ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

小説−頭を撃つ癖が無くなったコミュの?:タナトス---

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
あれから俺は、自分の頭を撃ちまくる生活を続けている。



最初はギャンブルで金を得る為だったが

そのうち小さな失敗の後でもすぐに自分の頭を撃った。

お気に入りの車で黒塗りの車にぶつけてしまっては撃ち、

ハンバーガー買った帰りに、アップルパイを忘れたのに気づいては撃ち、

酒で悪酔いした勢いで撃ってみたり、

買った服が家に帰って着てみた時にはもう飽きてたって時にも撃った。



さらに俺は悪ふざけをするようになってきた。

路地裏でゴミを漁ってるホームレスを殴り殺してみたり

ピザを100枚頼んで窓からフリスビーみたいに投げてみたり

ガソリンスタンドを爆破して町を火の海にしたこともあった。



何をやったって、頭を一発撃てば全てが元に戻る。

だから、初対面の人間かそうじゃないかがたまに曖昧になる事もある。

いい一日だなと思ったら、家に帰りヒュプノスを抱いて寝る。

そんな毎日を過ごしていた。



無茶苦茶で本当におかしくなりそうな日々だったが

俺はエマだけには妙な事はしなかった。

すっかりエマに惚れていたんだ。

競馬場の帰りにも薔薇の花束を買った。

エマと過ごす時間だけが、俺にとって

時を進めてもいいと思える事だったかもしれない。

全てのモノが幻想に見えてきても、エマだけは幻想にしたくないという

俺の勝手なエゴでもあるんだろう。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

俺は今日もエマの家に行き、ハシッシュを吸って何度も抱き合った。

「今日も素敵だったよ、ヴィンス。」ベッドの中でエマが呟く。

俺はヒュプノスを片手にエマに腕枕を作っていた。

エマは続けてこう言った。

「…もし今日が最高だと思ったら、あなたはそれを

何度も味わえるんだね。ヒュプノスがいるもの。」



俺はその言葉にハっとした。どうしてヒュプノスの秘密を知ってるんだ?

不思議そうな顔をする俺を見つめ、エマは更に続けた。

「人はヒュプノスを求めるの。生き延びる為に。

でも、タナトスが傍らにいなければヒュプノスを見ることは出来ない。」



…俺は怖くなって、エマに問いつめる。

「…どうして、エマにはヒュプノスが見えてるんだ…?」



「…私はもうそんなに長くない。実はモルヒネも打ってるんだ。

兄に頼んで、一人で逝ける様に一人住まいをさせてもらってたの。

でも…兄が先に逝ってしまった。それであなたが兄のヒュプノスを持って

私の前に現れたの。」

「…俺からヒュプノスを取り上げないのか?

…そうだよ!!これで何とかなるんじゃないのか?」



「…兄は私の病気を知ってから、薬で眠らない体になった。

それで私の病気が良くなる術をずっと探してくれてたの。

だから…兄のヒュプノスを持ったあなたが現れて諦めがついた。

あなたにもタナトスがついてる。だからこれでいいの。

私は…たった一日をやり直したってどうにもならないから。」

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

小説−頭を撃つ癖が無くなった 更新情報

小説−頭を撃つ癖が無くなったのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング