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詩人集まれ!コミュの[遺書] Short story

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戦友の仇討ち 今までの戒め存じて
我慢口加え 彼は朽ち果て寸前、遺書を残す

「夕顔の頃合い―――愛して止まない孤児が彼果てた百日紅の樹の下に来る」


朽ちたら…開けよ、と云い
絶えた同志の意思を継ぐ


「血は繋がれど無くても、存分に慈しんだ事は伝わっただろうか。私は何時も不安で胸が張り裂けそうだった。」
「何時も怯えていた。躾れば私を嫌わないか、許しすぎても駄目な人間に育つ。」
「不器用で無口故に、大層君等には不愉快な思いをさせたかもしれない。それでも…私は心から誇りに思っていた。君等と触れあえる事を」

「度々戦地に赴く私に、夏の暑い日向日葵をくれた。そして一言「死なないで」と」
「―――その約束も、此れを読んでいると言う事は守れてないのだろう。私は…言えなかった言霊が沢山ある」
「有りすぎて君等を傷つけないかと怯え、段々と無口になっていった」
「もう少し器用だったならば…君等の記憶の欠片にでも残った人物に成れていたかもしれない」

「…君等は君等の路を行け。光が何処かで見える刻が来る。がむしゃらに進め。例え惨めだろうが怖かろうが、後ろ向かず只進め」
「そうして―――また向日葵が咲く頃、自分と向日葵を背比べしてみるといい」
「丈だけではない、何かを得ている筈だ。吸収能力が高い子供の能力を生かせ。大人になって口が閉じる前に―――」

「最期になったが…初めて伝えると思う」

「愛しているよ、ずっと、永劫に。」


戦友の仇討ち 今までの戒め存じて
我慢口加え 彼は朽ち果て寸前、遺書を残す

向日葵はまた一段と大きくなった
これらを見て百日紅の樹に集う慕い子は何を思うだろう



遠い山では
もう秋の薫りが降りてきている―――

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