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脳汁廃棄処分場コミュの宇宙が落ちた日 第7話

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―UC.0079 1/3―

 この日、人類の歴史上忘れてはならない日になった。

 『同年1/3 7:20』 

 我々ジオン公国は地球連邦に対して宣戦を布告

 『同日 3秒後』

 我々ジオン公国はかねてから展開させていた公国軍艦艇による、地球周回軌道の連邦軍艦艇及び各サイドへの攻撃を開始する・・・

 決して忘れてはならない日、ジオン公国が栄光への道を歩み始めたとされる日。

 この時まではジオン軍の誰もが平等で、同じ夢を見ていただろう。
 
 俺もその一人だった・・・

 だが、この戦争は・・・
これから起こる作戦と事変は全て一年以上も前から計画されていた事を知る人は少ない。

 そしてこのジオン公国独立戦争の宣戦布告は後に、「三秒間の布告」と呼称される事となる。


 ―旗艦ゲソクーMS格納庫ー

 「急げ!モタモタするな!戦争は今この時間始まったんだぞ!」

 艦長の怒鳴り声とともに俺たちの乗る戦艦も動き出す。
俺は宣戦布告をザクのコクピット内で聞いていた。
しかし、俺を含むパイロット達や乗組員は未だこれからやろうとする作戦の内容を聞かされていない。
いい加減不安で押しつぶされそうになっていた・・・

 「おい新兵!震えてんじゃねぇぞ!!」

 宣戦布告後の一発目の通信はスグ曹長からだった。

 「震えてなんかいないですよ!俺はまだ自分が何をやるかわからないから不安なだけです!」

 「言うじゃねぇか。まぁその意見には俺は激しく同意だぜ。」

 ―ズズーン・・・

 サイド2アイランドイフッシュを肉眼で捉える事が出来る地点に来た時、艦は戦闘に入ったことを告げる通信と共に爆発音が響いてきた。

 「は、始まったのか?少尉、出撃はまだなんですか!?」

 俺は揺れるコクピット内で叫ぶ。

 「落ち着け!敵はただのコロニーの護衛部隊程度だ、我々が出撃するまでもない。」

 「しかし・・・」

 ”MS小隊に告ぐ・・・”

 艦長からだ

 ”展開ポイントまで来た、MS各員全機発進準備!”

 「はぁ!?発進準備だって!?まだ俺たちのザクは丸腰だぞ、それでどうやってやれって言うんだ艦長!!」

 戦争は開始したと言うのに未だ自分達の行動内容を知らされて居ない苛立ちが頂点に達したのか、とうとうスグ曹長がブチ切れてしまう。

 ”人の話は最後まで聞けバカモンがぁ!”

 「ぬ・・・」

 ”すでに先発隊がアイランド・イフッシュを包囲したとの報告があった。お前達は艦を出撃した後、停泊しているパプワ級補給艦で装備を受け取れ。”

 「なんでわざわざそんな回りくどい事するんです・・・?」

 俺自身も溜まらずに艦長に聞いてしまう。

 ”お前達の任務は極めて重要かつ、過酷だからだ。各員健闘を祈る・・・以上だ。”

 「・・・」

 「言った通りだ、もうここまでくれば大体察しはつくだろう・・・?」

 ミギリ少尉からの通信が入る。相変わらず淡々とした感じだった。

 「解らない・・・ですよ。」

 モニター越しに見える前のスグ曹長のザクが機体を傾けると、前方のハッチがゆっくりと開く。

 「スグ曹長でるぞ・・・」

 拘束されたドライバーから勢い良く飛び出すスグ曹長のザク。次は自分の番だ。

 「あのミギリ少尉・・・まさか、まさか俺たちは・・・あのコロニーの中の人を・・・」

 「・・・早く行けアイディ。モタモタするな。」

 「答えてください少尉!」

”アイディ機どうしました?早く出撃をして下さい!”

 女性オペレータの催促の通信が入る。

 「う、く、くそ・・・アイディ出ます!!」

 俺は答えをもらえぬまま出撃すると、巨大なコロニーアイランド・イフッシュが眼前にあった。
周囲には護衛艦隊が何隻か確認できて、ほかのMS部隊も出撃していた。
そんな中にMSを護衛につけたパプワ補給艦が見えてくる。

 「あれだな・・・」

 俺はスグ曹長の後ろを追うように補給艦へ移動する。



―パプワ級補給艦―

 俺達は誘導されながら再び艦内のハンガーにMSを着ける。

 「そのままコクピット内で待機しておけ、武器を持つだけだからな。」

 続けて入ってきたミギリ少尉の指示に従う。

コクピット内で待機している間も不安で恐くでしかたがなかった。

 「少尉・・・どうなんですか?俺達はこれから何をしようとするんですか?」

 「・・・」

 しかし、ミギリ少尉は答えようとはしない。

 「何故黙ってるんですか少尉!!」

 俺からの通信に対して沈黙を続けている少尉に代わり、スグ曹長から通信が入ってくる。

 「うるせぇぞ新兵!もうここまで来たら腹を括れよ!」

 「スグ曹長・・・」

 「畜生!何で今まで知らされてなかったのが解ったぜ・・・くそ!クソッタレェ!俺たちに人の道を外れろってのかよぉ!!」

 スグ曹長がわめき散らすように叫んでいた。

 「そういうことだスグ曹長・・・。気休めかもしれないがこの作戦は戦争を早く終わらせる為なんだ。俺たちはその実行部隊と言うわけだ・・・だから・・・」

ようやく反応したミギリ少尉の言いかけを遮るようにスグ曹長は叫び続けた。

 「糞がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 スグ曹長はモニターでも激しく叩いているのだろう、何かを殴る音が俺の耳にも入ってくる。

 俺は薄々気がつき始めていた。だけどそれは悪い夢だと思いたかった、『まさかとは思うが』という言葉の続きを否定したくて仕方が無かった。もうなんでもいいから、嘘だと思いたかった。

 「さぁ、再び出撃だ・・・。」

 ミギリ少尉がそう言うと、クレーンで吊り上げられた銃のような物が出てくる。

 「マシンガンじゃない・・・?これは・・・」

 異様な形をしているそのモノは明らかに他の武器とは違い、マガジンの所と銃口のところが改造されていたのだ。マガジンのところにタンクの様なモノがついてありそのタンクに塗装された文字には「GG GUS」とペイントされていた。

 俺は見慣れたザク用のマシンガンでは無い武器を見た時、一瞬ホッとした。

 しかし、それはほんの僅かな時間でしかなかった、タンクに書かれた文字を見てみぬフリをしただけの刹那。
俺は何ともいえない悪寒が走ると同時に、また例の如く吐き気に見舞われた。

 「少尉・・・」

 「なんだ・・・?」
 
 「少尉・・・ ・・・」

 「どうした・・・?」

 「俺・・・気持ち悪いです・・・この作戦降りていいですか・・・?」

 俺はとっさにバカな事を言ってしまう。

 「お前、まだそんな事を言ってるのか?」

 「だ・・・だってこれ・・・この武器・・・」

 「安心しろ、威嚇だけだ。」

 「・・・?」
 
 「コロニーの中には徹底抗戦を掲げている中の住民がいるだろう、その住民たちを速やかに撤退させるための道具の一つだ・・・。」

 「そ・・・そうなんですか・・・?」

 「とにかくソレを持って俺について来い!!」

 再びミギリ少尉がハッチから飛び出してゆく、続いてドーデ軍曹、俺の順番だ。俺はもう何が何だか解らないまま言われるとおりにその武器を持って暗黒の宇宙へと飛び出したのだった。

 「旨い事を言うもんだな、あの少尉は・・・」

 スグ曹長のそんな一言は耳に入らず、俺は速まる鼓動を感じながら少尉機の後ろを着いて行く。

 俺達小隊は正規のルートでコロニー内には入らない事が解った。コロニーにある排気口を強引に破壊してそこからの侵入となる。またそれと同時に、コロニー側面にはすでに何基もの作業用のMSが取り付いていて一斉に作業を行っていた。

 「あのMS達は・・・?」

 「コロニーを落とす前準備だ。」

 「そう・・・ですか。」

 俺達ミギリ小隊は排気口を降りてコロニー内へとたどり着く。

 「ここから重力がかかる、姿勢制御に気を付けろ。」

 ミギリ少尉機に合わせて各自MSの姿勢を統一させると、ガクッと重力が下方向からかかる。
それと同時に俺たち4機のザクは滑るようにしてコロニー内部へと降り立つ。

 「着地後周囲を策敵、一応迎撃部隊が出ていないか確認をして置け。」

 「「「了解」」」

 降り立つと同時に周りには人工的に植えられた木が辺りを生い茂っていた。
どうやらここは森林区間のようだ。

 「全機、機体を屈めて待機。」

 「りょ、了解・・・」

 ミギリ小隊4機はその場で体制を低くし、森林の中で静かにアイドリンクさせながら待つ。

 ”こちらミギリ小隊、無事コロニー内へ進入完了しました。次の指令を・・・”

 少尉がなにやら連絡を取っているが、待機している間にも俺は先ほどからの速い動悸に気が気でいられなくなっていた。

 「ヒューハァ・・・ヒューハァ・・・」
 
次第に呼吸も荒くなってきて過呼吸にも似た症状に眩暈すら感じる。

 「まずは落ち着いたらどうだ新兵・・・。」

 スグ曹長のもそうだが、送られてくる通信の類は耳に入らない状態だった。
自分の周りには仲間のザクが居ると言うのに孤独感を感じていて、森林に隠れていることにより眼に入ってくる映像がすべて薄暗くなっている気がしていた。


―ズズン!!ドカーン・・・


 コロニー内に再び護衛部隊との交戦が始まっている事が響いてくる。

 「うわ!!始まった!?」

 「落ち着け、中までには支障は無い!それより俺達も作戦実行だ・・・着いて来い!!」

 ミギリ少尉機は手を上げると同時にブーストを点火して森林区間から飛び出すと、スグ曹長等もそれに続いて飛び出していく。

 「え?!・・・あ、うあ・・・。」

 「バカ、何をしている!早く来い!!」

 スグ曹長に怒鳴られてから、俺は皆とは一歩遅れて飛び出す。

 「いいか?なるべくコロニー自体を傷つけるような行動はするなよ・・・」

 市街地区間に入るまで気がつかなかったが、俺たちの他にも同じ武器をもったMS部隊が複数待機していた。

 「ミギリ小隊、実行予定ポイント到達致しました。」

 ”了解。こちらはシーマ少佐、ここからの作戦実行のタイミングは私が執る事になっている。”

 音声だけのMS間通信が入る。おそらく俺を含むこの場にいるMS全てに聞こえているはずだ。

 「こちらミギリ少尉。了解しました。」

 今では女性軍人は珍しくはないが、女性の左官パイロットとなるとそうそう居ない。
それだけに音声だけでもその風格と言うものが伝わってくる。

 そして、市街地に入ってから自分機体の周りや足元に多数の人だかりが出来てきて、中にはジオン反対やらの看板を掲げこちらに向けて石や銃なども発砲してきていた。

 「少尉・・・本当に威嚇だけなんですか・・・?」

 「・・・」

 「なんで・・・黙ってるんですか!」

 「・・・シーマ少佐機の手が上がった。行くぞ!」
 
 「答えて下さいよミギリ少尉!!」

 黙りを決めているミギリ少尉に向けて俺はとうとう怒りにも似た罵声を出す。

 「ミギリ小隊各機実行に移る!」

 ミギリ少尉が支持をだすと、スグ曹長やドーデ軍曹も俺の叫びを無視するかのように手に持った得物のトリガーをコロニー住民へ向けて引いたのだった。

 そして、銃口から蒸気のようなものを勢い良く噴出すと同時に自分の足元や周りに居た住民が次々とその場で倒れて行く光景が自分の眼に入ってくる。

 「あぁ・・・ああああ!!やっぱり・・・やっぱりぃぃぃぃ!!」

 俺は引き金を引けないで居た。

 「うわああああああああ!!なんで・・・なんでぇぇ!?」

 絶叫にも似た叫びを上げながら俺は自分のMSをその場から後退させていた。

 「どこへ行くアイディ!!」

 「嫌だ、嫌だあああ!!うわぁああああああ!」

 「は・・・ハハハ、丁度いいやぁ新兵。」

 「ス、スグ曹長・・・?」

 「その辺の区画はお前に任せるよ・・・一人も残さずに殺してやれよぉ・・・ウハハハ!」

 「!?」

 スグ曹長は笑いながらガスを辺りに散布している。

 「少尉!嫌だ!!ミギリ少尉!!俺には・・・俺には出来ないよおおお!!」

 狂ったようにミギリ少尉の名前を叫ぶ。 俺はすでに両目から涙が出てきていた。

 だけど俺は叫び続ける。

 このまま叫び続けていたらどうにかなるかも知れないという、駄々をこねる子供じみた浅はかな考えしか浮かばないからだ。

 「うるせぇぇぇぇぇぇ!!」

―ドガァァァン!!!

 「うぐあぁぁぁ!!」

 俺は再び少尉に殴られる、だけど今度はMSで殴られる。
いや、殴られると言うより体当たりをされて吹き飛ばされたのに近い。
あの時と同じように大きく後ろに吹き飛ばされる。

 「さっさとトリガーを引けぇ!!二度目はないぞ、もしトリガーを引かなければ俺が貴様を殺す!!」

 そう叫んで少尉のザクは腰のヒートホークを抜いて俺に向けて勢い良く振り下ろして来る。

 「うわああああああああああ!」

―ドガシャァ!!

 少尉の振り下ろしたヒートホークは自機頭部の横に突き刺さる。

 「ハァハァ・・・命令だ。これは戦争を早く終わらせる為だ。そのための犠牲だ。俺たちは何も間違っちゃいない!解ったかこの馬鹿がぁ!!」

 「ヒィィィ・・・あ、アウゥ・・・」

 「俺たちはなぁ・・・俺たちはもう後戻りできないんだよおおおおおお!!」

 「ひああぁぁう、わ、解りましたぁ!解ったから殺さないでぐだざいぃぃ!!」

 泣きながらミギリ少尉に許しを請う。
ミギリ少尉機が振り下ろしたヒートホークは、本気で殺してやると言う殺気が機体越しでも伝わってきたからだ。
俺は泣きながらザクを立ち上がらせ、銃を構える。




 もう涙で目の前のモニターが滲んで見えなかった・・・そして・・・






 トリガーを引いた・・・




 

 俺はもはや人間が出す声ではない声で泣きじゃくり、罪もない住民を殺すことが開戦初の任務となった。




 嗚咽しながら


 吐瀉物を撒きながら


 失禁しながら


 トリガーを引き続けた・・・・


 建物の影から首を押さえながら蟻のように出てきては倒れて行く人間達をみて泣いた。
まるで地獄にいる見たいだった・・・

 子供をかばう様にして身をかがめる母親に向け、至近距離でガスを散布して吐いた。
まるで悪魔になったようだった・・・

 逃げ遅れた老人に向けてガスを当てて、動かなくなった所を何度もザクで踏み潰して失禁した。
まるで神にでも選ばれた気分だった・・・



 そして



 最後はゲラゲラ笑いながら毒ガスを散布し続けたのだった・・・

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