ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

人と自然コミュのサンデルを読む

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
サンデルを読む

---------------------------------------------------
 マイケル・サンデル「これからの『正義』の話をしよう」 早川書房 ¥2300
---------------------------------------------------

 というのが、固い本にしては話題になっています。読みました。

 ああでもない、こうでもない、こういう論理もあるし、そうでない論理もあるという展開でいくつかの話題が進められています。著者の見解がはっきりしない面もあります。

 いくつもの話題で蒙を啓かれましたが、その中でも、例えば「徴兵制」については考えさせられました。

 日本は今は徴兵制は無く、事実上の「志願兵」制度の自衛隊があります。日本国土の防衛は志願兵である自衛隊にかかっています。では、自衛隊入隊志願の目的は何でしょうか。愛国精神ですか、その後の就職に有利な技術が身に付くからですか、とりあえず就職先が無かったからですか。国土防衛を仕事として選択して志願した人たちはどれくらいの割合ですか。

 そして、そのようにして編成された自衛隊に国の防衛を「徴兵を免れている」国民がまかせているという図式が見えて来ます。私たちが軍に入らない替わりに、そのようにして志願された自衛隊が国土防衛の仕事を担っているということになります。

 例えば、北方領土(とりあえず4島)や竹島や尖閣諸島は日本の領土であると国際的に宣言はしているが、北方領土はロシアの実効支配下にあると言える。
 竹島の帰属問題についても政府外務省は日本の領土であると主張しているが、現実には韓国軍が駐留している。
 尖閣諸島付近での中国漁船の海上保安庁監視船への衝突になんら国際的な対処ができていない。これらの事態はおおむね知られているのでここでは繰り返さない。これらの問題は先送りするほど解決困難に陥るし、今もその段階である。

 この3点でも、すでに外国から領土を「占領」されているも同じである。本来ならば、自衛隊がそこに駐留しても当然と言える。そうしないのは軍という実力行使を避けたいからであろうが(平和的解決)、中国、韓国、ロシアは実力行使している。辺境の小島である程度なのだが、これが沖縄や北海道への侵略などとなったら、ただごとではすまない。(隣国にはわけのわからない国家が現存します)


 そこで、その問題は横において、国土防衛と自衛隊について、サンデルの分析が参考になる。米国でも徴兵制は無くなり、志願兵制度であり、民間軍事会社が海外での戦闘に契約されているのだという。イラク攻撃では10分の1が民間軍事会社の「警備員」(コントラクター=請負人と呼ばれる)であったとも。

 この民間軍事会社が登場した理由は、軍事費の膨張でこれ以上増費出来ないため、事実上戦闘の「アウトソーシング」(外注)である。会社へはアフリカ、中東、南米の貧困地域からの入社志願が多い。年収の10倍くらいを稼げるという魅力がある。(先進国からの志願が無いのは、リスクに見合うほど金銭的には高くない収入に魅力がないからだ)

 こういう動機でのコントラクター(民間軍事会社社員)が各種の戦闘に参加して、契約先の国の正規軍隊の役務を担っている。これがもう現実になっている。このような民間軍事会社社員が「執務」中に死亡あるいは負傷しても、正規軍ほどの補償がないし、治療設備さえも貧弱またはないかもしれない(戦死者としてカウントされない)。これを日本語では「使い捨て」と言うだろう。

 米軍のイラク攻撃くらいであれば、米国内での批判はそれほどは強くはないかもしれない。
なにしろ、本国人の替わりに(安い経費で)戦闘行為を担っているのだから。アフガンでも数万人規模でPMC(民間軍事請負会社)が動いていると言う。


 さて、自衛隊である。自衛官になるには、試験よりもまず「日本国籍」が必要なので、外国人が自衛官になる道は最初から閉ざされている。では、自衛隊が、別途に民間軍事会社にアウトソーシングすることは可能か、憲法上可能かという問題がすぐ横にあると思っているが。
 それこそ、日本の軍備費は、まだ「仕分け」の対象にはなっていないが、アウトソーシングできるものはしたらどうですか、などという提言も将来ありうるだろう、と書いた時点で検索をかけてみたら、すでにそのような提言がありました。下のサイトです。
(ただし、教育・給食・装備などでのアウトソーシングは数年前から採用されています)

民間軍事請負会社=(Private Military Company、PMC)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4369

 
 ちょうど、民間企業が(あるいは地方自治体が)、さまざまな部門をアウトソーシングして経費削減しているように、自衛隊もその業務の一部でもアウトソーシングすることが経費削減になるし、今や、その利用は世界の潮流である、と言うのだが。

 ここまでは、たぶんサンデルの言う「功利主義」的な提言だろう。こういう提言には必ずデメリットがあるはずだ。


 徴兵制度 志願兵制度(国籍条項をゆるやかにする方法もあるし、自衛官補として傭兵するのもぎりぎりのところか) そして、民間軍事請負会社 


 私は町の「九条の会」に参加しているのだが、現実の世界に起こっている生々しい事件とは理念があまりに乖離していて、私では結びつけることができないです。

 国土の防衛、どう考えますか。戦争反対、憲法改定反対もわかりますが、国土が侵略される段階では有効な議論ではありませんし。


最初に戻って、サンデルの本はこのようにひとつの話題から様々な文脈を取り込んでいて、読者を混乱させてしまいます。「功利主義」(民主制は「最大多数の最大幸福」を狙いとしていて、少数派は切り捨てられる)でもなく、「リベラリズム」(自由主義者)(個人の自由意志を最大限尊重しようとするが、サンデルによれば、自由意志か資本主義経済環境での提供された限定的な選択の可能性でしかない)でもなく、コミュニタリアン(共同体的善・倫理観)を優先したいようです。平凡社新書に解説書が出ましたが、読むのはこれからです。



(66歳の誕生日に書きましたが、まだ書き足りない部分もありましたね)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

人と自然 更新情報

人と自然のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。