名勝コミュの善生寺庭園

　山口県山口市上宇野令字周慶寺1016の１

　2006年10月00日、山口県が名勝に指定。

　浄土宗導衆山曼陀羅院善生(ｾﾞﾝｼｮｳ)寺の地は、　この地には、弘長元(1261)年、盛誉を開山として西方寺が創建され、天文2３(1554)年に大内家家老で長門守護代の内藤興盛の菩提寺となりました。その後、慶長9(1604)年に権中納言毛利輝元側室で初代長州藩主秀就の生母である周姫(ｶﾈﾋﾒ；1572～1604)が葬られ、その法名清泰院殿栄誉周慶大姉に因んで寺号を周慶寺と改称しました。
　ちなみに周姫は幼少の頃から凄い美少女だったため、輝元に目を付けられていましたが、父親の児玉元良(ｺﾀﾞﾏﾓﾄﾖｼ)は輝元の行動を嫌がって周姫を13歳で杉元宣(ｽｷﾞﾓﾄﾉﾌﾞ)へ嫁がせてしまいました。ところが、諦めきれない輝元は周姫を強奪して無理やり側室にしてしまいます。そこで激怒した杉元宣は関白豊臣秀吉へ直訴を企てますが、事の重大さに慌てた小早川隆景によって徳山湾で暗殺されてしまいました。その後、毛利家の船が徳山湾の沖を通ると海が荒れるようになり、広島域中では奇怪な事件が相次いだとされています。また、元宣の菩提寺である興元寺では恨みを含んだ武者の幽霊が白馬に乗って辺りを走り回るとの伝説も伝わっており、更に周姫は自身の美貌が不幸を招いた事を悲しんで、以後、山口では美女が生まれないように呪いをかけたとの伝説も生まれました。
　周慶寺は廃仏毀釈のため明治元(1868)年に廃寺となりましたが、明治３(1870)年に火災で焼失した今市の善生寺が当地へ移転して来たのです。
　庭園は江戸時代の史料によると、雪舟の作と記されています。境内の南側にあり、面積は約1500㎡で、池泉の北側から観賞する池泉観賞式庭園です。池泉を中心として、南西側には渓谷風の石組があり、ゆったりとした枯流れとなっています。その左右には、築山が設(ｼﾂﾗ)えられ、特に左側の築山には高さ約120cmの大ぶりな山形の石材を主体に七石が配置され、庭園主要部を形成しています。
　東側の池尻に架かる自然板石は、懸石(ｶｹｲｼ)と呼ばれるこの地方独特の手法で、池泉の中央部には井泉石組(ｾｲｾﾝｲｼｸﾞﾐ)があり、湧水で常時池泉に水を湛(ﾀﾀ)えています。
　発掘調査によって導水路や排水路などの遺構と共に、土師器(ﾊｼﾞｷ)等の遺物が出土したため、15世紀末頃に自然沼地を利用して作庭され、当初は東方の導水路側から鴻ノ峰を借景(ｼｬｯｹｲ)として観賞したと考えられています。17世紀末頃には中島が増築されました。
　発掘調査によって作庭時期や変遷などの全容が確認された貴重な庭園で、山口県内では数少ない中世庭園の一つです。

◎城下町山口
　https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=194642&id=89434373