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BIKEBOY_chew-Zコミュの過去音源

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1st album
Bike Boy / a fragmentary passage of life (CLAY-0004)

民族音楽〜サイケデリック〜エレクトロニカ〜アブストラクトヒップホップ〜ダンスホールブレイクス〜エレクトロ…。メランコリーを抱えて縦横無人にジャンルのフィールドを駆け抜ける11トラック。

"深いのに開かれている不思議な作品。ヒップホップ、現代音楽、音響etc・・そうジャンルに括ろうと呟いたそばから逃げ水のように《?》がついてまわる。それは時として、音より感情に近く、感情より水に近く、水より砂に近く、砂より潮風に近く・・巡り巡って音に帰還する。振動がむせかえるような甘酸っぱさと情感を揺さぶる記憶となって鼻孔を衝くような。そんな聴覚を超えて細胞に浸透してくるネオアブストラクト。それは奇想の作家や画家たちのレム睡眠中の心音にだけ灯される密かなビートであり、言語を忘れた異境の民の胸にしまわれた祈りの海だ。"


〜音楽に限らず美術だろうが文学だろうが、オンナだろうと、いくら冷静になったつもりでも、主観を超えて評価すること、感じることは出来やしないんだぜ!
だからいいかい?『客観的/客観性』なんて言葉は、定義だけが存在するバベルの塔なのさ。主観から逃げることなんか出来やしないんだ。
他人の感じてるコトを刷り込まれるな! 他人の人生を自分の人生と取り違えるな!
ましてや他人の夢を見させられるんじゃぁない。
おまえは、おまえのドまんなかにしっかり座って、ただ心をすまして聴いてみるんだ。
それがおまえの正解だ。他人の答なんか知ったこっちゃぁないさ。
         アルフレッド・アーティミス
               『ダス・ヘルツ・エナーギ』より

いきなり長い引用から始まり恐縮です。
まさに自分のドまんなかに座って、ただただ心をすまして作られた音楽が、いまあなたが手にしているBIKE BOYの『a fragmentary of passage of life』であることを言いたくて、こんな書き出しになってしまったことを御理解していただきたい。
これから解説を書く立場にありながら矛盾することですが、なによりもこれから垂れ流される言葉なんぞを信じることなく、自分の感受性を全開して全身全霊で受け止めていただきたい一枚なのです。

05年03月リリースのCLAY第1弾『マジカルスーパーアジア』でそのキャリアをスタートさせたBIKE BOY。
雨の降りつづくジャングルで、いまにも通信が途絶えようとする探検隊が綴った夢想日記の音像化とも例えたくなる『transmutation』はこのコンピレーションの1曲目を飾った。
バイクボーイ? この聞き慣れない名前はいったい誰なんだ? 
きっと360°やcommune周辺アーティストの変名ユニットじゃないか? そう邪推したりもした。聴く者を嬉しく困惑させるディープさだ。これがデビュートラックとはにわかに信じられない。この得体の知れない魅惑の実験コラージュ電子民族音楽を耳にしてそう思ったのは、なにもわたしだけではかったようだ。
このトラックはレーベル周辺における評価はもとより、時空/LOS APSON?の山辺圭司氏もPansonic、Spectreの来日イベント会場で絶賛の声をじかに聞かせてくれたりして…と各地で好評を得た。

さて、肝心のBIKE BOYのプロフィールを紹介しよう。
最初に『マジカル・・・』でキャリアをスタートさせた、と記したが、正確には2000年前後より音楽活動を開始している。commune discよりmpc student名義でファーストepをリリース。
そしてエクスペリメンタル色の強い3ピースのサイケデリックエレクトロニカバンドmillesでstickを担当しアルバムを、さらに数枚のコンピレーションにも参加し、自らのweb label、 abstructure sound にてmpc+「six,song」a/r 「oceannut」等をリリースしてきている。こうしていくつかの名義を使い分けて活動しているが、それぞれのユニットにはコンセプトがある。
Mpc+はAKAI mpcを使ったアブストラクトブレイクス。
a/rではプリセット音などのよりクリアーなダブブレイクス。
そしてbike boyでは様々なスタイルで浮遊感のあるトラックをリリースしていくという。
そんななかでもmpc+「six,song」は現在のBIKE BOYの源流とも言えそうな完成度の高いアブストラクトだ。
意外なTR-808チックな使い方が印象的なトラックがあったり、どんどん変異していく楽曲が刺激的だったり・・・と発見ゴロゴロ転がっていて、本アルバムがフェイバリットな一枚になった方は必聴だろう。
ヒップホップ/ヘッズ云々ではなくmpc+というグルーヴがバッチリある。
まさにテクノなマシーンの回路が内部から発振するヒップホップ。
a/r 「oceannut」は色彩感が微妙に違いをみせていて、甲乙つけがたい完成度だけにこちらもお薦めしたい。

本作リリースまでの数ヶ月間で、二度のライヴを体験する機会があったので、これも紹介しておきたい。 まずは03月10日のコンピ発売記念イベント。
あの『transmutation』をさらに檻から解き放ったようなapple Macintoshで展開される20分あまりの演奏だった。
ウワモノvsサンプルといった図式を踏み潰し、聖歌、民族音楽、PCノイズetcがビートと対話しながら、その姿をメタモルフォーゼさせてゆくアブストラクト経由のストレンジ・サウンド。
変則パンチを身上とするフィリピンボクサーが奏でるバロック音楽のような端正さに、思わずノックアウトされた。
近くにいた360°の虹釜氏が「これが知らない奴だったら絶対スカウトしてるよ」と漏らしていたのがとても印象的だった。

そして05月17日のライヴ。
そこではこれまでの美しき奇形の突出ぶりは輪郭をにじませて、アブストラクト・ヒップホップのアナザーサイドにコミットして、そのどちらにも属さないグルーヴを醸し出していた。
儚さとストイックさが突出し、つんのめらせたり、抜いたり、よじれさせたり、とビートを操りながら、えらく切ないサンプルを重ねてゆく。
それは砂漠でメランコリックな海鳴りを聴くような気配に満ちた音楽だった。溜め息が出る・・・気分はもう晩秋だ。パラフィン紙がカバーだった頃の岩波文庫が読みたくなる・・・あぁ、意味はないが。
この空気が全編30分を貫いているのだから、さぁ大変だ。
聴いて深みにはまってゆくにつれ、だんだん自分が余命幾ばくもない夏目雅子と鷲尾いさ子(たとえが古くてゴメン)の優性遺伝子だけを移植された柴咲コウ(伊東美咲も可)を妻に持つ、せともの屋の主人になったような切なさにハートが侵蝕されてゆく・・・気分はもう初冬を過ぎ初雪も近い。などとイマジネーション(駄文)をかきたててやまない、メランコリック好きな自分には、まさにホールインワンなライヴだった。

幸運なことに、BIKE BOY本人よりアルバム収録のためのデモトラックを完成のたびに聴かせてもらうことができた。
新作を耳にするたびに、言葉には翻訳不可能な説得力とオーラを獲得しミューテーションしてゆく姿が、手に取るようにわかった。
そこでいくつかの質問を彼に投げかけてみた。
愛読書に現在のSFの最先端をゆくグレッグ・イーガンの名前をあげるほどの彼だけに、トラック制作上における影響を受けるものはあるのだろうか?
「いつもなにも考えずにループ(ドラムやフレーズ、サンプルなど)を組みます。気に入ったらそのループをくり返し聴いて展開を作りフレイズを重ねて行くうちに特定の世界観ができていく気がします。そこからはその世界や物語を意識しながら制作していく感じです。」
同じく、この短期間で作品がどんどん変化してきていることについて、はどうなのだろう?
「飽きっぽいのか、同じジャンルの曲が出来ないだけなのかはわかりませんが、なるべく似たような曲にならないようにしようという意識はあると思います。」そう気負いもなく答えた。
それでは、これまでに影響を受けたアーティストを教えてくれる?
「影響を受けたりよく聴く音楽は・・・
ヴァンヘイレン、スティーヴ ヴァイ。キング クリムゾン。
グランド ゼロ、ジョン ゾーン、ビル ラズウェル、ポップグループ。
デヴィッド ボウイ、オーネット コールマン、初期フュージョン時代のマイルス、
ウエザー リポート、リターン トゥ フォーエヴァー。
DJシャドウ、ヴァディム、クラッシュ。
エイフェックス・ツイン、スクエアープッシャー、ロニ・サイズ。
スペクター、サンダルズ、cannibal ox、カンパニーフロー、アンチポップコンソーティアム。
池田亮司、オウテカ、ライヒ。グレッキ、シュトラウスなどの弦楽器中心のクラシック・・・
こんな感じです」

こうして数ヶ月という短期間でサウンドとメロディの断片を紡いだストーリーテラー色を強めていくさなかで放たれたのが本アルバムである。
いくつもの時間軸に存在しながら平衡を保っているようなアブストラクト。そこには様々な次元の多様な価値を持ったサウンドが相克することもなく同居している。
そんな実験性を宿しながらも、やさしい手触りにして伝える姿勢は一貫していて、テクノや電子音楽スレッカラシでなくても、堪能出来る間口の広さを持っている。
極言するなら、戦闘地域のラジオから、クラブを経て、昼下がりのリヴィングルームでハーレクインロマンスを耽読する自称・有閑マダム(実は未婚)のBGMにまで、対応に耐えられる作品になっている。
しかし、それぞれのトラックによくよく耳を傾ければ、シンプルで心地よい感触をもったトラック群が、じつはこのうえなく趣向を凝らし仕上げられているのに気づくはずだ。間口の広さと深さが共存する稀有のアルバムなのだ。
使用されている多くの奇想サンプル、SE、ノイズたちがまるでひとつの結晶体を構成するための捧げ物であるかのように、とても有機的に織り込まれている。
スタイルに囚われない、BIKE BOYサウンドは、決してコード化されない、綺麗ではおさまりきらない、美しさを全編にたたえている。
そのくせ決して異端をひた走るのではなく、王道を感じさせるのだからニクい。
有名無名問わず、多くのアーティストが既成のツボに、自らをはめようはめようとトラックを作っていて、自分からコード化されたがって(自分から飼い犬になりたがってる?)久しい昨今。
数少ない自由な表現者の登場を喜ばずにいられない・・・超個人的に。
などと、冒頭の引用文を軽々と裏切ってしまう饒舌ぶりに嫌気がさしてきたところで、ペンを置きたい。

それでは、みなさんの愛聴盤となることを心から願って。

解説
1 scratch degital.スクラッチやさまざまなノイズのコラージュが交差する前奏曲&バイクボーイからの招待状。

2.static/D_hallアンビエントな空間からするりとワープし、朽ち果てた洋館のピアノに内蔵された破れたスピーカーから流れる、モノトーンでデフォルメされた異形のデジタルニュールーツダブ。こんなに聞き分け悪そうで手触りのゴツゴツしたダブはめったにないだろう。

3. lament中東ツアーから帰ってきた現在のオウテカが体内のアドレナリンを低下させつつ過去の自分との邂逅を果たしたようなパラレルワールドエレクトロニカ・・・と思えばブッツリ中断はするし、一筋縄ではいかない。そのくせメランコリック。

4.transmutation 3月のライヴの世界にもっとも近いトラック。前述参照。

5.atmospherics泡立つようなスクラッチと原型をとどめないJBスタイル・シャウトが渾然一体になって、クラシックマナーで回廊を木霊するように響き渡るサクソフォンとともに、仄暗い冥界を彷徨う変則ダークアブストラクト。クラブに対応しながらも、おもわず瞑目してしまいそうな静寂を全体に内包している。

6.loe.ピアノ、SE、セリフが正三角形を描いて効果的に配置されたブレイクスとも形容できない作品。さらに背後でソプラノ声楽がたなびくと、何の変哲もない静かな日常にひそむ危うさが影絵のように潜在意識から浮上してくる。

7.melancholy.未来の孤独を波間に幻視してしまった浜辺の南中時。メランコリックなシーケンスの耳鳴りにうなされる晩夏の午前三時。その哀愁帯びた残響は、あまりの熱帯夜に行間から溶け出してしまった詩人エドモン・ジャベスの言葉に結晶化されなかった吐息・・・そんな映像が脳裏で混交するアブストラクト。

8. receptor and channel.ガムラン〜デジタルダブ〜サンバ(一瞬!)という流れをつくりつつ、素朴なデッサンを最上の完成形にしたような手触り。SF作家の書いた私小説掌編集のなかの一編を読むような味わいを持った小品だ。

9.higan雨音のような針音が降る図書館で、古い革装ブックカバーがかけられた誰からも忘れられた物語を読む。挿絵は架空の地図。滅びた国?それともこれから生まれ落ちる国?いったいいつの時代のものなのか判別できない・・・みずみずしさと儚さを両輪に、静謐さのなかを進行する孤独な軍人の馬車。前トラックに続きバイクボーイの真骨頂とも言えるアブストラクト。 

10.rain,child,song for  ビートもさりげなくも心憎いツボをしっかり押さえて、ひたすら美しさに絶句して欲しいジャンル云々を超えたブレイクス界のルノアール的1曲。
とてつもなく感動した映画のエンドロールに流れる音楽のような感触が、たった数分間のなかに満たされてるのに気づくだろう。誰にも言いたくない/自分だけのものにしておきたい・・・そんなマイフェイバリットなヨーロッパの映画の趣。このアルバムのハイライトのひとつ。

11. dejavu大気圏外で天体観測に興じるような静謐さをたたえたアブストラクト。その向こうに、PCノイズとひっそりとよろめいてみせるビートのかけひきの妙味を味わって欲しい。

12.scratch digital pt.0終わりは始まりへ。 

解説・ライナー 直崎 人士

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V.A / magical super asia (CLAY-0001) 発売中

CLAY
http://blog.goo.ne.jp/clayinfo
http://mixi.jp/view_community.pl?id=144344

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