ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

H@Lちゃんを守り隊コミュのユクモの魔女 最終回 ハルちゃん、新天地へ・・・・・

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ユクモの魔女

最終話 ハルちゃん、新天地へ・・・




ユクモ村の野明の診療所。

いつもならにぎやかな診療所がひっそりと静まり返っていた。

野明とハルの看病のもと、その男は眠っていた。

その男は全身傷だらけだった。
今回出来た新しいものもあればかなり古いだろうと思われるものもある。
男に刻まれた傷の数はどうすればこんなにも体中傷だらけになれるのかと思ってしまうくらいだった。
さらに傷の中にはモンスターの攻撃では決して無いだろうと思われるものも少なくなかった。

男の右目は負傷からまぶたが縫合されていた。
だが、縫合跡は今回出来た新しいものではない。
男の右の眼球はもうずいぶん前から失われていたからだ。

男の左腕は肘から先が失われ、傷口は止血のために包帯が巻かれていた。
巻かれた包帯からは未だうっすらと血がにじんでいた。

男はある日、ユクモ村を救うために仲間と共に村に迫っていた脅威に立ち向かい、脅威と相打ちになって力尽きた。

男の名はタミ・A・ヘカトンケイル

タミが仲間に担がれて村に戻ってきたとき、心臓の鼓動は完全に停止しており、誰がどう見てもすでに死亡している状態だった。

しかし、野明は診療所にタミを入れると部外者を一人残らず追い出してハルと二人で直ちに心肺蘇生を開始した。

蘇生術の内容は不明だが、そのおかげをもってタミの止まった心臓は再びその鼓動を刻み始めた。

だが、心肺蘇生から3日を過ぎても彼の意識は戻ることはなかった。

タミがいつもどんなときでも被っていたトレードマークの面はなかったが、同行した者の話では脅威と相打ちになった際に破損したらしい。
おそらく面がなかったらタミの顔は確実に潰されていたことだろう。

3日3晩寝ずに付きっ切りで看病していた野明は誰の目から見ても疲れ切っていた。

ハルはそんな師匠の姿を見て心を痛めていた。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




ユクモ村の入り口にある大きな鳥居の前にガーグァに引かれた一台の荷車が到着した。

荷車には様々な荷物とは別にユクモノ装備をまとった一人の老人が乗っていた。
いや、本当に老人なのだろうか?

確かに顔つきは深く刻まれたしわに白髪と白く長い眉毛と白いヒゲをたくわえて誰が見ても老人のそれなのだが、体格などはどう見ても老人のものとは思えない屈強な体格だった。

「お客さん、ユクモ村に着いたニャ!」

御者をしているアイルーが老人に声をかけた。

「ふぃ〜ようやく着いたか。御者さん、ここまで送ってもらってありがとさん。」

老人はアイルーに礼を言って運賃を渡すとライトボウガンを担いで荷車を降りた。

「ご利用ありがとうございますニャ!」

御者アイルーは手綱を掴んで荷車を走らせると山道を駆け抜けてあっという間に見えなくなった。

老人はそれを見届けると鳥居の方を見上げてつぶやいた。

「さて、久しぶりのユクモ村じゃが、こうして見る分には昔と全然変わっておらんのう。
・・・・・・まさか、こんなところまで替わっておらんとは思いもせなんだww
まぁ〜これもあの家の血筋だからなのかも知れんが全く困ったものじゃわいww」

老人は鳥居を抜けた階段の上の方に鎮座している鬼門番(自称)を見て苦笑いをした。

老人に気が付いた鬼門番(自称)は自分がバカにされたのかと思ったのだろう、露骨に不快な表情を浮かべて因縁を吹っかけてきた。

「・・・・・おい!じいさん。今、オレの顔を見て笑ったな!
この鬼門番(自称)、初対面の人間に笑われるような憶えはこれっぽっちもねえぞ!!」

と、凄みを利かせてにらんで来たが老人は全く動じることなく相も変わらず笑顔を崩さないまま答えた。

「ハッハッハッいやいやこれは済まんかったww
実はこのユクモ村へは30年ぶりに来たんじゃが、まさか今もこの場所で鬼門番を名乗る者がおるとは思わなかったんじゃよww」

老人はそう答えたが、こみ上げる笑いを抑えられなかったのだろう再び大声で笑い始めた。

そんな老人の態度が凄く癪に障ったのであろう鬼門番(自称)は激昂して

「ジジイ!だから笑うんじゃねえ!!」

と鬼門番(自称)は老人に掴みかかろうとしたその時、

「危ない!避けるニャー!!」

その言葉と同時に階段上からロケットがこちらにめがけて飛んできた。

老人は難なく避けることが出来たが、鬼門番(自称)はわき腹をモロに直撃して階段を転げ落ち、そのまま白目をむいて悶絶した。

「・・・・・・だから避けろといったのに。
しかし、想定以上に精度が高く出来たニャ!
これならコレで正式採用でもよいかニャ?ww」

老人が振り向くと階段の上であごひげをたくわえた年老いたアイルーが満足顔でつぶやいていた。
頭の被り物のモミジがトレードマークのオトモの武具を作成しているアイルーの通称「モミ爺」だ。

「お久しぶりニャ!遊庵(ユアン)さん。
もうかれこれ30年ぶりくらいになるでごニャるか?」

「おう、お主誰かと思えばモミジか?
久しく見ない間にすっかり年をとったようじゃな?」

「遊庵さん・・・・・・は相変わらずのようでごニャるニャ?
30年前と全然変わらないけど、・・・・・あんた本当に人間でごニャるか?」」

モミ爺が疑問に思うのは至極もっともだった。
何故ならば、遊庵がモミ爺の最後に記憶している30年前と全く同じ姿いでたちだったからだ。

「ハッハッハッ何を言うかと思えば御覧の通りワシはごく普通の爺じゃよww
今はさすがにハンター稼業からは身を引いて新しい仕事を立ち上げたところじゃww」

遊庵はカラカラと笑いながら答える。

「ところでモミジ、今ユクモ村に【魔女】と呼ばれる医術に長けたハンターがいると聞いて来たんじゃがどこにおられるかの?」

モミ爺は【魔女】という単語ですぐに誰かを察したが、暗い表情で遊庵に告げた。

「ああ〜野明先生でごニャルか、野明先生ならこの先の診療所におられるでごニャルが恐らく今はだれとも会わないと思うでごニャルよ。」

モミ爺は先日ユクモ村に迫っていた脅威と相打ちになって力尽き、野明の必死の心肺蘇生により息を吹き返したものの、今に至るまで意識の戻らない【大蛇】と呼ばれた男のことを教えた。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







モミ爺から野明のこと、そして【大蛇】と呼ばれた男の話を聞いた遊庵はその後も加工屋や村のギルドの受付などを挨拶して回り、ようやく村長の所までやってきた。
村長は驚きと懐かしさが入り混じったような笑顔で迎えてくれた。

「これはこれは遊庵殿、お久しぶりでございますわ。
遊庵殿がこの村を出てから・・・・・・かれこれ30年振り位になりましょうか。」

「おお!村長、こんな老いぼれのことをまだ憶えておいてくれましたかww
しかし、相も変わらずお美しい。」

「あらあら、お世辞を言っても何も出ませんわよww
ところで、小耳に挟んだ話では近頃ハンターを引退して新しい事業を御始めになったとか?」

村長は微笑みながら切り返した。

「ええ、私もいい歳ですからそろそろ何かを残しておこうと思いましてな。
主にハンターズギルドをスポンサーに志ある者たちを集めて医療キャラバンなんて物を作ってみたんですわい。
主な仕事は僻地の医者がいない村などでのモンスターの襲撃や災害の救援などを主とし、必要に応じてハンターの派遣も独自に出来る様にしてみました。
まだまだ色々問題はありますが、私の長年の夢がようやく形になってきました。」

「・・・・・・それで今日このユクモ村に来た理由はこの村にいる【魔女】殿をスカウトに来たということでしょうか?
それならば今しばらくは無理かもしれませんわ。
あの子はこの村にはなくてはならない唯一の医者ですし、それに今は・・・・・」

村長は浮かない顔で答えた。

「理由はここまで来る途中で村の人達から聞かせていただきました。
ならばこそ是非ともうちのキャラバンに参加して欲しいと思いました。
もちろん、この村の大事な医者を連れ出すのですから代わりの医者も早急に手配させていただきますよ。
この村には昔、散々お世話になりましたからなぁ〜ww
少しでも恩返ししなければバチが当たるというもんですわいww」

「ホホホ、よくおっしゃいますわ。
昔お世話になったのはむしろこの村の方ですわww
でも、実際に決めるのはあの子次第だから直接話をしませんと・・・・・。
あ!丁度いいところにあの子のお弟子さんが・・・・・ハルちゃーーーーーーーん!!」

村長は近くを通りがかったオトモアイルーを連れたピンク色のマギュルS装備の女性ハンターを呼び止めた。

「あ!村長さんおはようございまーーーーーーーーす!
えっと何か御用ですか?」

「ええ、こちらの方を野明先生のところまでご案内して欲しいの。
お願いできるかしら?」

「あ、はい・・・・・・で、失礼ですがお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?
私、野明先生のところで勉強させていただいてますハルイ・M・サリシナと申します。」

ハルはそう言うと頭を深々と下げてお辞儀をした。

「ほう、コレはご丁寧な挨拶をww
コレは師匠の教育が余程良いものと見受けられますな?
・・・・・失礼、私の名は遊庵・狼(ユアン・ロウ)と申します。
アポイント無しのいきなりの来訪、誠に申し訳ございませんが、【魔女】と名高い野明・和泉先生にお目通りをお許し願いたく参上仕りました。」

遊庵は挨拶を返したが、ハルの様子はどうも今一といった感じだった。

「あ・・・あの、野明先生は堅苦しい言葉がお嫌いなのでもう少し砕けた感じでしゃべっていただけると助かります。」

「ほう、そうでしたか。
お会いする前に判って助かりましたww
いや〜こちらとしても堅苦しい言い回しは肩がこるので助かりますわいww」

「はい、それでは野明先生のところへご案内します。
ちょこばにゃにゃさん、野明先生にお客さんが来たって先に行って伝えて。」

「ハイニャ!」

ちょこばにゃにゃと呼ばれたオトモアイルーは駆け足で先に進んでいった。

「それでは、ハルちゃんお願いね?
遊庵殿、それではまた。」

「村長、それではまた後ほど。」

「遊庵さん、こちらです。」

挨拶を交わした遊庵はハルの案内で野明の診療所に向かった。

残った村長は一人つぶやいた。

「・・・・・・あの子達もそろそろこの村から巣立つときかしら。」






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





野明は悩んでいた。

先ほど帰った遊庵からの提示は今の野明にとっては破格の条件だったが、引き換えにこの住み慣れたユクモ村を去らなければならなかった。

遊庵からの提示はギルド非公式ではあるが、今度新しく設立する医療キャラバンの総責任者に就いて欲しいと言うものだった。
就いてくれたら最新の医療機材、人材、技術、情報などを最優先で提供すると言う。

昏睡状態のタミの意識を取り戻すのに煮詰まっていた野明にとってどれもノドから手が出るほど欲していたものだった。

だが、そのためにはこの住み慣れたユクモ村を去らなければならない。

「もう選択の余地なんか無いのにね・・・・・。」

ユクモ村に愛着を感じ、タミと共に骨を埋めようと思っていた野明にとってそれはつらい決断だった。

ドアをノックする音が聞こえた。

「はい、どちらさま?」

入ってきたのはハルだった。

「失礼します、野明先生。」

「ハルちゃん・・・・・。」

「遊庵さんから『3日はユクモ村に滞在しておるからそれまでに返事を貰えるとありがたい』とのことです。」

「そう・・・・・。」

「野明先生、もう選択の余地なんか無いんじゃないですか?
タミさんだったらきっと「考える前に飛び込め!」っていうんじゃないでしょうか?」

「・・・・・・ハルちゃん、大事なことだから良く聞いてから答えてちょうだい。
私から教えられることはまだ全部ではないけど、普通に薬剤師として独立するくらいには教えました。
この先、故郷に帰るもよし、引き続き私に付いてくるもよし。
遊庵さんが滞在するのは3日だったわね?
じゃあ3日以内に答えを・・・」

野明の言葉をさえぎるようにハルは言った。

「野明先生!そんなことだったらもちろん一緒に付いて行きますよ!
ハルはまだ全部教えてもらってないんでしょう?
たとえ全部教えてもらった後でもハルは一緒に付いて行くつもりでした。
野明先生!ハルにもお手伝いさせてください!!」

ハルのその言葉を聞いて野明は気持ちを固めた。
こんな師匠でも迷わず付いてくれると言ったハルの言葉がとてもうれしかった。

「・・・・・・ハルちゃんありがとう。
こんなダメな師匠だけど・・・・・これからもお願いね。」

「いいえ!野明先生は最高の先生です!!
ハルこそ不肖の弟子ですがこれからもお願いしましゅ・・・・・あ、かんじゃったww」

「・・・・・いいえ、ハルちゃんは最高の弟子よ。」

野明はハルを思わず抱きしめていた。

「・・・・・・どうやら私の出番は無かったようですわね?」

ドアの向こう側には村長が満足したような、寂しいような複雑な表情で立っていた。

そしてドアの向こう側の二人に気づかれないように静かに去っていった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





どうするか決まると野明たちの行動は早かった。

遊庵に受ける旨を伝えると直ちに身廻りの整理を開始した。

遊庵の方もあらかじめ用意していた様で3日後には替わりの医者が来た。

引継ぎは想定以上にスムーズに行われた。
遊庵は約束通り腕のいい医師を派遣してくれたようだ。

診療所の引継ぎも無事終わり、出発の日を迎えた。

タミのオトモアイルーは全員一旦解雇ということになった。

全員反論したが、主が回復するまでの長期休暇だと諭して何とか収めた。

出発は朝早かったが、意外にも村総出で見送ってくれた。

「いざ出て行くとなるとやはり寂しくなりますわね・・・・・・。」

村長は名残惜しそうに言った。

「でも、これで一生のお別れというわけでもねえんだから機会があったらまた来てやってくれや。」

加工屋のオヤジさんが反論した。

「・・・・・ええ、そうですわね、私としたことが旅立ちの門出に湿っぽくなってお恥ずかしいですわ。
野明先生、ハルちゃん、今まで本当にありがとうございますわ。
これからの更なるご活躍に期待します。」

「ありがとうございます。
こんな形でお世話になったこの村を出ることになるとは思いもしませんでしたけど、いつかきっとこの村に戻ってきます。
だから『さよなら』は言いません。」

野明に続いてハルも言った。

「はい、私も『さよなら』は言いません。
だから・・・・・・・『行ってきます!』」

「はい、いってらっしゃい。
ハルちゃんも野明先生もお気をつけて。」

村長の『いってらっしゃい』の言葉を皮切りに村の人たちも『さようなら』ではなく

『いってらっしゃい!』

と口々に言った。

ハルと野明は一礼すると荷車に乗った。

御者アイルーは二人が乗ったのを確認するとガーグァに拍車をかけ荷車を走らせた。

「みんなーいってきまーす!」

ハルは荷車の中から大きく手を振った。

「気をつけていくんだよー!!」

村の人たちも手を振った。

双方姿が見えなくなるまで手を振って見送った。

「行ってしまいましたわね・・・・・。」

村長がぽつりと言う。

「本当ににぎやかな連中でしたな〜?」

雑貨屋の主が答える。

「全く当分はこの村も静かになるなあ〜でも、あいつらのことだからきっとタミを叩き起こして帰ってくるだろうよ。」

加工屋のオヤジもさらに答える。

「それまでは帰ってきたときの事を楽しみに待つことにしましょう。」

「連中の戻ってきたときの土産話が楽しみだ。」

村長たちは野明達が旅立った先を見つめ彼女たちの無事を祈った。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


荷物が満載された野明達が乗った荷車の荷物の一つからひっそりと囁く声があった。

だが、その声に野明達が気づくことはなかった。

「・・・・・・こちらネイキッド、潜入成功ニャ!」


コメント(5)

皆様おひさしぶりです。

何ともえらく間が空きまくった上にスッキリしない最終回ですが出来上がったのでUPしました。

相変わらず稚拙な作品ではありますが、お楽しみいただければ幸いです。
お疲れ様でした〜

ネイキッドは最後までネイキッドなのですね〜〜
今更にょコメントごめなさいでしゅ(>_<)

タミさんや野明さんにょ、この先が気になって仕方ないれすね!
ネイキッドも活躍しそぉれすし(*^^*)

最終回って寂しいれすね…
執筆お疲れ様れした☆コッソリコ楽しませて頂きまちた!

(*^▽^)ノノ★*☆♪パチパチパチパチ
ありがとうございます!
続編の構想はすでにあるのですが、先日モンハン4Gの発表があったのでもうしばらく練り直そうかと思います。
新キャラとか出したいですからねww
なりゅほどです!楽しみにしていましゅ!!!(*´ω`*)♪

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

H@Lちゃんを守り隊 更新情報

H@Lちゃんを守り隊のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング