イーグルスファンコミュの12球団の補強通信簿　今オフの勝ち組は？主役はパ2球団、巨人が一人負け!?

12球団の補強通信簿　今オフの勝ち組は？主役はパ2球団、巨人が一人負け!?


国内FA選手の移籍先が決定し、新外国人の獲得も各球団ともほぼ出そろった。

積極的に補強を行った球団に、思い通りにいかなかった球団。いわゆる“勝ち組”と“負け組”に

明暗が分かれた感もある。

年の瀬を迎えて、ストーブリーグもひと段落ついたところで、

12球団のここまでの移籍状況を検証する。



明暗が分かれた今オフの補強


今オフの主役となったのは間違いなく千葉ロッテと東北楽天。

パ・リーグのCS争いを最後まで繰り広げた2球団だった。


ドラフトの目玉だった佐々木朗希を引き当てたロッテは、FA戦線でも美馬学と福田秀平の

2選手の獲得に成功した。

今オフの一番人気だった福田は、埼玉西武、中日など5球団の争いの末、ロッテを選択。

決め手となったのは、福岡ソフトバンク時代の恩師である鳥越裕介ヘッドコーチの存在だった。


通算51勝の先発候補である美馬には、これまでFA戦線で最強を誇った巨人が参戦したが、

故障者のサポートなど環境面でロッテに軍配が上がった。

チームの顔的存在だった鈴木大地はFAで楽天に流出したが、その補償選手として

小野郁を獲得。

さらに新外国人として、18年まで広島でプレーしたジャクソンと、

楽天を自由契約になったハーマンが加入し、弱点だったリリーフ陣の整備にも成功した。

対する楽天は、FAで巨人を含めた3球団の争奪戦の末に鈴木大地を獲得し、

今江年晶の引退で空いたサードのポジションが埋まった 。

投手ではメジャー帰りのサブマリン・牧田和久の獲得にも成功し、さらに金銭トレードで

涌井秀章と、エース級の投手2人が加わった。

昨年まで先発の一角だった美馬がFA移籍したが、

補償選手として今季25HPの酒居知史も加入し、投手陣は昨年までよりも厚みが増した。


“勝ち組”となったパの2球団とは対照的に、球団史上でも類を見ないほどの

大敗を喫したのが、今季5年ぶりにセ・リーグを制した巨人だろう。

昨年の丸佳浩に、17年の山口俊と、V奪回の原動力となったFA選手の獲得に

今オフも乗り出したが、鈴木、美馬の2選手はいずれも巨人のユニフォームに

袖を通すことはなかった。

原辰徳監督が自ら出馬し、獲得宣言までしての失敗は、時代のすう勢を感じさせた。

ドラフトでも2年連続で1位入札に2連敗するなど、思惑通りにいかない事態に、

補強の軸は外国人選手となった。

目玉としてメジャー通算1312安打の実績を持ち、今季ワールドシリーズを制した

ナショナルズで活躍したパーラを獲得。

投手では今季は韓国で17勝をマークしたドミニカ共和国出身のサンチェス、

さらにブラジル出身で最速167キロのビエイラが加わったが、今季鳴り物入りで入団した

クックとビヤヌエバは1年でお払い箱になっており、やはり“負け組”となりそうな

感は否めない。

山口俊のポスティング移籍を認め、現状ではオフの補強はマイナス面の方が目立つ。


メジャー実績組は日本に順応できるか!?

その他の球団では、今オフはMLBで実績のある外国人選手の獲得が目立つ。


　一番の大物はオリックス移籍が決まったアダム・ジョーンズで、メジャー14年間で

通算1939安打、282本塁打をマークし、外野守備でも4度のゴールドグラブ賞受賞。

オールスター5度出場という球団史上最大級の助っ人の加入は、退団したロメロの穴を補って

余りある補強となった。

吉田正尚とのコンビが機能すれば、他球団にとっては大きな脅威となる。


東京ヤクルトに入団したエスコバーは、メジャー11年間で通算1367安打を記録している

右のアベレージヒッター。ロイヤルズ時代の14年は青木宣親のチームメイトで、

翌年は遊撃手としてゴールドグラブ賞を獲得している。大物打ちではないが、

勝負強い打撃でバレンティンの抜けたクリーンアップの一角に期待される。

長打力不足に悩んだ阪神は、エンゼルスをFAとなっていたボーアを獲得。

メジャー通算92本塁打の左の大砲は、17年のオールスターでホームランダービーにも

出場した。193センチ、122キロの巨漢で、関西のマスコミは「バースの再来」とどよめいたが、

これまでに入団したこの手の選手は……と思うと不安も感じずにはいられないところだ。

新外国人だけでなく、ソフトバンクはヤクルトの9年間で本塁打王3度の実績を持ち、

来季から日本人扱いとなるバレンティンが加入した。

北海道日本ハムは巨人を自由契約になったビヤヌエバを獲得し、

レアード退団後に固定できなかった三塁手のレギュラーに期待する。

今季最優秀中継ぎを獲得したロドリゲスがメジャー移籍となった中日は、与田剛監督が

ドミニカ・ウインターリーグで自ら視察したルイス・ゴンザレスを後釜候補として獲得。

野手でも外野手のシエラを獲得したが、昨季まで中南米に強固なルートを持っていた

森繁和氏の退団後の外国人獲得がどうなるのかが注目される。



主力にメジャー流出があった球団の進捗


筒香嘉智のレイズ移籍が決まったDeNAは、メジャー通算33本塁打の若き大砲・

オースティンを獲得した。

16年にヤンキースでデビューし、打球スピードの基準となる「ハードヒット率」が

大谷翔平（エンゼルス）より上という28歳は、ロペス、ソトの強力外国人に割って入れるか。

また、秋山翔吾、菊池涼介の侍ジャパンでも主軸を形成する選手の流出が予想される

西武、広島の2球団は、目立った大きな補強はしていない。

西武は、外野手の代役として、ソフトバンクからFA宣言した福田に白羽の矢を立てたが、

争奪戦に敗れた。新外国人として、メジャー6年間で通算29本塁打のスパンジェンバーグを

獲得したが、今オフ最大の話題は松坂大輔の古巣復帰だった。

広島は、新外国人として投手2人（DJジョンソン、スコット）に加えて、18年にパドレスで

146試合に出場して109安打を記録したピレラを獲得。

登録は外野手だが、内外野を守れるユーティリティー選手で、菊池の移籍が決まった場合は

「3番・セカンド」としての起用も期待されている。

ただ、菊池の場合は打撃面の不安から契約が不調に終わる可能性も指摘されており、

残留となれば、チームにとってはこれ以上ない“補強”になると言えそうだ。

主力が抜ければ戦力的には間違いなくダウンするが、新たなスターが誕生するための

前段階でもある。

松坂の復活に期待する一方、球界全体の世代交代、新陳代謝にも期待したい。



総評


評価A：楽天、ロッテ

　楽天とロッテが今オフの中心。結果的に両チームの間で「4対3のトレード」とも言える

選手の入れ替えがあったが、弱点を埋めチーム内の活性化という意味でも、

ともに効果がありそうだ。

この2年、ソフトバンクと西武の争いが続いたが、この2チームが今オフの補強から

台風の目となった。来季の大混戦のペナントレースとなる予感を漂わせている。


評価B：ヤクルト、ソフトバンク、日本ハム、オリックス

　助っ人は未知数だ。MLBでの実績もアテにならない。その意味では評価が難しいが、

外国人以外にも嶋基宏などの日本人選手を加えたヤクルト、日本での実績のある

バレンティンを加えたソフトバンク、同じく来日2年目となるビヤヌエバを獲得した

日本ハムは「計算できる」と評価。そして、あのアダム・ジョーンズに関しては“

ハズレ”になるはずがないだろう。


評価C：DeNA、西武、広島、中日、阪神

今オフ、プラスもあったが、マイナスも目立ったのがこのグループ。DeNAは筒香嘉智が抜け、

まだ正式決定ではないが西武は秋山翔吾、広島は菊池涼介が流出。

中日では最優秀中継ぎ投手のロドリゲスの退団、阪神もジョンソンの退団が誤算だった。

いずれも新外国人が日本の野球に順応できなければ、チームとして苦戦を

強いられることになるだろう。


評価D：巨人

本来ならばオフも主役となって日本一へ向けて士気を上げたいところだったが、

例年のような大型補強はナシ。新たに外国人を獲得したが、彼らが、退団したマシソン、

ヤングマン、クック、ゲレーロ、ビヤヌエバらよりも上かどうか。

山口俊、阿部慎之助もいなくなり、現状では戦力ダウンと判断されても致し方ない。