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H@Lちゃんを守り隊コミュのユクモの魔女 第6話 後編

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ユクモの魔女

第6話:ハルちゃん、正義の味方(?)に会うの巻






ヤマPはその光景を見ていることしか出来なかった。
体は何とか動くようにはなってきたが、目の前の嵐のような状況に入っていけるほどではない。

立つには立てるが、まだ手足がしびれて力が入らない。

ダンテは悪党の攻撃を涼しい顔でまるでダンスを踊るかのように回避しつつ、相手の隙を見つけては一撃離脱で攻撃をしていた。

あれだけ派手に動いているのにもかかわらず、涼しい顔を崩さず、汗すらかいていない。
それに対して悪党のほうは重いハンマーを振り回しているせいもあってか気息奄々、肩で息をしていた。

しかし、堅固なガンキンU装備と時々嗅いでいる薬による興奮状態からか決定打を与え切れていない。
状態を見る限りではかなりの攻撃を受けているにもかかわらず、あまりダメージがあるように感じない。

嗅いでいる薬による興奮状態から痛覚が麻痺してると見てもいいだろう。

そして相手のハンマーの攻撃は一撃でももらってしまえば大ダメージになってしまうためにまだ思い切った攻撃が出来ない。

ヤマPの活躍により意識を失っていた方の悪党のうち2人は意識を取り戻し、しびれていた体の自由も戻りつつある。
このまま加勢されたらダンテがジリ貧になってしまう。

公式にギルドの規則として明記されているわけではないが、ハンターが己の武器を振るっていい相手はモンスターだけだ。
それはギルドに登録しているハンターならば誰でも知っていることであり、それは何よりハンターとしてのプライドそのものでもある。

だが、こいつらは武器を何の躊躇もなく人に向けて振るってきた。

こいつらはハンターならば決してやってはならないことを何のためらいもなくやってのけたのだ。

迷惑を顧みない傍若無人な振る舞いどころか本来守るべき村の者にすら暴行を加える。

そしてハンターどころか人ならば決して使わないような薬というのも憚る白い粉を常用している。

そこから導き出される答えは・・・

こいつら・・・・・密猟者?それも悪質な常習犯か!?

ヤマPの心に怒りという火が灯る。

だが、それを炎にはさせない。
怒りに身を任せてはいけない。

怒りは考えなしに身を任せては心を曇らせ、時には大事なことを見落として致命的なことにもなりかねない。

だから、まだ怒りに身を任せてはならない。
今はまだ己の両足で踏みしめて立ち上がる力にするのだ。

その時、立ち回りを続けるダンテの背後に忍び寄る者たちがいた。

どうやら先ほどまで動けなかった悪党たちがようやく動けるようになって不意打ちを狙っているようだ。

手にはそれぞれハンマーを持っていた。

それにダンテはまだ気がついていないようだ。
このままでは先ほどの自分と同じことになりかねない。

いや、それどころか確実に殺されかねないと思った。

(・・・・・悪党たちの好きには断じてさせない!!)

ヤマPは自身でも気づかぬうちに獲物を狙うナルガクルガの如く2人の悪党の背後に忍び寄って行った。





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悪党との立ち回りの最中、背後から迫ってくるもの達に当然ダンテは気づいていた。
自分が来る前に小僧が倒した連中が目を覚まして加勢しようとしているのだろう。

だが、まだあえて放置することにした。

何故ならば迫ってくるものたちにさらに迫るものの存在を感じたからだ。
もちろん、その正体も把握している。
おそらく小僧が動けるようになって行動を始めたのだろう。

問題はその行動がまだぎこちなく、躊躇っているようにも取れたことだ。

そんな調子ではハッキリ言って足手まといにしかならない。

(・・・・・場合に寄っちゃあ小僧の方から大人しくさせる必要があるな・・・・・ン?)

今まで動きに迷いがあった気配が急に変わったかと思うと凄いスピードで上に移動していった。

(ほう〜なるほど、面白そうだからオレも付き合ってやるとするか!)

ダンテはニヤリとすると今まで派手に動いていた立ち回りを必要最小限にとどめて相手を自分にひきつけるようにした。

ダンテの動きが急に大人しくなってきたのを見て悪党たちはダンテが疲れてきたのだと判断し、今こそ叩き潰すチャンスとばかりにハンマーを振り上げて襲い掛かってきた。

・・・・・・と、その時!

「必殺!ニャルガキーーーーーーーーーーーック!」

と、天井からヤマPはダンテを奇襲しようとしていた2人の悪党の完全に隙だらけな後頭部に強烈な蹴りを放った。

蹴りを喰らった悪党はイスやテーブルなどを巻き添えにしてひっくり返り、2人とも白目を剥いてピクリともうごかなかった。
どうやら気絶したようだ。

(ナイス奇襲!)

ダンテと立ち回っていた悪党は派手な物音に気をとられて迂闊にもダンテから目線を外してしまった。

もちろん、ダンテがそんなチャンスを逃すわけはなく

「JUCK POT!」

の声に振り向いたときには時すでに遅く2つの大きな靴底が至近距離まで迫り、顔面に強烈な衝撃を受けた。

それが悪党が覚えていた最後の光景となった。





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悪党たちは装備を剥がされ、縄ではなく鎖で縛られてギルドナイト達に連行されていった。

剥ぎ取られた防具とハンマーは店の修理代の形にと酒場のオヤジが加工屋に持って行ってしまった。

ギルドナイトの話によると連中は悪質な密猟団のグループで、コレまで何度も逮捕に来たギルドナイトも返り討ちにあっていたのだそうだ。
その行状は凄惨をきわめてとても人間の所業とは思えなかったとの話だ。

そして野明の話では連中が吸引していた白い粉は一種の覚せい剤で一時的に疲労回復、体力増強などの効果を与えてくれるが、副作用が強く、依存性も高く続けて使用すると幻覚などの症状を起こしてやがては廃人、もしくは死に至る恐ろしいものなのだそうだ。

当然、各方面で使用は厳しく禁止されてはいるが、取締りの目をかいくぐり、製造、流通させていたのもあの連中とのこと。

「まったく、薬に頼ってまで強くなってもその薬に潰されちゃったら何の意味もないじゃない。」

野明は連行されていく男の一人を見てつぶやいた。

その男はダンテによって倒された最後の一人だったが、意識が回復した後、拘束されながらも口から泡を吹きながら相手かまわずに襲い掛かり非常に危険だったため、捕獲用麻酔薬を直接服用させて大人しくさせた後、あらためて猿ぐつわをかませて鎖で拘束したのだ。

「おそらくもう2度と理性は戻らないでしょうね・・・・。
とんだ大馬鹿者よ。」

そんな野明の憤りともとれるつぶやきをハルとヤマPは黙って聞いていた。

ハンマーの直撃を受けたヤマPだったが、幸いにして腕装備の金属部分が少し歪んだだけで腕自体は骨折などの怪我はなかった。
壁に叩きつけられたショックで一時的に動くことが出来なかったが、今は問題はなさそうだ。

野明の診察が終わり、ハルからもらった薬を飲んでいると銀髪に赤い装備の男がやってきた。
ダンテが悪党をギルドナイトに引き渡すための立会いから戻ってきたのだ。

「おい!小僧!てめえの体が無事だったのはその装備のおかげだ。
あとで武具屋のオヤジに礼でもいっといてやれ。」

ダンテがぶっきらぼうに言う。
相変わらず口が悪いが、一番心配していたのは実はこの男だったりする。

周囲も十分承知しているので誰一人として突っ込むものはいなかった。

だが、ヤマP一人だけが落ち込んでいた。

「・・・・・オレってダメダメですよね?
いくら頑張ってもいっつもいいところでケチがついちまう。
今回だって・・・・・ダンテさんがいなかったら今頃、あの悪党にハンマーで頭を潰されてたかもしんないっす。
はあ〜、オレってハンターに向いてないのかな〜?」

ため息混じりに言った途端、ダンテはヤマPの後頭部を引っ叩いた。

「痛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
ダンテさん!いきなり叩いて痛いじゃないっすか!」

「ヴァーーーーーーーーカ!」

「ば・・・・バカってダンテさん酷っ!!」

ダンテの言葉にナミダ目になりながらも反論しようとするヤマPの言葉を遮るようにダンテは言葉を続けた。

「バカにバカって言って何が悪い?
あー確かに詰めは甘かったけどな、それでもハルちゃんを助けたのはテメエだろ。」

「で・・・・・でも。」

「だーかーら、自分で悪いところが判ればあとはそこを直して失敗しないようにすれば言いだけの話じゃないか。
それにお前はバカでも自分で卑下するほどダメなヤツなんかじゃねえ。
もし、自分で判らないことがあったら教えてくれる人たちだってお前にはいるじゃないか。」

「え?それって・・・・?」

「それはあなたには応援してくれる人たちがいるってことよ。
あなたが今まで助けた村人たちやハンターたち、もちろんその中には私やハルちゃんもいるわ。」

野明がダンテの替わりに答えた。

「・・・・・あ、野明先生にハルちゃん。」

間抜けな声を上げるヤマPに野明は話を続けた。

「確かにあなたを嫌うものもいるけど、子供やこのコ達はちゃんとあなたを見て認めているわ。
本当に嫌われ者だったらこのコ達は寄り付きもしないわよ。
あなたはもっと自分の行いに自信と責任を持ちなさい。」

気がつけば、野明と一緒に来ていたアイルー達がヒーローを応援するような子供達のような熱いまなざしでヤマPを見つめていた。

「ニャルガ仮面〜〜〜〜!!ガンバレ〜〜〜〜!悪い奴らなんかに負けるニャ〜〜〜〜〜〜〜!!」

(ハハハ、・・・・・まったく野明先生の言うとおりだ。コレだけ応援してくれるのがいるのなら裏切れないよな〜?)

ヤマPは静かに立ち上がるとポーズをとって名乗りを上げた。

「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!悪を倒せとオレを呼ぶ!『正義の味方』!ニャルガ仮面参上!」

名乗りを上げてポーズを決めたところでアイルーたちから歓声が上がった。




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「ヤマPさん、元気になってよかったでしゅ。」

ハルは元気を取り戻したヤマPを見て素直に喜んだ。

「そうねえ、あんなのでも暗いところを見てるのは気分良くないしね。」

野明は苦々しくも笑顔で答えた。

「薬が効きすぎて変な方向に走らないといいけどな?ww」

ダンテが横から意地の悪い笑みを浮かべながら突っ込みを入れてきた。

だが、ハルはダンテの言葉に動じずハッキリと答えた。

「ヤマPさんならきっと大丈夫でしゅよ。ヤマPさんはユクモ村の正義の味方なんでしゅから。」





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