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13℃コミュのひまわり

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 「ひまわり」

     
     曲フェードイン
     「ひまわり」



     トム 5号 ゴーギャン ナレーターが話の主軸になる。
     基本的に朗読劇なので、読む。





ナレーター 

「ヒマワリ(向日葵)はキク科の一年草。夏の季語。花言葉は「あなただけを見つめている」原産地は北アメリカ大陸西部であると考えられている1510年、スペイン人がヒマワリの種を持ち帰える。 既に紀元前からインディアンの食料として重要な位置を占めていた




トム

「父さん! 」僕は、夕日の中、開拓中の畑から帰ってくる父に
力いっぱい手を振った。
「見てよ、僕も畑を作ったんだ」
初めて庭に作ったのを、見せたくてしょうがなかったんだ。
 父は小さく笑い、土の匂いとともに、ジーンズのポケットから、
 種をとりだした。 麦と、豆と、それからひまわり。



ナレーター

「ひまわり 日本 東経140度 東アジア・太平洋西部ひまわり7号 (MTS男2T-1R) で運用中



5号

「ボク、がんばったよ・・・・」
2006年 スラスターから、最後の燃料が噴射された。
もう目も見えない。
ゴーズと、6号のさよならの声も、とぎれとぎれだった。
 ありがとう・・・そんな声も、聞こえた気がした。
 東経155度から、遠く離れていく・・・日本からも見えなくなっただろう。
「ボク、がんばったよ・・・・」
  ボクは、たった独りでも、すっと、胸をはった。


ナレーター 

 1853年3月30日にオランダ南部に生まれる。
 ビンセントヴァンゴッホ・・・そして、ゴーギャンは語る。



ゴーギャン 

1888年12月、ゴッホに新しい絵の理想を話したのだが、彼は、聞いてくれない。怒った私はついこういってしまったんだ。
 「なんで、わかってくれないんだ!!・・・ 聴く耳を持たないのなら そんな耳は切り取ってしまえ!!」
 僕と彼は、同じ道を歩いているのだと、そうおもっていたのです。



トム 

 「1876年・・・ヨーロッパからの移民船で、アメリカに僕ら家族は、フロンティア・・・、西部へと旅立った。誰にも触られていない広大な土地。
 父さんと母さん、僕と妹のメリー。
 移民の僕らには、そこしか、なかったんだ。
 小さな家の、僕の畑には、夏にはヒマワリが育つだろう。
 西の山に太陽が沈む。
 東から上がる月とともに、トマトとベーコンと、パンの匂い・・・夕食のシチュー、母さんの匂いだ。
 月が笑い、僕もわらった。



ナレーター 

 ヒマワリがスペイン国外に持ち出されるまで100年近くを要し、ようやく17世紀に至り、フランス、次にロシアに伝わった。
 当初は鑑賞植物として、またはコーヒーの代用品としても利用された。
 日本には早くも17世紀に伝来している。



管制室 

 「大変だ!!H-IIロケット8号機は打ち上げに失敗した」
 ひまわり5号は設計寿命の5年を超えて観測を続けなければならなかった。


5号 
 
「ごめん・・・目がみえなくなってきた・・・・」

管制室   

 「すまないね、もう少しがんばってくれないか?」


5号     

 ボクの燃料も少なくなってきている・・心もとないところで、ボクの体は・・「わかった、がんばるよ。」 地上にそう答えた。



ゴーギャン 

手にナイフを持ったゴッホが近づいていた。悲しい顔をして、彼は静かに言った。


ゴッホ   

芸術には、悪意や打算に満ちた言葉など聴く必要は無いんだ。        自分自身の内から発せられる言葉に耳を傾ければいいのだ、
 私はそう思うんだ。


ゴーギャン 
そういうと彼は家にもどり、自分の 左耳の下部を切り取り、 翌朝、意識不明のままアルルの病院に運ばれた。。


ナレーター 

 話は過去から未来へ



トム    
 2276年・恒星間移民船、S-11完成。第37次超長距離移民船団は、100万人以上の市民をつれ、地球を離れ、フロンティアつまり、新しい星へ向かいはじめた。       その中には、僕の家族もいた。


大統領   

 われわれは、一粒の種である。 
 そしてそれは、星の道から、宇宙に蒔かれるのである。


トム    

 スペースデブリを抜け、何回ものコールドスリープを続け人類という種は、宇宙へ旅たつ。



ゴッホ   

 1889年5月8日、 カトリック精神療養院に到着。
 6月になると、戸外で自由に制作することが許された。


看護婦   

 何を書いていらっしゃるのですか?


ゴッホ  

 糸杉、それから・・・・う・・・・うぅぅぅぅ・・・


看護婦   

 先生、発作です!!ゴッホさんが・・・・



ナレーター 
 1890年7月、ゴッホ、自らの胸部に向けてピストルを発射。
 7月29日午前1時半、 弟のテオに看取られて死去。


キャリー 

 「ねぇ、なまえは?」


トム   
 初登校のハイスクールの帰りに、その子は、僕に聞いてきた。「・・・トムだけど・・。」 彼女の笑顔がまぶしかった。


キャリー 

 私はキャリー、隣の居牛区ね。スリープの時期は一緒だから、向こうに着いても、よろしく♪


トム    

 彼女はそういって、帰っていった   
 移民船の天候は、調整されているのに、少し・僕の気持ちは・・暑かった。


5号   

 2003年5月気象衛星としての機能をはたせなくなった・・見えない・・見えないんだ!!
 僕の変わりに米国の気象衛星GOES-9(ゴーズ9号)による代替運用が      開始。
 ボクの体は、さらにこわれていく。。


ゴース  
 きこえるかい?5号? 私はゴーズ。君の目の変わりに来た。
 私の声は、日本には届かないんだ。きみが、きみが・中継してくれ・・頼む」


五号    
 ボクは、うなづき、東経155度、衛星追尾視野限界まで移動した。
 ゴースの見たものを、耳できき、地上に事細かに教えるために。



ナレーター

 1898年 ゴーグとたもとを別けたゴーギャンは、楽園を求めたパリ、 タヒチを流浪し、希望を失い、死を決意した。
 遺書代わりに一枚の絵を仕上げた。タイトルは・・・


全員

「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」



トム  
 コールドスリープ、空間ジョイントを重ね、15万光年の旅。
 感覚的には、10年以上の旅になる。
 僕は、キャリーと結婚をした。
 もうすぐ、あたらしい星、チランに着く。
 このしばらくが、勝負だ。
 専攻の農業、コールドスリープ中の技師からのレポートをまとめる。


5号 
 
 明日の遠足は、おてんきだって♪」 そんな声を聞いた気がする。
 「今年も初日の出が、見られそうです」よかったね
 ボクは太陽を背にしてるから、見られないけど、よかったね。
 ゴーズも、笑う。
 ひまわり6号 2005年2月26日 打ち上げ・・・・・成功
 2005年6月28日の正午から気象衛星として運用を開始


6号
 「・・・・きたよ・・・またせたね・・・」


5号 

 ボクは、うれしさと、さみしさに、ちいさく笑った。
 10年も待ち続けたボクの兄弟。 僕の感じていた声の喜びを、彼にたくす。


ゴーギャン

 ひまわりとは、1888年8月から1890年1月にかけて、フィンセント・ファン・ゴッホ によって描かれた、花瓶に生けられた向日葵をモチーフとする7数の絵画の名称である。
 ゴッホにとっての向日葵は明るい南フランスの太陽、ひいてはユートピアの象徴であったと言われている。
 南仏のアルル滞在時に盛んに描いた向日葵を、精神が破綻し精神病院での療養が始まってからは描いていない。



管制室 
 「お役御免の衛星は、そのままだと高度が低い位置に流れていき、他の衛星にとって衝突等の危険をはらむ邪魔な存在、スペースデブリとなってしまう。
  最後の燃料を使用してより高い軌道に場所をうつす。
  そこは、墓場軌道 と呼ばれている。

5号 
 「ボク、がんばったよ・・・・」
 2006年 スラスターから、最後の燃料が噴射された。
 もう目も見えない。
 ゴーズと、6号のさよならの声も、とぎれとぎれだった。
 ありがとう・・・そんな声も、聞こえた気がした。
 東経155度から、遠く離れていく・・・日本からも見えなくなっただろう。
 「ボク、がんばったよ・・・・」
 ボクは、たった独りでも、すっと、胸をはった。


ナレーター
 「1901年夏、死に切れずタヒチで孤独な死期を迎えていたゴーギャンは、ルルの家で一緒に暮らしたゴッホを想い、2枚の「向日葵」を描いた。


5号  
 何かがボクにぶつかった・・・それで、接触不良になっていた、ボクは一時的に目がさめた・・・らしい・・・。ぼんやりと、ボクの機能が立ち上がる・・  僕の名前は・・・・ひまわりだ!!昔のクセ、すぐさま内臓時計をチェック・・・2276年・・・ボクの体は、当たった物体の慣性で、太陽を向いた
 運動ベクトルは、太陽に向かって進んでいる。
「・・・・やあ、はじめまして・・・」
 地球ばかりを見ていたボクは、初めて太陽をみた。
 このバッテリーがなくなるまで、太陽を見続けたい。
 そう、思った。
 太陽は少しづつ近づいていた。


トム 
 「父さん! 」
  彼は、夕日の中、開拓の畑から帰ってくる僕に力いっぱい手を振った。
  見てよ、僕も畑を作ったんだ」
  初めて庭に作ったのを、見せたくてしょうがなかったんだろう。
  僕はは小さく笑い、土の匂いとともに、ジーンズのポケットから、種をとりだした。
 麦と、豆と、それからひまわり
 小さなシェルターの、彼の小さな畑には、夏にはヒマワリが育つだろう。
 西の山に2つの太陽が沈む。
 東から上がる3つの月とともに、トマトとベーコンと、パンの匂い
 それから、夕食のシチューの匂いだ。
 扉をあけて、キャリーが笑顔で迎えてくれる。
 月たちが笑い、僕もわらった。


ナレーター 
 「ヒマワリ・・・・ 植物界  被子植物門  双子葉植物綱  キク科 ヒマワリ属  ヒマワリ

全員
 一つの株から、1600ほどの種をつけ、それは、あらゆるところで、 花をさかせる。
 
      了

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