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長池講義コミュの「『世界共和国へ』に関するノート(6)(7)

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 at10号に載った「帝国」と題されたこのノートの最後において、全く新しい認識が提示されている。それはロシアや中国においてマルクス主義の果たした役割についてだ。交換関係より見た国家の原理、すなわち奪取と再分配という交換関係が圧倒的に支配的な「帝国」のような社会構成体においては、驚くべき転倒が生じるのだ。
〈二十世紀にいたって、「帝国」はどこでも、近代の国民国家の原理、すなわち「民族自決」の原理の下に解体されようとしていた。ロシア革命が起こったのは、まさにこのような時期である。それは資本主義経済を解体したが、帝国の解体を阻止したのである。マルクス主義者は、階級問題を民族問題に優先させた。階級問題が解決されれば、民族問題は解決されるというのが彼らの考えだったから。しかし、これは、多民族の帝国を維持しつつ、なおかつ、工業化を推進して、一九世紀以後に没落した旧世界帝国の地位を回復するのに有効な唯一のイデオロギーであった。マルクス主義以外には、このような原理を与えることはできない。とすれば、ここでは、マルクス主義者が権力を握って官僚体制化したというよりも、帝国の軍・官僚がマルクス主義を取り入れて存続したのである。つまり、ロシアや中国におけるマルクス主義は、国家を揚棄するどころか、「帝国」を復権させるためのイデオロギーとして機能した。中国においては今もそうである。〉
 そして、この認識はat11号の「世界システム」の末尾において以下のように強化されている。
〈フランクに対して、ウォーラースティンは「半周辺」という概念を導入した。それはフランクの二元性を超えるべきものであったが、実際にはそうならなかった。というのも、十六世紀以後の世界=経済においては、ウイットフォーゲルのいう「亜周辺」がもはや成立しないからだ。しかし、近代の世界=経済においても、中心・亜周辺・周辺という構造の把握は不可欠である。世界=経済が拡大しても、旧来の世界=帝国、そして、それによって作られた空間が消滅するということはありえないからだ。
 事実、ヨーロッパに絶対主義国家と資本制経済が進展した時期に、中国やインド、ロシア、イラン、トルコなどに「近世帝国」(山下範久)が発展したのである。それらは西洋列強の帝国主義によって崩壊したが、「社会主義革命」を通して、世界システム(世界=帝国)を再建した。今日、「社会主義圏」が崩壊したのちにも、ロシアや中国は、一国家というよりむしろ世界システムとして復活している。それはヨーロッパ共同体が世界システムとして確立されたのと並行する現象である。このことは、世界システムを、たんに資本主義経済の問題としてのみならず、国家の問題として見なければならないということを意味している。〉

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