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あいだーぬんリレー小説コミュのチェリーブロッサム

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「あたし、桜が見たい」



「……はぁぁ?」



俺の声は某ハンバーガーショップの一角で静かに響いた。


「えーと……いや、そのさ、ってかなんだよそれ?話の流れおかしくない?さっきまで俺が話していたのは、クリスマスにどこへ行きたいか」
「だ・か・ら!桜が見たいの」

彼女はさっきよりもよりハッキリと俺に言った。
もうこれでもかってくらいハッキリ言われたから聞き間違いではない。

クリスマス≠桜
冬≠春

フッと頭によく分からない方程式が浮かぶ。いきなり予想外発言に俺はまだ戸惑っているな。
まぁそりゃ当然だろ。学校の帰り、付き合ってから初めてのクリスマスが差し迫っているって事でお互いにどこに行こうか計画を立てよう!どこがいい?やっぱり定番のイルミネーション?この日の為にバイトで溜めたからちょっとぐらい高いレストランでも行けるぜ?プレゼントも一緒に買いに行かなきゃな!

うん。これが当初の話の流れであり予定だったはずだ。

「……まぁ、待て。とりあえず落ち着こう?俺も落ち着く。まず深呼吸して冷静になってだな」
「あたしはいたって落ち着いてるわよ。落ち着くのはシンの方でしょ?」
「それは!……確かに焦ってるのはこっちだけど……それはカナが話の流れを無視して冗談なんか言うから」
「冗談は言ってない。あたし、今度のクリスマスには桜が見たいの。それ以外には興味ない」
「本気で言ってるのか?冬にそんなことム」
「無理ならいいわ。見れないなら私達の関係はここまでね。別れましょう」
「!?おい!なんだよそれ!!」
「じゃあ、そういう事だから。さようなら」

そう言い放つとカナは1人でさっさと帰ってしまった。

後に残ったのは1人寂しい俺だけ。

「さよなら、って……なんだよそれ……」


「意味わかんねぇぇぇぇーーーー!!!」



「で、そんなムチャ振りをかまされた後、携帯の連絡にも無視され続け、更には学校でも口を聞いてもらえず、成すすべもなく今に至る、哀れな男に成り果てた、と?」

冬休み間じかの学校の休み時間。
俺は親友……いや、悪友のソウの奴に事の始終を話していた。正直、こいつだけにはこんな話をしたくはなかったんだが。

「……なぁ、何か俺は悪い事したのか?」
「はっはっはっ。知らん!」
「あのな!落ち込んでる友人に対してそのセリフはないんじゃねーか」
「まぁ良かったじゃないか!俗世のカップル限定の行事なんかに参加せずに済んだ。お前は勝ち組だっ!お帰り、こっちの世界へ♪」

……やっぱり話すんじゃなかった。2次元をこよなく愛しているこいつに世の中の恋愛事情が分かるはずがない。
だが、他に話せる友人がいない事も知って欲しい事実なのだ……悲しいかな。

「真面目に聞けよっ!」
「俺はいたって真面目だ。そんなもう別れた時の話は思い返すだけ時間の無駄だろう?」
「うっ……いや待て!まだかろうじて別れてはいないっ!」

「だが結局桜を見させてあげられないんだろう?」



そうだ。俺はあの出来事からいろんな方法を試してみたのだ。

桜の形をしたアクセサリー。
桜の模様のある雑貨。

「違う」

プレゼントした物はことごとく却下された。

桜の写真を大きく引き伸ばす。
造花を買って飾ってみる。

「……違う」



決まってカナは一言だけ言い放った。それ以外では俺と目も合わせてくれない、その徹底振りにはほとほと困り果てた。
それでもあきらめたくない、そう思っているのはあまりにも理不尽で……そして、カナの悲しそうな表情があったからだ。

2人は付き合ってから喧嘩もなく、順調すぎる1年だった。

確かに、桜は2人にとって特別な存在だ。


俺が玉砕覚悟でカナに告白した日……あの日学校裏の公園では満開の桜が咲いていた。
散り際に舞い散る桜の中、最高のポジションにカナを呼び出し、

「お、俺と、つっ、付き合ってもらえませんか!!」

今思い返してもあまりにもひねりのないベタベタな告白。まぁ人生初めての告白だったわけだし、なによりギャルゲーの知識しかない俺がリアルで恋するなんて思ってもいなかった不測の事態。

自分の想いをカナに伝えたい!!

あの時ほど強く思った事はないだろう。人生の9割方の勇気を出しきった瞬間だ。
だが彼女の回答はと言えば、

「あはは、だっさー」



「にしても、あんな返事でよくここまで付き合えたとむしろ自分を称えたっていいんじゃないのか?」

ソウの野郎の声が俺の思い出に土足で上がってくる。
しかし、言われてみればそうなのだ。クラスでメチャクチャ可愛い部類に入らないまでも、さりげない優しさとクールさで人気のあったカナとこんな自分が付き合っていたなんて、正に夢物語なのだ。こんなに一緒にいられるなんて思ってもみなかった。

初めての告白でバッサリ切られた後すぐ、カナは
「付き合おうよ」
と態度をコロッと変えてすぐに返事をした。あの時ほど驚いて喜んだ日はないだろう。

カナはハッキリ物を言うタイプだ。だからたまに相手にはキツく聞こえるのだが、フォローする気持ちを忘れていない。そのさりげない優しさに俺は惹かれてしまったわけだ。

「まぁ、な……でもよ、こっちには思い当たる節がないのにこんな理不尽な事頼んで別れようとするなんてカナらしくないんだよ。納得できないんだって」
「大方お前に飽きたってのが模範的回答だが……」
「だが?なんだよ?」
「いや、実は今日俺もシンに確かめたい話があったんだよ。ただ……お前の話を聞く限りだと噂じゃなさそうだな、と」
「噂?」

言い淀み悩むソウ。自分達の事がクラスで噂になっているんだろうか?学校ではカナが嫌がるので付き合ってる事実は伏せてある。知っているのはコイツぐらいだろう。


「隣のクラスの彼女の友達が廊下で話していたのを聞いたんだが……彼女、親の都合で転勤するらしいって」





その日の夜、俺は学校裏の公園で待っていた。
カナから、真実を聞くために。


カナは時間ピッタリに着いた。相変わらず冷静な表情。
「なんだか、久しぶりにカナの顔見た気がするよ。ちょっとの間だったはずなのに、何年も会ってなかったみたいだ」
「……」
「……」

カナから放たれる沈黙の空気が肌に刺さる感じがした。
だが、ここで押されるわけにはいかないんだ。

引き下がるわけには、いかない。

「転勤の話、聞いたよ……なんで黙ってたんだ?」
「……あたしは、桜がみたいって」
「はぐらかすなよっ!!!」

俺の声が夜の公園にキーンと響き渡る。

「……シンに言ったって、その事実は変わらないもの。どうせ離れ離れになるんだったら、ちゃんと関係を清算したいって考えたのよ」
「だからって!何で俺には相談しないんだよっ!!なんで!!」
「あたしだって!!……あたしだって、シンに言わなきゃって思ってた……こんなやり方、あたしらしくないって。でもね、親の都合なの。あたしがどんなワガママ言ったって変わりはしない。……遠距離だって考えた。だけど、シンと会えなくなると思うと怖くて……いつまでも不安な気持ちを抱えているくらいなら、だったらいっそ、別れておけばどんなに楽か……」

そういう彼女の真っ直ぐな瞳からは涙が溢れていた。
泣いた姿なんて初めて見た。

「怖かった……遠距離になるのが分かってシンが離れていってしまうのも、シンから別れ話をされるのも……今の私には抱えきれなかったの」

1人泣き続けるカナに、俺はどう声をかけていいのか分からなかった。

だから俺は最後のチャンスにとって置いたものをカバンから取り出し、
当たり一面にばら撒いた!

「……なに?……あっ……」

ピラピラと舞う桜色の紙吹雪。

バカな俺が考えついた最後の賭け。

それは今までの中で一番幼稚なものだった。

俺はカナにかけより抱きしめた。

「なぁ、行かないでくれ……俺さ、頑張って金溜めるからさ……一緒に暮らそうよ」
「出来るわけないじゃない……そんなこと」

「お願い、だ……」

頭に紙吹雪をくっ付けた情けない姿で俺は泣いていた。
変わらない現実がある。その事実を理解していながらも俺は泣くしかなかった。

その時、フッとカナは俺の顔を見て

「……だっさー。そのださくて正直なとこが、好きなんだけどね」

泣き笑いで答えてくれた。




「で、またお前はカップルというまやかしに溺れ、挙句の果てに遠距離恋愛なる不確定な関係のままで春を向かえた哀れな男になり果てた、と?」

学校の昼休み、
俺はいつものようにソウと喋っていた。相変わらずこいつに言ったところでどうにかなるもんでもないんだが、不思議と的確なアドバイスをくれる事があり、最近は見直しているところなんだが、
「はっはっはっ、まぁお前がいつでも2次元の世界に帰ってきてもいいように準備はしてあるからな!安心しろよ!」
と、カバンから新作のギャルゲーパッケージをチラつかせる。

「お前は、本当に……」

その時、携帯にメールが届く。

『休み時間に隠れてメール中。来月の休みにそっちに行けるのが確定しました。あの公園の桜はもう満開?一緒に見に行ける時まで咲いているといいね』

素っ気無い文面から、彼女が変わらないでいる事を実感する。


俺達の関係はまだまだこれからなんだ。

-完-

コメント(9)

ヤバイ、後半読み直してない、そして勢いで支離滅裂(笑)
間に合わせで本当すんませんm(__)m

お見苦しい作品ですが締め切り守れよプレッシャーに勝った……

おう。たいしたもんだ。小さくまとまってたし良いんじゃないか?…次俺か…
帯鬼がギャルゲーの友人役みたいになってるwww
純で良いですね(*´−`*)桜の紙吹雪とか実際にやったらほほえましいですww
>マダ子たん
何か友人を登場させようとしたら帯みたいになった(笑)
ゲームに組み込まれるなら本人も本望だろうウインク

>あさぎちゃん
幼稚だけれども、思いを伝えたいってのが伝われば書いて本望ですあせあせ(飛び散る汗)
ほのぼの桜ストーリーっすね。
読んでて気持ちいいっす。起承転結もはっきりしてますしね。
通りすがりのロリ

こんなの俺じゃねえええええ!!!

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