名勝コミュの中田氏庭園

　長野県松本市出川２-23-４

　1969年07月04日、松本市が「中田家の庭園と住宅」を重要文化財に指定。
　1979年03月22日、長野県が「中田氏庭園」を名勝に指定。

　中田家は戦国時代から善光寺道沿いの現在地に居住し、江戸時代には酒造業を営みつつ出川組の名主や大名主を務めていました。
　従って、松本藩主が鷹狩りを行う際に小休(ｺﾔｽﾐｼﾞｮ)所となる事もあり、母屋とは別に貴賓用の御殿が設けられていました。
　中田家は、天和・貞享年間(1681～88)に火災で焼失してしまいましたが、諏訪・高遠両藩内から良材を求めて建物の普請を行い、貞享年間(1684～88)頃に御殿も再建されました。御殿は書院造で、庭園に面した座敷が小休所として用いられました。
　明治13(1880)年の明治天皇北国御巡幸に際の御小休所(ｵｺﾔｽﾐｼﾞｮ)にもなっています。
　一方、本棟造の現在の母屋は、明治23(1890)年に新築されたものです。本棟造は、江戸時代中期以後、この地方の上級民家として流行した建築様式ですが、その最も発達した大規模な物です。良質の欅材をもって柱立てをし、軒高く瓦葺きで、その平面は間口・奥行きとも10間(約18ｍ)の方形で、御殿の東側に接続しています。
庭園は、この二棟の南にあり、御殿と前後して築造されたと推定されています。広さ約587㎡で、池と築山が主体となり、池には鶴島と亀島の二島が設けられて、各々に石橋が架けられています。池中に鶴島と亀島の一対が揃っているのは民家としては稀有な事ですが、右側の鶴島は昭和時代の名作庭家たる重森三玲(ｼｹﾞﾓﾘﾐﾚｲ；1896～1975)によって修復されています。島中央の竪石は従来横になっていましたが、三玲は羽石と解釈して現状の様に立てる事としたのです。
　庭中央部の築山には蓬莱山・枯滝・三尊石があり、堂々たる立石が各所に配されています。また、楓・杉・松・榎(ｴﾉｷ)等で美しい樹林も作り、林泉配石に要を得た趣のある美しい庭園です。江戸時代には文人墨客が訪れることも多く、松本藩戸田松平家の儒者木澤天堂は頻繁に訪れて、文化２(1805)年には、この庭園の美を称えた『鶴亀日記』を遺しています。
　中田家住宅の一部はギャラリーに改装され、日本庭園の写真展や日本アルプス山岳写真展が行なわれています。

◎城下町松本
　http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=194642&id=80428940