イーグルスファンコミュの東北楽天４年目鈴木翔、救援で奮闘中　プロ初ホールド記録

楽天・田中将大―広島・床田寛樹…スタメン発表

◆日本生命セ・パ交流戦２０２２　楽天―広島（７日・楽天生命パーク）

　【広島】

１（中）野間、２（二）菊池涼、３（左）宇草、４（一）マクブルーム、
５（三）坂倉、６（指）松山、７（右）中村奨、８（遊）小園、９（捕）会沢、
▽投＝床田

　【楽天】

１（遊）小深田、２（左）西川、３（指）島内、４（二）浅村、５（三）鈴木大、
６（中）辰己、７（一）マルモレホス、８（捕）炭谷、９（右）田中和、
▽投＝田中将

【楽天】１１連勝後に７勝１６敗、貯金も１８から９まで激減　
カード頭７連敗はまー君が流れ変える

　楽天が踏ん張り時を迎えている。
１１連勝後は７勝１６敗で、最大１８の貯金は９まで激減。
この間にソフトバンクに首位の座を明け渡した。
チームの現状と再浮上の鍵を握るのは誰なのか。

交流戦はここまで５勝７敗。４月２６日のロッテ戦（ＺＯＺＯ）から
５月１０日の同カード（楽天生命）にかけて１１連勝を飾った当時の勢いは
影を潜めている。
好調時は得意の先行逃げ切りの“勝ちパターン”に持ち込めていたが、
最近は先制すれば投手陣が崩れ、投手が抑えると、今度は打線が打たない。
まさに「歯車がかみ合わない」という悪循環に陥っている。
７カード連続で初戦を落としていることも波に乗り切れていない大きな理由だろう。

石井監督が設定した交流戦「勝率５割」のノルマ達成の行方は広島、巨人との
本拠地６連戦の結果次第となった。
７日の広島戦で先陣を切る田中将の投球がこの１週間の命運を左右しそうだ。
０点で抑えたら負けはしない―とは極端な話だが、今の湿りがちな打線に
過度な期待はできないだけに、ベテランの持ち味である粘りに託したい。

５月１７日のロッテ戦（ＺＯＺＯ）で７回途中６失点で敗れて以降は自身も３連敗。
人一倍責任感の強い右腕は「カード頭はここ最近、火曜日、金曜日と
なかなか取ることができていないので、しっかりとカード頭を取ることができるように」と
投手陣の柱としての自覚を口にした。
１１連勝の最初と最後の白星は１８番がもたらしたもの。
再び流れを呼び込める男はまー君しかいない。

【Ｄｅｅｐ　Ｂａｓｅｂａｌｌ】
楽天改革　奈良原コーチが３つのキーポイント解説

楽天が４－５月に球団新記録の１１連勝を飾り、３１勝２２敗１分け（６日現在）で
パ・リーグ２位に付けている。好スタートを切った要因は－。
現役時代に内野の名手として黄金時代の西武や日本ハム、中日でプレーし、
２０１７年の第４回ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）で
日本代表のヘッドコーチを務めた、奈良原浩内野守備走塁コーチに
序盤戦のキーポイントとなったプレーを解説してもらった。

２０１３年の初優勝以来、２度目のリーグＶに向け、楽天のチーム改革が進んでいる。
４月２６日のロッテ戦から５月１０日の同戦まで１１連勝。
その後、一度は調子を落としたが、首位・ソフトバンクに０・５ゲーム差と
好位置につけている。

田中将、則本、岸、涌井、早川ら豪華な先発陣を抱える中、ヤクルトでの選手時代に
野村克也監督の下でプレーした石井監督が目指す「隙のない野球」
「隙を突く野球」が浸透してきた。

①走塁　４度の盗塁王に輝いた西川が今季から加入。
昨季のチーム盗塁数はリーグ最少の４５だったが、今季は５４試合で既に４４盗塁。
積極的な走塁が根付いてきた。

最大１９メートルの強風が吹き荒れる中で行われた４月２６日の
ロッテ戦（ＺＯＺＯマリン）。２－２の延長十回２死二塁でマルモレホスが右前打。
鋭い打球で、二走の小深田は迷わず、本塁に突入した。
「あの強風の中で（外野手が）５０～６０メートルを正確に投げるのはかなり難しい。
送球がそれるというのも期待しながら回したのもあります。
（二塁から本塁まで）僕が想定しているよりも速い、６・１秒ぐらいで回った。
小深田の走塁が非常に良かった」

三塁コーチャーの奈良原氏が述懐した。実際に右翼手・マーティンの送球はわずかに
三塁側へそれ、小深田は生還。これが決勝点となった。
石井監督も「打球が当たってからマーティンの所まで２・４５秒で到達している打球。
捕手が（返球を）受けたときに６・０４秒。
コブちゃん（小深田）も奈良原さんもいい準備をして打球に備えてくれた」と評価した。

②攻撃　５月５日の日本ハム戦（札幌ドーム）。
４－４の六回１死一、三塁で辰己がセーフティースクイズ、続く炭谷もスクイズを成功。
２者連続の奇襲で２点を奪った。

「去年のキャンプからずっと言ってきていて、選手が意識を持って
練習に取り組んでくれている成果」

２０年に２軍監督、２１年から１軍内野守備走塁コーチとして
小技を指導してきた奈良原氏は選手の成長を実感している。

③守備　チーム失策数１１は両リーグ最少。シーズン換算すると
２９で１９９１年の西武、２０１７年のソフトバンクが記録した３８の更新も
現実味を帯びている。

奈良原コーチはノックの名手でもある。試合前練習では本来の右打ちに加え、
左でもノックを打ち、打球角度や回転の違いを選手に体感させている。
内外野の間への飛球や、至近距離のノックで反応速度を上げるなど、
豊富な守備メニューが効果を上げている。

「浅村にしても鈴木大地にしても練習でほとんどミスを犯さない。
先頭に立って彼らがやってくれている。
結果的に若い選手もつられてやって、試合でも効果が出ているのかな」と
西武、ロッテから加入した中堅組がチームに好影響をもたらしていると指摘した。

決して派手な野球ではないが、細部までこだわる指導とナインの高い意識が、
楽天の躍進に結びついている。

東北楽天４年目鈴木翔、救援で奮闘中　プロ初ホールド記録

東北楽天の４年目左腕、鈴木翔が救援として経験を積んでいる。
今季は９試合で計７回２／３を投げて１失点。
防御率１・１７でプロ初ホールドも挙げた。
自慢の剛速球を武器に、首脳陣の評価も着実に高まっている。

５日のＤｅＮＡ戦（横浜スタジアム）では４－３の六回に２番手で登板。
直球、スライダー、シンカーを投げ込んで佐野、柴田、宮崎の上位打線を
簡単に片付けた。直球は今季最速の１５５キロを計測した。

春季キャンプでは開幕ローテーションを争ったが、
３月上旬のオープン戦で左脇腹を痛めて出遅れた。
ブセニッツが右足甲骨折で長期離脱したブルペン事情などを受け、
中継ぎとして白羽の矢が立って５月１８日に１軍昇格した。
小山投手コーチは「本来は先発で準備をしてもらいたい」としつつ
「経験は浅いが、強い球に懸けてみた。今はうまくはまっている」と話す。

当初はリードを許した展開での登板だったが、結果を残して勝ちパターンの継投に
食い込みつつある。
石井監督は「彼の役割をもう一つ上に引き上げたいので、しっかり抑えるという仕事を
体にしみこませていく時だと思う」と期待を寄せる。

課題は試合の入りだ。９試合のうち６試合で、最初の打者を安打や四球で
出塁させている。
小山コーチは「自分の球を信じて勝負できると良くなってくると思うが、
１軍の打者に対して少し受け身になるときがある」と指摘する。

２５歳の鈴木翔は昨季まで計７試合の登板にとどまった。
小山コーチが「中継ぎをやることで試合の状況や打者との駆け引きが
一層分かってくると思う」と言うように、経験を糧に一回り大きくなろうとしている。