弾。
３戦目は早川が三回までに２本のアーチを許した。
「長打を打たれ過ぎ」。
首位を争う相手に計９発を食らって３連敗し、石井監督はたまらず苦言を呈した。

先発陣「一発病」

５月に兆候が現れた「一発病」が、６月以降も先発陣を苦しめた。
７月１０日からは早川、則本、岸が３戦続けて要所で被弾し、
今季初の５連敗を喫した。
７月２４日までの前半戦は結局、敗れた４２試合のうち３３試合で本塁打を浴びた。

最終的なチームの合計被本塁打はリーグ最多の１２３本に及んだ。
最少の西武と比べると、４２本もの差がある。個人投手成績では早川の１９本、
岸の１８本、田中将の１６本とワースト３を東北楽天勢が占めた。
被弾数を対戦球団別に見ると、最下位日本ハムに１５本、他のパ・リーグ４球団には
２０本台。満遍なく打たれた。

指揮官は昨季から「うちの先発はフライボールピッチャーが多い」と口にしてきた。
ゴロで打たせて取るタイプがもともと少ないとはいえ、
球界全体で「投高打低」といわれたシーズンにしては、スタンドまで飛ばされ過ぎた。

日本球界復帰２年目を自己ワーストの１２敗で終えた田中将は
「手応えを感じられる登板もあったが、思い通りに投げられないゲームも
たくさんあった。それがやっぱり数字にも出ている」と原因を自分の中に探す。
則本はシーズン終了後、２ランを含む４回４失点で自身４連敗となった
８月２日のロッテ戦を振り返り、「体調的にあまりにもひどい状態だった」と
夏場の苦悩を打ち明けた。

救援陣も乱れる

息切れした先発陣に引きずられるように、救援陣も調子を乱した。
７月１日のロッテ戦は、勝ちパターンの継投を担う安楽と宋家豪が救援に失敗して
逆転負け。再調整のため、翌日に２人とも出場選手登録を抹消された。
セットアッパーに抜てきされた鈴木翔は７月上旬に３試合連続で同点の八回に登板して
勝ち越され、いずれも敗戦投手となった。

５月まで２点台を維持していたチーム月間防御率は７月、４・０６と大幅に落ちた。
７月のチーム月間打率が２割８分５厘と持ち直した打線とは対照的で、
ロースコアで逃げ切る基本戦略が機能不全に陥った。
抑えの松井裕が７月は４登板にとどまり、１セーブしか挙げられなかったことが
何よりの証明だ。

チーム月間防御率は８月、４・３６にまで悪化。８月１３日の西武戦で、
最大１８あった貯金が底を突いた。
田中将がやはり本塁打でビックイニングをつくられて逆転を許した敗戦だった。