イーグルスファンコミュの「サイド転向で道が開けた」。シンデレラ・ストーリーを描く楽天・渡辺佑樹&石井一久新監督「人の喜ぶ顔が大好物。優勝でみんなの宝物作りたい」…インタビュー

「サイド転向で道が開けた」。シンデレラ・ストーリーを描く楽天・渡辺佑樹

生まれ変わった変則サイド左腕が、新生・石井楽天の力になる。
石井一久監督はシーズンの中継ぎ陣について「4月いっぱいは9人で」との
プランを明かした。その中に、育成から支配下に返り咲いた渡辺佑樹も
含まれているようだ。プロ4年目で開幕一軍は初となる。

昨オフ、育成再契約を結ぶ際に石井一久GM兼監督から出された条件は
「サイド転向」だった。
オフの自主トレでは左横手投げの「先輩」で、昨季途中までチームメートだった
巨人・高梨雄平から極意を学んだ。
春季キャンプで一軍に抜てきされると、ブルペン、さらに実戦で猛アピール。
そして3月4日、ジェットコースターのような激動の3カ月を経て、
支配下復帰を勝ち取った。

「サイドスローに変えたことで道が開けた」と本人は喜ぶが、チームにとっても
貴重な左サイドハンドの中継ぎ候補だ。
石井監督は「今年は違う渡辺を見せていただき、一軍で活躍してほしい」と期待する。

オープン戦では4試合に登板して防御率6.75。3月16日のオリックス戦（静岡）で
3失点と苦しんだが、それ以外の3試合は無失点で切り抜けた。
指揮官は「唯一無二の存在になれる」と太鼓判。
一度はしたが、ここからシンデレラ・ストーリーをスタートさせる。


石井一久新監督「人の喜ぶ顔が大好物。優勝でみんなの宝物作りたい」…
インタビュー


石井監督の就任１年目に、田中将の８年ぶり復帰など、今季の楽天には注目が集まる。
先発陣に岸、涌井、田中将、則本昂ら実績組が並ぶなど、世間の下馬評も高い。
しかし指揮官は客観的な目で、冷静に分析する。

「何で高いのかな、と思う。先発陣にキャリアがあるからですかね。
他のパ・リーグの先発も、まだ実績がそこまでなくてもすごい球を投げる投手もいる。
打線はどうなんですか、過去に連覇してるチームなんですかねという。
僕が分析する立場だったらこんなに下馬評を高くはしない。
（楽天は）１年通して成長していくチーム。成長していけると思うし、
みんなが勝利に向けて役割を果たせば優勝できないチームではない」

日々成長を求める中でタクトを振るう指揮官のスタイルは―。
常識を疑うことが重要だと説く。

「昔は肩を冷やすなという時代だったが、今はアイシングしなさいという時代で
真逆の答えがある。固定観念にとらわれず、常に疑問から入ることがすごく大事。
今はバントをしないことが無駄な１アウトをなくすという時代になっている。
果たしてバントをしないことがいいのか悪いのか、もう一度精査する必要がある」

失敗から学んで　前述の先発陣に、打線も浅村ら経験豊富な選手がいる。
一方で、大卒３年目の辰己ら若手も多い。失敗を強くとがめずに育成する。

「失敗から学ぶ、何回も同じ失敗をしないことが大事。
失敗を恐れることは次のプレーを消極的にしてしまう。
失敗に関して、僕はあまり責めるつもりもない。成長の仕方がすごく重要」

３月１１日に東日本大震災から１０年を迎えた。
一定のメンタルを保ち続けるための今季のキーワードを、強く言い切る。

「目標を明確に持った戦いだと思う。今年は震災１０年で、それが合言葉。
チャレンジする姿勢や、常に諦めない姿勢。
何があっても気持ちが変化することなく１年戦っていきたいというより、
そうやっていく」

現役時代に日米通算１８２勝を記録した指揮官の勝利への哲学。
若手にはメジャーの第一線でも腕を振ってきた田中将からも生で学んでほしい
思いがある。

「『今日勝つ』という闘争心を持って登板してくれる。
また、勝つためのことを練習の中でしている。
言葉で答えをもらうのも大事だが、振る舞いを見る価値はあるし、マネしてほしい」

特別な年に８年ぶりのＶを目指す今季。球団創設初年度の０５年から昨年まで
野村克也氏や星野仙一氏ら８人が監督を務めてきたが、
就任１年目で優勝すれば球団史上初となる。
目指すのはファンやナイン、スタッフらに歓喜を味わってもらうことだ。

「僕がしたいというわけではなく、みんなにさせてあげたい。
優勝の喜びは１年の集大成。僕は人が喜ぶ顔が大好物なので、
みんなの宝物を作りたい」