ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

黒崎文庫コミュの足元注意。(2007/10/19/09:02)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
何も無いところでよく転ぶ。
つかれていたり足元がおろそかになっていると
よくありますよね?
気をつけたほうがいいですよ。


+++++++++++++++++++++++++

「…キャッ!」

あたしは階段を上っていて最後の一段を踏み損ねて
こけてしまった。

もう一段あると思って実際には無い階段を
踏んじゃったんだ。

「大丈夫ですか?」
男の人が声をかけて歩み寄ってきた。

見られた…。
恥ずかしさのあまりあたしは何も言わずそこから
逃げ出した。

「…気をつけたほうがいいですよ」
後ろから男の人の声が聞こえた。
うるさいなぁ。関係ないだろ。

「あ〜、もう恥ずかしい」

さっきぶつけた膝に痛みを感じながら足早に学校へ
向かう。

昔からあたしは何も無いところでこけたり階段を
踏み外したりしちゃうんだ。
友達は「ドジっ娘、萌え〜」とか言ってからかうけど
こっちは大変なんだぞ。
毎日生傷は耐えないし服は汚れるし恥ずかしい思いも
しちゃうし…。

今日は特にサイアク。
こけた瞬間を変なおじさんに見られちゃったよ。
心配そうな顔してくれてたけど絶対心の中で笑われてる。
多分、いや絶対そうに決まって・・・。

「あ!」

横断歩道の真ん中でまた転んでしまった。
悲しいけどもう転びなれてしまったあたしは
とっさに手をついて顔とか大事な場所は
怪我しなかった。
まぁ服は汚れちゃったけどね。

周りにクスクス笑われてる。
いつものことだ、自分が当事者にならない限り
笑えるだろうね。あたしも多分笑っちゃうよ。

「大丈夫ですか?」
今度は小学生に心配された…。泣けてきた。
「…ありがとう。なんでもないよ」
精一杯の平静を装って女の子にお礼を言った。
足早にその場を去ろうとしたあたしの背中に

「…気をつけたほうがいいですよ」

今日2回目のありがた〜いお言葉。
気をつけてどうにかなるものならこんな目には
あってないよ。

でも最近転ぶ回数が増えた気がする。

以前は週に1回とか2回とかだったのにこの頃毎日だ。
なんだろう?メガネの度が合わなくなってきたのかな?
また今度メガネ屋さんにでも行ってみよう。



教室に入ると友達数人にさっそく服の汚れを指摘された。
「いつもの病気だから気にしないで」
あたしが軽くあしらおうとしたら
「大丈夫なの?休んだほうがいいって」
マジで心配されてしまった。

「・・・後天性粗忽娘症候群よ」
難しい単語でごまかしてみた。
友達は大うけしている。
いっそこうやって笑われたほうが良い。
変に同情なんかしてくれてもうれしくもなんとも無い。

正直ちょっと嬉しかったけど。

「最近よく転ぶよね〜。病気が悪化してるんじゃない?」
まだそのネタを引っ張りますか。
こんなに転ぶと何か別な理由がある気がしてきた。
もう、いっそのこと・・・。

「マジお払いに行ったほうが良いって!」
後ろの席から声が聞こえた。
あたしは今思ってたことを言われた気がしてドキッとした。

実際にはあたしにいったんじゃなくてその後ろの女の子に
向かっていってたんだけどね。

あまり交流の無いグループの子達だったけど気になったので
ウチのグループもその話に混じって聞いてみた。

話を要約するとその女の子に悪霊がついてしまったらしい。
元カレの元カノがその子を恨んで呪いをかけたとか。
毎晩悪夢にうなされ金縛りにもあったらしい。
結局そのことが原因で彼氏とは別れたけどもまだその悪霊に
悩まされているって話だ。

結局その女の子を学校近くの神社に連れて行くことになった。
以前コックリさん騒ぎのあったときに相談してお払いして
もらったことがあるとのこと。
どんなことをするのか興味があったので、あたしもついていく
ことにした。


いつもの帰り道とは反対の方向にその神社はあった。
小高い山の上に作られたそこはすごく静かで清らかな印象だ。
なんか空気まで澄んでる気がする。
たぶん気のせいだろうけどね。
鳥居をくぐって中に入り社務所近くでみんなワイワイと
お守りをあさっている。お払いはどこにいったんだ?
お払いを受けさせられにきた女の子もちょっと困っている。

「今日はどうされました?」
声をかけられて振り返ると神主服?を着たお爺さんがいた。

そのグループのリーダー格の女の子が事情を説明した。
神主さんはあたしたちの顔を一通り眺めてから
「先に本殿で待っていなさい。少し準備をしてくる」
そう言って社務所に入っていった。

良かったねー。これで大丈夫だよねー。
とか勝手なことを言っている。
まだ始まってもいないのに。


お払いは至極簡単なものだった。
ハタキ?みたいな紙の束でバサバサ女の子の頭の上を
払ってから、変な唄?浪曲?を歌ってくれた。
もっと「悪霊退散!とりゃ〜!!」見たいなものを
期待してたからちょっとガッカリ。
「これで大丈夫じゃよ。
本来ならちゃんとお金をもらうが今回は特別じゃ。
社務所でお守りを各自1個買ってくれたら
タダにしてあげる」
神主さん、目がエロイよ。

お払いに来た女の子の顔色も良くなった気がする。
本当に憑き物がおちたのかな?
みんなでお礼を言って帰ろうとしたとき
「ああ、そこの子。待ちなさい」
あたしに声をかけてきた。
え?なに?あたしにも悪霊が憑いてるの??
そう思って驚いて固まっていると・・・。

神主さんはそっとメガネを取って袖で拭いてくれた。

「少し汚れてましたよ。これでよく みえるでしょう」

やさしく微笑んでメガネを返してくれた。
顔から火がでそうなくらい恥ずかしかった。

あたしはお礼もそこそこに神社をあとにした。


次の日から不思議と転ばなくなった。
なんか世界が明るくなった気がする。
どんだけ汚れてたんだ?あたしのメガネ…。




何回もこけた階段も今日は平気。


何回も転んだ横断歩道も今日は平気。


何回も足を取られた踏み切りも今日は平気。





あれ?

なんだろう?

ちょっと違和感。

あたしは良く転ぶ。うん、それは間違いない。

でも…。

よく考えると同じところで転んでなかったか?


踏み切りの警報音にせかされて踏切を出てから振り返った。


残念そうな顔をした男の人の上半身だけがみえている。
それは踏切から生えてるように見えた。

「え??」

もう一度見直そうとしたとき、
急行の電車がその上を走り抜けていった。
電車が走り抜けた後、
恐る恐る目を開けたがそこには何も無かった。




枯れた花束が置かれているだけで・・・。



+++++++++++++++++++++++++

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

黒崎文庫 更新情報

黒崎文庫のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング