『6月』 西暦2009年、人類はシステムに組み込まれ、社会には嘘や偽物が溢れかえり、ある人の心は固く閉ざされ、ある人は迷い、またある人は希望を無くしていた。開拓の心を忘れ、困難とは無縁の所にいるミュージシャンがテレビ番組で新曲を発表すれば、司会者や出演者は皆、口をそろえて大絶賛し、新しいという言葉にかぶれた若者達は、良いも悪いも解らないまま、コピーのコピーのコピーであるその『新曲』とやらを買い、雑誌のレビュー通りの口調で誰かにそれを勧めていた。一方その頃、不思議な音のバランスの正体を求めてブラックホールを航行中のBAHANA Space Ranger号は、突如現れた音の惑星の重力に引っぱられ身動き出来ず、そこに不時着しようとしていた。「yoマザー、このずぶとい音の一体どこに船をつけろってんだ、ぶっ壊れる前に教えてくれ!」音の衝撃に飲み込まれ、破壊が心臓部にまで達しはじめたマザーコンピューターが答えた『天地万物…つまり…世界とその現象の全て…我々の認識を越えたある本体より…成り立っている…その本体には形が無く…音も…ガガガッ…』釘を打つような音を立ててマザーが沈黙した。「もうだめだ!」脱出ユニットに手を掛けようとした探査員達は直後爆発に巻き込まれ、真っ暗な地表に投げ出された。小惑星、サンディニスタである。
『9月』 一方Sandinista。いつもと違う音の揺らぎを敏感に感じとったSandinistaのPA.MASUIによって、体を透明化していたにも関わらずあっさりと存在を見破られたスケルトンは、BAHANA探査員達に洗いざらいを打ち明け、酒場で一杯やっている所だった。「スケルトン、お前が狙うべきものは我々BAHANA space rangerの音なんかじゃない、お前が追うべき音は、まだどの世界にも在りはしない音だぜ。明日の自分を参考にしな。」TAIRAがスケルトンの肩をさすった。と思ったら内ももだった。気まずさを隠すようにTAIRAが続ける「…お前がいなくちゃプログラムbは今頃寂しがってるだろう。それどころかお前がいなくなったことが既にバレてて、最悪、消去されちまってるかもしれないぜ…」テーブルをバンッと叩き、スケルトンが立ち上がった「あいつは寂しがるような奴じゃない!意味不明の説教ばっかでウンザリする!せいせいすらぁ!」強がってはみたものの、スケルトンはうつむいている。プログラムbは何を隠そう、ハッカー時代のスケルトンが遠い遠い昔、偶然デジタルの星雲で敵として出会った、ライバル同士なのだ。スケルトンの頬を透明の涙がつたい、床に落ちた。ANDが涙を拭ってやった。と思ったら鼻水だった。SHOTAROがスケルトンに近付いて、耳元で「お前の音は防衛センターの頃から聴いてる。はっきり言って何も感じないぜ、まあ、酒でも飲んでりゃまだ聴けるが…上がれればいいってもんじゃないからな。そういう音には俺達は飽き飽きしてるんだ。それより、過去の音の海ででも泳いで、流れを感じることだ。さあ行け、もちろんプログラムbも一緒にな。」黙って聞いていたスケルトンは「そこは耳じゃないです、乳首です」と気まずそうに言い、BAHANA探査員達に別れを告げ、頭を下げたが、透明なので誰も分からなかった。フロアーで踊っていたNEONが叫ぶ「おい!スケルトン!まだ居るかー?この言葉は受け売りだがな、最後にお前に送ろう!『その眠たい目を起こすんだ!世界は君を待っている!この空っぽの空を君の夢で埋め尽くすんだ!』スケルトン!言い忘れたけどな、俺達だってまだ何も発見しちゃいないぜ!無駄足だったな!ワハハハハ〜!じゃあな!」スケルトンは体を半透明に戻し、振り向いて、親指を立て、笑顔で出て行った。スケルトンはすぐさま宇宙船に乗り込み、次の目的地を打ち込む「…過去の音の海…と。あ、その前にプログラムbを向かえに行ってやるとするか。」
『11月』あらすじのあらすじ 宇宙防衛センターから不思議な音のバランスを求めて出発した宇宙船『BAHANA Space Ranger号』は、突如現れた音の小惑星Sandinistaの重力に引かれ不時着したが、その際、宇宙船はマザーコンピューターと共に爆発、間一髪生き延びた探査員達はSandinistaにて不思議な音の手がかりを発見し現地調査を開始する。それを知った宇宙防衛センター員スケルトンは探査員達から音を奪うため後を追ったが、あっさり正体がバレて失敗に終わり、過去の音の海への航海を勧められる。相棒プログラムbを防衛センターから連れ出すことに成功し、過去の音の海へ向かうスケルトンだったが、途中、募金と称した通行料を求めるフェニックスのUFOに遭遇。プログラムbの暴走によってフェニックスのUFO達を振り切ることに成功したものの、追われる身となる。そして、過去の海に向かっているのはスケルトン達だけではなかった。フェニックスの幹部ラインホールドも過去の音の海へ向かっていたのだ。そしてそのラインホールドの乗る宇宙船グリフォンを動かすプログラムとは、フェニックスにデータを改造されたプログラムbの実の弟、プログラムαなのであった。このままでは過去の海での衝突は避けられない。スケルトンとプログラムbにはこの先、どんな運命が待っているのか?
『12月』 Yo Check!Check!…あ、どーもこんばんは。早速ですがニュースです。先ほどグリーゼ星系第3惑星『過去の音の海』にて、盗賊スケルトンの乗る戦闘機とフェニックスのラインホールド船長の巨大戦艦グリフォンが激突、現在も戦闘が続いている模様です。その為、あらすじ担当記者自ら現地に飛んでおりますので、今回のあらすじは私バハナ君が担当します、よろしくお願い致します。さて、現地と中継が繋がったようです、ドロシーさーん!ドロシーさーん?『……はい…はい!こちら現地です!えー、ただいま入った情報によりますと、スケルトンの戦闘機に組み込まれたプログラムがグリフォンのコンピュータをハッキングしている模様ですー!えーこれに対して戦艦グリフォン側のセキュリティープログラム『α』は誤作動により沈黙中、フェニックスは現在大急ぎで復旧を試みておりますが『α』の所在自体確認出来ておりません。関係者の話では、スケルトンのハッキングプログラムの侵入によって、『α』は既に消去されてしまった可能性もある、とのことです。一方盗賊スケルトンですが、シールドを張って戦闘機内に立てこもっているようです。現場では以上ですー。』はいありがとうございます。いやはやどうなってしまうんでしょうか。物騒な世の中ですね。えー、事件の詳細はドロシーさんが戻ってくる一月の新春BAHANAのフライヤーに掲載予定です。 さて、次は楽しい話題です!銀河系の音の小惑星Sandinistaにて、Monthly Party -BAHANA-の1st Anniversary Partyが開催されます、早いもので一周年ということで、なんともハッピーな夜になりそうですね!当日は一周年記念プレゼントとして、来場者の皆様に先着でBAHANAロゴTシャツやMix CDなどのグッズが配られるそうですよ!もちろんいつも通り、女性は22:00まで入場無料!ってことは?タダでTシャツ貰えるんですね!バハナ君も欲しいな〜行っちゃおっかな〜っつって。着かザル、つってね。……それではみなさん、引き続き良いフライトを!