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小説二人旅since2008コミュのクリスマス、オーブにて

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 小説第四弾は、クリスマスorお正月をテーマに書くとのことでした。

 年が明けて、いまさらクリスマスの話なんて決定的に遅レスな感がありますね(汗)
 
 さらに、話の主人公がミリアリアですよ。ディアッカですよ。そう種です。SEEDです。キラ×ラク、アス×カガを抑えて私の中では堂々のナンバーワンカップルです。なので、SEED完結から数年たってしまいましたが、ディア×ミリの同人小説、アップします。楽しんでくださいな。





 クリスマス、オーブにて


 年の瀬も迫った一二月二四日。そう、今日はクリスマスイブ。久しぶりに「アイツ」に会う。
 「よっ、ミリ―。元気してたぁ?」
 軽い調子で声をかけてくる様はあの時と全然変わっていない。
 「ちょっと、あんた一応軍の上級士官なんでしょ?もっとシャキッとしなさいよ」
 彼の名はディアッカ・エルスマン。ナチュラル対コーディネイターの戦争を二度にわたって経験し、その戦火をくぐりぬけてきたモビルスーツパイロットだ。
 「士官ていってもさぁ、やることないんだもん。大体、俺はイザークの補佐だし、あいつはもう立派な艦長なんだからさぁ。俺は飾りみたいなもんなの」
 「だとしても。あんた見てる乗組員たちはどんな気持ちになんのよ」
 乗組員としては素直に敬意を抱けないのではないかと心配してしまう。
 「そんなことまで俺が考えなきゃいけないわけ?」
 「当たり前でしょ!人の上に立つ立場なんだから、もうちょっと真面目にやりなさいよね」
 ディアッカは苦い顔をした。
 「俺、そういうの苦手なんだよねぇ。人付き合いが苦手っていうの?でも演習ではきちんと実力発揮してんだぜ」
 ラクスさんが評議会の議長になって、世界はだいぶ安定した。ナチュラル対コーディネイターの対立構図も今のところは鳴りをひそめている。ところが、いくらラクスさんの力を持ってしても、軍の解散にまでは持って行けていない。しかし、ザフトと地球軍の間の軍縮条約の締結には絶大な功績を上げ、終戦当時比で五割の軍縮を双方が既に終えている。
 「いくら演習で力発揮しても仕方ないの。もう軍の出番なんか無い方が良いんだから。これからは平和の時代にしなきゃなんないんだからね。もうあんな思いは嫌よ」
 私は今、戦場カメラマンをしている。ユニウスセブンの墜落から始まった先の大戦で、私は各地を回って戦争の生の情報を切り取ってきた。戦火に飲まれ、廃墟と化した街。行き先をなくした避難民。頭部や腕を破損し、パイロットを失って放棄されたモビルスーツ。どの景色も戦争の悲惨さを物語っている。私は戦争から目を背けないと決めた。そして、戦争を伝えていくことに決めた。私と同じ思いをする人をもう、出したくない。
 「だからって、お前が戦場でカメラマンする必要ないだろ」
 ディアッカが少し硬い口調で言った。
 そう、いくら地球とプラントの間で軍縮が進んでも、小さな紛争、でも住人にとってはとても怖い紛争が、続いている地域がまだある。争いは無くなっていない。
 「私は忘れてほしくないの。戦争の辛さとか、痛みとか。終戦からもう三年でしょ。みんな少しずつ戦争のこと忘れてきてる。それはそれで、とてもうれしいことよ。みんな戦災から立ち上がろうとして必死なんだから。でも、だからって戦争の事実まで忘れちゃいけないと思うの。紛争は各地で起きているし、これからも起きる可能性はある。今紛争起こしてる人にも、他地域の紛争を知らない人にも伝えていかなきゃ、また同じことが起きる。知らないで済む、なんてことはないんだもの」
 私たちが平和で暮らしている今も、紛争に苦しむ人たちがいる。その人たちはそこに生まれたから悪かったのか。私たちはそこに生まれなかったから良かったのか。そうじゃない。私たちは紛争が起きていることを伝えなきゃいけないし、知らなきゃいけない。でないと忘れられてしまうから。紛争の事実も、戦争の惨禍も。
 「でも……」
 ディアッカが何か言いかけたけど、私は遮った。
 「もう、会ったらいっつもこの話なんだから。いいでしょ、今日ぐらい。何のためのクリスマスなのよ。せっかくの休暇が台無しだわ。わざわざオーブまで追っかけて来て、そんなことしにきたの?」
 私は昨日から休暇を取ってオーブに戻っていた。両親がオーブに住んでいて、久しぶりに顔を見せるためだ。仕事の性質上両親にはいつも心配をかけている。せめてもの親孝行で、年明けまでゆっくりしていこうと思っている。
 ところが、だ。今日の朝にディアッカから連絡があった。家にテレビ電話がかかってきて、
 「ハロー。元気ぃ?今日お前に会いにオーブ行くから。夕方の六時に宇宙港で待ってろよ。じゃあな」
 「ちょっと、何…」
 「プツッ」
 という具合に電話は切れてしまった。その後どれだけ連絡を取ろうにも、軍内の電話でかけて来たし、軍務中はケータイ使えないし。       
「まったく、軍の電話使うなんて、公私混同してんじゃないわよ」
なんて一人で悪態付いても仕方ない訳で。結局一方的な約束につきあうことにしたのだった。
私の機嫌を損ねるといけないと思ったのか、ディアッカは
「そんなこと無いって。悪かったよ。今日は何も言わない。それでいいか?」
とにべもなく優しくなった。
「よろしいっ」
私は胸を張って、おどけて言ってみせた。ちょっと強く出れば、しおらしくなる。ディアッカのこういうところはかわいいと思う。
「で、これからどうするのよ」
呼び出されて来たのはいいけれど、私はこの後のことなど何も考えていなかった。それに、女性をエスコートする責任は男性にあるわけだし。
「レストランは予約してあるんだけどさぁ、まだちょっと時間があるんだよね。その辺歩かない」
「ええ、いいわよ」
宇宙港から車で十数分のところにオーブ一の大通りがある。服屋や飲食店、雑貨屋や宝飾店が並び、普段から人通りが途絶えることはない。それに、今日はクリスマスイブだ。輪をかけて人が多い。通りの真ん中にある公園のモミの木は派手に装飾されていて、そばのベンチでは恋人連れが語らっている。大通りを歩きながら眺め見る店内は、どの店もキラキラとしていて、通り全体が華やいでいる。
子供が母親に手を引かれて楽しそうに歩いていたかと思えば、サラリーマン風の中年男性が家族へのプレゼントを探していたりする。洋菓子店の前ではサンタの格好をした若い女の子がケーキを売り、男の子は愛想よく子供たちに風船を渡していた。
そんなクリスマスの雰囲気の中で私たちはというと……。手をつなげる距離には居るのだが、手は綱がないという、中途半端な位置にいた。歩き始めて数分は会話もしていたが、どうしても私の仕事の話に行きあたってしまう。そこから重い沈黙が続いていた。この沈黙に耐えきれなくなった私は、賑やかな音が漏れていたゲームセンターへと彼を強引に連れ込んだ。
「ねぇ、ここ入りましょ、ここ」
腕を強く引っ張られたディアッカはバランスを崩している。
「おいおい、そんな引っ張んなって。行くから、行くから」
私たちは片っ端からゲームを楽しんだ。
UFOキャッチャーでは流行りのアニメのぬいぐるみを取ろうとしたけど、ディアッカが全然下手で。私もこういう性格だから、
「どーなってんのよ」
と機械を叩きそうになるのを、ディアッカに何度も止められた。それで、結局何も取れず終い。
音楽ゲームでは、ディアッカが意外な才能を見せて、ドラムを叩きまくっていた。ミーアさんの「Quiet Nighit CE73」をノリノリで奏でていた。くそー、コイツもファンだったかぁ。ザフト軍の中にはラクスさん、ミーアさんのファンがめちゃくちゃいるらしいことは聞いていたけど、ディアッカまでとは。全く。
そのあと、レースゲームやクイズゲームもして、どれも熱くなった。でも、シューティングゲームでディアッカが熱くなりすぎて、周りはばからず
「グゥウレイトォッ!」
と叫んだ時には、私は赤面してしまった。
「ちょっと、やめてよ恥ずかしい!」
彼の肩を何度もたたいたけど、全然聞いてない。私は必死になって彼をゲームセンターから引っ張り出した。
「何ぃ?もう終わりなの」
彼は少し物足りなそうにこちらを向いて言った。
「あんたねぇ、時間見なさいよ。レストランの時間に遅れちゃうでしょ」
時計は予約の30分前を指していた。
「悪りぃ悪りぃ。すっかり熱くなっちまった」
「まったく、もう。ちゃんとエスコートしてよね」
「かしこりました、少しお歳を召したお嬢様」
「あんたねぇ!!」
いつものディアッカっぽい口調で、私をからかってくる。調子に乗った時のディアッカといるとほんとに楽しい。
ふざけあって歩いていると、時間が経つのって早い。
「着いたぞ」
ディアッカが立ち止ったのは、いくつもの雑誌に紹介されたことのあるイタリア料理店だった。今結構流行っていて、こんな時期に予約が取れるなんて、嘘みたいだ。
「あ、あんた何でこんなとこ知ってんのよ」
そう、ディアッカが知っているはずない。こんな女ごころをわかった店選びなんてできるはずがないではないか。
「何言ってんの。俺が必死に探したんじゃないの」
「嘘言いなさいよ。あんた適当なこと言うとき人の目を見ないんだから。さっきもそうだったわよ」
長年の付き合いでわかったけど、ディアッカにはそういうクセがある。
「さぁ、白状しなさい」
「ちぇ、言いたくなかったのに。アスランだよ。あいつに聞いたの。あいつならこういう店にも詳しいと思って。そんで、予約もあいつ任せ。『少し時間はかかったけど、席は取れた。楽しんで来い』って電報が今朝がた来たよ」
いくらなんでもこの時期に人気店の予約が簡単に取れるわけがない。どの時間もいっぱいのはずだ。私たちが割って入って、他の誰かが押し出されてなかったらいいんだけど。
「あぁ、アスランが言ってたけど、別に誰かの予約を無理やり奪ったとかそういったことはなかったらしいぜ。あいつ、権力使って無理やりどうこうするってのは嫌いだから。正確にはその時間だけ席を一つ増やさせた、ってことらしいけど」
うーん、それでもすごい。人気店に私たちのためだけの席を増やさせる力……そうそうあったもんじゃないと思う。
というか、今考えれば、私ってすごい人たちに囲まれてる。ザフトの最高評議会議長に、オーブの首長。先の大戦で停戦に大きな役割を果たしたエース二人に、ザフト主力艦隊の艦長とその補佐。そうそうたるメンバーだと、改めて思う。
「誰かを追いだしたってわけじゃないんだ。思う存分楽しもうぜ」
ディアッカが我が物顔で言うが、
「あんたが用意したんじゃないでしょ!あとでアスランにお礼言っとかなきゃ。お店の人にも」
「わかった、わかったから。もう入ろうぜ。おなか減っちまったよ」
「あんたねぇ、食べることしか考えてないの?もっと雰囲気とかあるでしょ」
あたふたするディアッカを置いて私は歩きだした。レストランの入り口に立つと店員がエスコートしてくれた。ディアッカも遅れてついてきた。こういうところ、頼りないんだけど、ちょっとかわいい。
テーブルに着くと、ウェイターさんがワインを持って来てくれた。二人で乾杯する。すごく美味しい。外の喧騒とは打って変わって、店内は落ち着いた雰囲気で、他の客も思い思いの時間を楽しんでいた。
程良くお酒も入って、話にも花が咲いた。出てくる料理はどれも本格的でおいしかった。一つ一つのお皿に小さな気配りが施されていて、見た目でも楽しめた。さすがは人気の料理店である。
それでも、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。3時間ほど店にいただろうか。店を出ると通りを歩く人も少なくなっていた。私たちは酔いさましに少し歩くことにした。
店を出てすぐ、ディアッカが手を差し出してきた。ディアッカと目があう。彼は少し微笑んだ。なんだか急にドキドキしてきた。手をつなぐというのが少し恥ずかしかったので、私は彼の腕に抱きついた。こっちの方が大胆かもしれないけど、私の感覚ではこっちの方がましだ。
ディアッカはびっくりしてたけど、照れながらも私に合わせて歩いてくれた。会話らしい会話もせずに歩いていたら、先ほどのツリーのある公園に着いた。
「少し、座ろっか」
私は頷いた。
公園には二、三組の恋人がいたが、私たちもすっかりそのひと組になっていた。不意にディアッカが左手で上着のポケットをさぐった。
「ミリー、これ」
ディアッカは不器用に左手を私の前に差し出した。
「何?」
「クリスマスプレゼント。これはちゃんと自分で選んだんだぜ」
差し出された左手には二つのハートをあしらったペンダントが握られていた。
「なかなか会えないし、いつでも俺のことを思い出せるように。それに、戦場でも俺が近くにいて、守ってやれるように」
ディアッカの思いが痛いほど伝わってくるプレゼントだった。
「ありがと」
いろいろ言いたかったけど、これだけしか言葉にならなかった。思ってくれるのはとてもうれしい。でも、その思いにこたえられないどころか、自ら危険な戦場に赴くという行為自体が、彼の気持ちを踏みにじっているような気がして、とても耐えられない。でも、私は辞めてはいけない。どうしても、そう思う。
「ありがとう。ほんとにうれしい。でも……」
私が言う前に、今度はディアッカが遮った。私の唇に人差し指を当てて、
「今日はその話はなしなんだろ」
と、キザなことを言ってきた。
「そ、そうだけど」
私は何か言葉を返そうとしたけど、うまく出てこなかった。
「俺だってほんとは戦場なんて行ってほしくないよ。でも、俺が無理やり止めたってそれじゃ意味がないと思うんだ。何の解決にもなってない。だから、ミリ―が思うだけやればいい。そんな簡単に務まる仕事じゃないし、そんな簡単に解決する問題じゃない。でもそれがミリ―の選んだことなら文句は言わないよ。甘えたりはしたいけどさ。俺も、戦争はもうしたくないし、仕事で貢献できることがあったらどんどんするつもり。でもさ、やっぱ心配なんだよ。なかなか連絡も取れないし。だから少しでも守ってやりたくて。こんなことぐらいしかできないってのが、少しさみしいけどな」
「ううん、そんなことない。そんなことないよ」
私の目には涙が浮かんでいた。ディアッカの気持ちが嬉しくて。ディアッカは卑怯だ。普段そんな表情見せないのに、こんなにも真剣に私のこと思ってくれてるんだから。女はギャップに弱いってこと知っててやってるのかしら。普段にもまして、カッコいい。
「泣くなって。ミリ―はちょっと怒ってるぐらいがちょうどいいんだから」
「もぉう!バカ」
ちょっと見直したらすぐこれだ。でも、そんな気遣いも、嬉しい。
気のすむまで殴ったら、ディアッカが背中に両手を回して、強く抱きしめてきた。
「え、ちょっと」
私が戸惑っていたら
「少しだけ、いいだろ。今日別れたら、また少し会えないんだから。だから、もう少しだけ」
そう言われたら、私も反対できない。
「うん」
それだけつぶやいた。ディアッカは温かかったし、香水のいい香りもした。
ディアッカが顔をあげた。そして私の目を見つめた。ゆっくり顔を近づけてくる。私は目を閉じた。今日なら、許してあげないでもない。目を閉じてからの数秒がとても長く感じられた。いつ来るのか、もう来るのかと思っていたら、突然
「チャチャーチャン」
とケータイの着メロが流れた。ミーアさんのemotion。ううぅ、ここでもミーアさんなのね。 
ケータイが鳴って一番驚いているのはディアッカらしく、慌てふためいてケータイを探している。私に目配せして、ごめんと謝ってから電話に出た。
「ディアッカァ!!貴様何をしているっ!下士官たちとの飲み会の集合時間はとっくに過ぎているぞっ。大体お前が誘っておきながら何なんだ!今すぐ来いっ!」
「イ、イザーク。あれ、飲み会今日だっけか?」
「き、貴様ぁ!忘れるとはどういうことだっ!一体今どこにいる」
「そう怒るなって。今は…オーブ」
電話越しでもイザークの顔が想像できるぐらい、彼は相当起こっている。ディアッカったら、いったい何やってんのよ。
「オーブだとっ!怒らずにいられるか。……今からだと、1時にはこっちにこれるな。何でもいいから今すぐ来い。一秒も早くだ。わかったな!!」
「お、おい。イザーク」
「ツーツーツー…」
「切れた。なんだよあいつ、タイミング悪すぎだろっ」
「いや、あんたが悪いから」
あまりの間の悪さに呆れて言った。
「飲み会って何よ」
「いや、イザークのやつがあまりにも士官と仲が良くないもんだからさ。酒を飲む機会を作ってやったんだよ。それが今日だったとは」
「あんた、日取りの確認とかしてないわけ」
「いや、やるぞとは言ったけど、そのあとは士官任せだったから」
「ったく、抜けてるわねあんた。でもそれはあんたの責任なんだからね。イザークにいいわけできないわよ。早くしないと、船すぐ出ちゃうわね。さっさと行きなさい」
「でも」
「明日イザークにみっちり怒られたいの?しばらくはプリプリしてるわよ」
「それはやだ」
「だったら早く行きなさい」
ちょうどいいところに車の乗り場があった。
「これで港まで一直線ね。できるだけ早く合流してあげなさいよ。1人で困ってるでしょうから」
「わかったよ。なんだか、最後超ドタバタじゃんか」
ディアッカは心なしか背中を小さくして車に乗り込もうとした。
「ディアッカ」
振り向いたところに、私はキスをした。唇じゃなくてほっぺだったけど。
ディアッカは突然のことに何が起こったのかわかっていない。
「ペンダントありがとね。今のは私からのクリスマスプレゼント。次会った時はもっとゆっくりお別れさせてよね」
「だったら、今からもう一回」
車から離れようとするディアッカを私は押し返した。
「だめ。今回はあんたの自業自得なんだから、素直にプラントに帰りなさい」
腕を突き放して車の中にディアッカを放り込んだ。扉を閉める前にもう一度
「今日はありがとね。次会うときには、もっと素敵なデートプラン、自分で考えときなさいよね」
私が扉を閉めると同時に、車は港へ向けて走り出した。車の後ろの窓からディアッカがこちらを見ている。私は両手を思いっきり振ってやった。車が見えなくなるまで。
あわただしい一日がようやく終わった。最後は思いっきりバタバタしたけど、何だかあいつらしいと思う。結局、何だかんだ言って、私たちはお似合いなのかも知れないな。
そんなことを思いながら、空を見上げた。そこには燦然と星が輝いていた。そこがつい数年前に戦場だった面影など全くなかった。でも、私は忘れたくなかった。自分が見てきたものも、そしてそこで起こったことも。だから私は撮り続ける。それがこの先とても難しいことで、多くの人の理解に支えられてこそ続けられるものだということもわかっている。みんなに迷惑かけっぱなしだけど、ディアッカが言っていたように納得いくまでやってみようと思う。
この星空が、いつまでも安心して見られるように。そして、それが世界中のどこでも見られるように。私のできることなんて小さいけれど、少しでも力になりたい。
星空を見渡したら、オリオン座がもうあんなにも高くなっていた。
「さぁて。お父さんになんて言い訳しようかしら。もうこんな時間だから、怒ってるだろうなぁ」
街に視線を落とした。人通りはほとんどなく、イルミネーションだけが寂しく灯っている。クリスマスを平穏に過ごせる幸せをかみしめて、私は家路に就いた。


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