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脳汁廃棄処分場コミュの宇宙が落ちた日 第9話

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―UC.0079 1/5―

 ちょうど6日に日付が変わる頃、俺はザクの中で第一種戦闘配置のまま待機していた。先頭にはミギリ少尉のザク、その後ろにスグ曹長のザクが並ぶ。


―UC.0079 1/6―

 アイランド・イフッシュがロケットエンジンを点火させて周回軌道を外れる。

 コロニーの護衛を勤めたのはドズル中将配下のキリング中将の率いる宇宙攻撃軍第二制宙師団である。俺達の乗るムサイ級巡洋艦ゲソクーもこの師団の中の一角として護衛にあたる事となる。


―UC.0079 同日―

 コロニー落下目標がジャブローであることは外れた軌道から容易に予測され、その戦略的意義を理解した地球連邦はルナツー所属のティアンム中将率いる第4艦隊を発進させる事となる。


―ゲソクー艦内―

 「今しがた連絡が入った。どうやら連邦は艦隊をルナツーから発進させたらしいい、いよいよ艦隊戦だぞ。」

 ミギリ少尉からの通信が入る。

 「いよいよか・・・」

 「なんだ?またビビリか新兵。」

 スグ曹長がすかさず茶々を入れてくる

 「スグ曹長は怖くないんですか?いかに無敵と言われてるザクでもやられる時はやられるんでしょうが。」

 「まぁ、その時はその時だ。やる前からやられること想像してたらキリが無いだろうが。」

 「・・・」

 俺は黙ってしまう。いまだ自分の心に整理は付いていない。
しかし、少なくとも今自分が置かれている状況だけは解る。

 これは戦争だ、今から迎撃に向かって来る敵地球連邦の艦隊を退け、護衛するコロニーをジャブローへ落下させる事。

 これが課せられた任務。周りの友軍達は俺達がやった虐殺等は口にはしない。している余裕がないからだ。
「勝てば官軍」とはよく言ったもの。一部の人たちを除いた大半数の人たちはこれから起こす作戦に自国の勝利を確信してか、勝鬨まであげる者もいて士気を高めあっている。
この時点ではまだコロニー落下作戦という大きな作戦のお陰で俺たちが起こした毒殺作戦など色あせていたのだった。

 俺たちがどんな思いで罪も無き民を殺したという事はすでに忘れ去られていた。

 
 ”各MS対核戦装備行って下さい”

 オペレータから通信が入る。

 「対核戦闘になるのか・・・」

 「いちいちうるせぇな新兵、もうなんでもアリなんだろうよ。ようはどんな手段つかってでもコロニーをジャブローに落っことせば俺達の勝ちなんだ。頭の悪いやりかただが一番手っ取り早いやり方だだろうが!」

 「スグ曹長・・・」

 核弾頭が搭載されたバズーカがクレーンにつるされて流れてくる。砲身は太く、長く重々しい形で一目でヤバイ武器だとわかる。

 「すごく・・・大きい・・・」

 「核弾頭は一発撃ち切りだ。初弾を撃ったあとはすぐさま着艦し別の兵装へ換装することとなっている、解ったな?」

 「「了解」」



―UC.0079 1/6 04時50分―

”連邦艦隊レーダーに補足!総員第一種戦闘配置。”

”ミノフスキー粒子散布開始します!”

 護衛艦隊がレーダーに入った事を知らせるアナウンスが響く。

”MS全機発進準備!コロニー絶対死守だ!ルナツーから発進したティアンム艦隊はコロニー破壊を目的とした布陣を取っている。先発隊に続き、小型戦闘艦艇部隊とともに艦隊の殲滅を最優先させろ!”

 「了解!」

”モビルスーツ発進用意!”

 艦長からの指示が入ると同時にハッチが開いて行く。

 いよいよ生きるか死ぬか、勝つか負けるかの分け目の戦場が目の前に広がろうとしている。いつもながら俺は動悸と息切れがしてきて吐き気を催してくる。

 「覚悟はいいか?まずは、撃ったら一度戻れ!全員生きて戻れよ!!」

 ミギリ少尉の威勢のいい通信が入る。

 「ミギリ少尉!ザク出る!!」

 一番初めに飛び出したのは少尉のザク。続いてスグ曹長。

 「スグ機、行くぜ!」

 間を空けずにスグ曹長が飛び出して行く。次は自分の番だ。
固定されながらドライバーへと移動させられる。

 「う、うお・・・ッく・・・」

”アイディ機どうしました?早く発進を!”

 同じ事を言われるのは二度目だ。

 「来いアイディ、俺の後ろに着け!簡単にお前を落とさせたりはしない!!」

 ミギリ少尉からの通信で俺は覚悟を決める。

 「うぅ、アイディいきまぁす!!」

―ズドォォフォ!!

 「うおぉお!!」

 後ろへとかかるGに耐えながら俺は宇宙へと飛び出す。

 「まずは落ち着け、すぐに戦闘に入るぞ!!」

 最後にドーデ・モイ軍曹機が俺の後ろについてきたのを確認したミギリ少尉は、自機を先頭にして小隊を引っ張ってゆく。

 ”敵艦隊の有効射程圏内に入りました、迎撃に注意してください。”

 すぐさまオペレータの通信。

 ”先頭一番艦から通信、敵機動部隊と交戦に入りました。複数の突撃艇が展開してきているとの事です。”

 通信をいちいち確認している暇がない。
”ました”だけ聞こえた次の瞬間目の前が急に光りだす。

 「いきなり誰か撃ったな・・・。少尉、撃墜数稼ぐんなら急いだ方がいいぜ。」

 スグ曹長が急かす様に言う。

 「一発しかないんだ、そう焦るんじゃない。確実に敵の戦艦に当てるようにしたい。各機回避行動を取りながら射程距離まで接近する!くれぐれも撃墜されるなよ!!」

 「「了解!!」」

―ドゴォォォ!

 各機速力を上げて地球連邦艦隊へ突撃する。
俺は少尉機に遅れまいと必死に後ろをついていった。

―ガーン!ズズン・・・ズシン・・・

 あちこちに爆発音と光が響き渡る。

 ”うあ・・・うわぁぁ・・・”

 偶然拾ってしまったやられて行く友軍の断末魔を俺は聞いてしまう。

 「うッ!・・・オエッ」

 思わず少し吐いた次の瞬間。

 「前方ロックオンされた!来るぞ!!」

 少尉の叫び声と共に自分の前方のロックオンアラートが鳴り響く。
実戦で聞くのはこれがはじめてだった。

 「う、うわぁあああ!」

 小型戦闘機が数機攻撃を仕掛けてくる。

―ガガガガガガッ!

 「わああああ!」

 俺はアラートの音にビクつき回避行動が少し遅れてしまう。

 「おい!大丈夫か!?状況を伝えろ!!」

 絶え間なく鳴り響くアラートと耳を劈くような轟音、そして母艦からの通信と叫ぶ軍曹の声。

 「やられました!ひ、被弾しました!!」

 俺は軽いパニック状態になり、とにかく敵戦闘機の攻撃が当たってしまった事を伝える。

 「落ち着け!各損傷箇所をおしえろ!!」

 「あぁ・・・うぅ。了解。」

 俺はすぐさま各部のチェックを入れる。

 「ハァハァ・・・問題・・・ないです損傷軽微です!!」

 「行けるか?」
 
 「問題ないです!!」

 直撃したかに思えた敵戦闘機の攻撃は損傷どころかかすり傷程度だった事に少し驚く。

 「すごい、やっぱりザクは凄いんだ!」

 そしてこの時、自分の心の中に少しばかりだが無敵感を感じる。

 「少尉、敵戦艦を有視界で補足したが戦闘機が邪魔で旨く照準が合わせられない!」

 スグ曹長が苛立ち始める。

 「落ち着けスグ曹長、俺が何とかする!!」

 隊列を少し外してしまっているスグ曹長機に数機の戦闘機が攻撃を仕掛けていた。

 「クソッ!友軍の戦闘機部隊は何をやっているんだ!!」

 ミギリ少尉機がバズーカを片手にヒートホークを抜き、曹長機に襲い掛かる戦闘機を真っ二つにする。

―ドガン!!

 「お前等!ここは俺に任せて掻い潜れ!!」

 ミギリ少尉が隊の一機二機と撃墜させて行く。

 「フン、連邦の戦闘機如きこのザクからしてみれば止まってるハエを潰してくれと言ってるようなもんだ。抜き身のヒートホークだけでも十分なんだよおおおお!」

―メシャァ!

 コクピットをピンポイントで潰し、亡骸になったソレをのまま襲い掛かる戦闘機に放り投げてぶつける。

―ドドォォォォン・・・

 「すげぇ・・・」

 ミギリ少尉は瞬く間に小隊編成の戦闘機達を撃墜させて行く。
その様を見ながら自分自身も心の内にある闘争心に火がついたのが解った。

 「やってやる・・・俺だってぇ!」

 自機の目の前にロックオンアラートが鳴り響く。

 「来た!うおあぁぁぁ!」

 俺はミギリ少尉が撃墜したように、敵機戦闘機をギリギリまで引き付けて腰から抜いたヒートホークで思い切り殴りつけるように攻撃を繰り出す。

―ドカーン!!

 少尉のように真っ二つとまではいかないまでも撃破に成功する。

 「やった、やりました!一機撃破です!!」

 「やるなアイディ!だが油断は禁物だ、持ってるのは核弾頭だという事を忘れるな!撃ち出すまでは極力戦闘を避けて回避しろ!!」

 「了解!!」

 たった一機、たかが戦闘機を撃破したくらいで俺は浮かれた。
毒ガス作戦の時とは180度違い、高揚感が確かにあった。

 「こちらアイディ伍長、敵艦補足!対空迎撃が薄い!行ける・・・少尉行けます!射程内に敵サラミス級巡洋艦を捕らえました!!」

 「同じくスグ機、射程圏内だ少尉!」

 スグ曹長と同時に自機の射程に戦艦を捕らえる事に成功する。

 「よし、撃ったら直ぐに離脱!衝撃波に巻き込まれるなよ!!」

 「「了解!!」」

 スグ曹長と同時に返事をした俺は核弾頭を積んだバズーカをサラミス級巡洋艦目掛けて構える。


”PPPPPP・・・”

 「行くぞ・・・勝てば・・・勝てばいいんだ。勝てば俺がやった事は正当化されるんだ・・・。」

 俺は照準が定まる数秒間の間に確定的な勝利の余韻に浸る。

”ピィー・・・”

 「勝つんだ、勝って俺は英雄だ・・・ダリア見てろよ!くっそ連邦がぁぁぁ喰らえよぉぉぉ!!」


―ドズバッ!!!

 今度はしっかりとトリガーを引き、弾頭に込めた思いを叫びながら弾頭を射出した。


 ・・・ ・・・ ・・・ゴッ・・・ズゴゴゴゴゴゴォォォ・・・


 俺が放った核弾頭は明らかに周りと違う衝撃を出しながらあたり一面が光に包まれ、着弾した戦艦は爆発をする前に消滅。周りにいた戦闘機や突撃艇をも巻き込んで光の渦へと消えていったのだった。

―当たった・・・!―

 「ハァハァ・・・アイディ機射出完了・・・離脱します!」

 「同じくスグ機、着弾確認離脱する!」

 「了解、両名よくやった。迎撃に注意して戦線を離脱せよ。」

 俺たちに続くような形で少尉機が動き出す。
相変わらずザクの動きが良い、一機二機と突撃艇を撃破し、戦闘機の攻撃を掻い潜りながらより深いポイントへと到達する。


 「食らえ・・・!」


 ミギリ少尉は自分が撃った核弾頭が命中したのを確認すると引き返してくる。
とりあえずは初弾を当てる事に成功する事になった。そして直後に戦艦からの通信で見事俺たちが攻撃した艦隊の一角を壊滅に追いやる事が出来たのだった。

 俺は少しの間達成感に包まれるが、ここである異変に気がつく。

 「ドーデ軍曹!どうした?撃ってないのはお前だけだぞ!!」

 「・・・」

 「おい、返事をしないか軍曹!」

 「フヘヘ・・・ウヘァハハハ・・・。」

 明らかにおかしい奇声を発しているドーデ軍曹。
俺は直感でヤバイと感じた。

 「ミギリ少尉・・・俺は・・・もう駄目だ。耐えられない・・・」

 軍曹機は核バズーカを構えようともしなかった。

 「どうしたってんだよドーデ軍曹!」

 スグ曹長が怒鳴る。

 「スグ曹長はよく平気ですね・・・えぇ?」

 「ック、気でも触れたかドーデ軍曹!早く撃つんだ!!」

 「ハ・・・ハハハ。オカシイのはあんた等だろうがぁ!!考えないのか・・・?あんた等は考えた事あるのか?えぇ!?」

そう叫ぶとドーデ軍曹機は俺の方に向けて核弾頭が搭載されたバズーカを構えてくる。

 「う、うわぁドーデ軍曹何を!!」

 「オイ!何を考えている!やめろぉ!!」

 必死に説得するスグ曹長。

 「あの質量が地球に落ちて・・・地球に落ちた後の事は考えてるのか!死ぬんだぞ・・・ガスで殺した人数なんて比じゃないでしょうが!また罪も無い人たちまで巻き込むのかよぉ・・・あぁ!?これが戦争と呼べるのかよおおお!!」

 「ッ!?」

 俺はドーデ軍曹の叫びが自分の胸に突き刺さるような感覚に襲われた。


―本当にこれは、この作戦は戦争と呼べるのか?―


 「あ、うぅ・・・た・・・確かに・・・」

 「考えるなアイディ!」

 ミギリ少尉が遮るように俺に叫ぶ。

”ミギリ小隊どうした?何があった、射出したなら早く帰還しろ!!”

 艦長からの通信が耳に入る。

 「少尉・・・」

 「解っている、お前等は先に行け!!」

 少尉機が手振りで先に戦艦に戻れと指示を出す。

 「ドーデ軍曹、貴様の言い分は帰ってから聞いてやる。だがいまは命令に従え!早くその弾頭を連邦艦隊に向けて放つんだドーデ軍曹!!」

 「・・・ ・・・俺はこれ以上自分の手が汚れるのは御免なんだよ!」

 ミギリ少尉の説得を聞かないドーデ軍曹は隊列を外れる。

 「どこへ行く!!」

 「五月蝿い!俺は降りる!!」

 そう叫んだドーデ軍曹は俺とスグ曹長機を振り切るように距離を取る。
相変わらず構えたままのバズーカは俺の方を狙っていた。

 「貴様ぁぁ!命令違反だぞ!!」

 ミギリ少尉機が追いかける。

 「ウヘヘ・・・解ってますよそんな事、軍法会議ものですね。だからあんた等には戦闘中による殉職という事で・・・ここで死んで下さいよぉぉぉぉ!!」

 ドーデ軍曹は本気だった、もう気が狂っているどころの沙汰ではない叫びが通信越しでも理解できた。

 「狂ったかドーデ軍曹、ここで俺達をやっても何もかわりはしないんだぞ。犯した過ちは消えやしないんだ!目を覚ませ軍曹ぉぉぉ!!」


 ―俺は・・・本当は・・・軍人になんかなりたくなかったんだ・・・―


 ドーデ軍曹のかすかな呟きが聞こえた。

 泣いていたその声が、俺の胸に痛みさえ感じるほど深く突き刺さった次の瞬間

―ズドンッッッ・・・!

 気が触れた一軍人は俺に向けて核弾頭を撃ち放ってきたのだ。


 「あぁ、あはわああああああ!!」


 俺は手足がガクガク震えて思うように動かせなかった。
頭では回避しようと思っているのに固まったようにまるで動かない。

 叫ぶしかなかった・・・

 「ばかやろう!何ボケっとしてるんだぁ!」

―ドカンッ

 「うわぁあぁあぁ!!」

 ミギリ少尉機が俺の機体に体当たりをして吹き飛ばす。

―ヒュバゥ・・・

 衝撃の直後に核弾頭が自機の目の前を通過する音が聞こえた。
俺はギリギリの所でミギリ少尉に助けられたのだった。

 「ハァハァ・・・アァ・・・しょ、少尉。」

 俺は機体を建て直して放たれた核弾頭が向かった先を確認する。
標的を失った弾頭は遥か遠くに着弾したのが確認された。

 「暗礁か残骸辺りに当たったんだろう・・・少尉に助けられたな。」

 スグ曹長から通信が入った直後・・・


 「この、どクソがぁぁぁぁぁぁ!」


 ミギリ少尉は耳が割れるような叫びをあげながら、凄い勢いでドーデ機へと突っ込む。

そのザクの右手にはヒートホークが握られていた・・・

 「ミギリ少尉何を!?」

 俺はその殺意に直ぐ気が付く。


 「ひっヒィィィ!!」


―ドギャシャァァァ!


 「うぁ!?・・・う、わおぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


―ドォォォォォン・・・


 ドーデ軍曹のザクはヒートホークでぶった切られ爆発し、彼の断末魔は轟音とともに宇宙の塵へと変わる。
俺はもう一連の出来事があまりに突然すぎて、ドーデ軍曹が死んだ事を認識するまでに時間がかかった。

 「スグ、アイディ、帰還するぞ・・・後れるな。」

 ミギリ少尉の落ち着いた通信を聞いてから俺はようやく現状を把握する。

 ドーデ軍曹は俺に向けて核弾頭を放ち、ミギリ少尉は俺に体当たりして回避させ、直後にドーデ軍曹を撃墜させた。

 ”お前等何をモタついている!!”

 艦長の通信が入るも、耳には入らない。


 俺は冷静に考えれば考えるほど恐ろしくなって行った。
少尉が助けてくれなければ死んでいたのだ。

 「少尉・・・」

 「・・・」

 俺の小声はミギリ少尉に届かなかった。

 ”ドーデ機の反応が無くなりました、ミギリ少尉状況の報告を!!”

 オペレータから通信が入る。

 「部下がオカシクなった・・・核弾頭をもったまま同士討ちを始めたので独断の判断でドーデ機を撃墜させた。」

 ”馬鹿かお前はぁ!こんな時に何をやっているんだ!部下の統率もできないのかこの無能が!!”

 「・・・済みません。」

 ”謝って済む問題か!!”

 「少尉・・・あんたは間違っちゃいないよ。敵前逃亡と裏切りは重罪だ・・・。」

 スグ曹長の気休めとも言える通信が入る。
いくら重罪だからと言って、いきなり目の前でさっきまで同じ仲間だった部下を殺すなんて後味が良い訳がない。


 「行くぞ・・・戦いはこれからなんだ。」

 
 ミギリ少尉はそれ以上言わず、行きと同じように先頭に立ち俺達を引っ張ってゆく。
相変わらずオペレータの通信と艦長の怒鳴り声が耳に響いてくる。

 俺はすでに戦闘機を撃破したときの高揚感も、核弾頭を撃った時の達成感もすでに無くなっていた。

戦闘で死ぬ事よりも

罪もない人を殺した事による罪悪感よりも

只、この戦争で人が狂ってしまったのが恐ろしかった。


 ―人が狂う―


人が狂うほどのこの戦いが本当に戦争と呼べるのだろうか。

我々ジオンは、この時からすでに狂っていたのかもしれない・・・

普通に戦えば絶対に負けると言われていた戦争。

だからと言って何をしても良いと言うわけじゃ無い。

しかし、戦わなければ自分達の明日は無い。

絶対に負けられない戦いは、手段を選ばせない。

その戦いの作戦の為だけに、罪も無い人間をも殺す。

まるで当たり前のように。



―正気の沙汰じゃない―



そんな事を考えていたら



俺は涙が出ていた・・・

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