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徳島大学制御工学研究室コミュのカルマンの和訳

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線形フィルタリングと予測問題の新しいアプローチ
 古典的フィルタリングと予測問題はBode-Shannonの確率過程の表現と動力学システム解析の“状態遷移”法を用いて再調査された。新しい結果は以下である
(1)公式化と問題の解法は変更することなく定常、非定常の統計学と増大情報、無限情報フィルタに適用する。
(2)非線形差分(または微分)方程式は最適推定誤差の共分散行列で得られる。方程式の解から最適線形フィルタの差分(または微分)方程式の係数がそれ以上の計算をせず得られる。
(3)フィルタリング問題は2重のノイズなしのレギュレータ問題として示される。
 ここで提案された方法はよく知られた2重の問題、より早い結果を拡張することと確認することに適用される。
 この議論は最初の法則から発生し大部分は独立しています。確率過程の基礎理念は付録で再検討する。
序論
 通信と制御の理論的かつ現実的に重要な問題は統計的な性質にあります。それらの問題は(i)ランダムな信号の予測(ii)ランダムノイズからのランダムな信号の分離(iii)ランダムノイズが存在するパルスやサイン波の信号の検出である。
 Wiener[1]3の先進的な研究で(i)、(ii)の問題はWiener-Hoph積分方程式と呼ばれるもので示された。さらに実際に重要で特殊な定常統計値と有理な範囲の場合における積分方程式の解法(スペクトル分解)を示した。
 Wienerの基本的な研究に続いて多くの拡大と一般化が行われた。ZadehとRagazziniは有限情報の場合[2]を解決した。BodeとShannon[3]は同時に、そして独立して、彼らもまた簡略化した解法を発見した。Bootonは非定常のWiener-Hoph方程式[4]について議論した。これらの結果は現在、標準の教科書に載せられている[5-6]。 これらの本筋に沿ったいくつかの異なったアプローチは最近、Darlington[7]によって行われた。サンプル信号への拡張に関しては、例えばFranklin[8]、Lees[9]の論文を参照する。その他のアプローチでは、ウィナーホフ方程式 (これは非定常の問題にも適用されるが、一般に、前述の方法は適用されない)の固有関数に基づいたアプローチはDavis[10]によって開拓されて、例えばShinbrot[11]、Blum[12]、Pugachev[13]、Solodonikov[14]等の多くの他の人によって適用された
 これら全ての研究における目的はランダムな信号の検出、分離、予測を成す線形動力学システム(Wienerフィルタ)を明確化することである。
 現在のWienerの問題に対する解法は実用的な有用性を極端に制限する多くの条件がある。
(1)最適フィルタはインパルス応答によって示される。それらのデータからフィルタを統合することは簡単な作業ではない。
(2)最適インパルス応答の数値決定は大抵、非常に複雑で機械計算結果とほとんど適合しない。
(3)重要な一般化(例えば、増大情報フィルタや非定常予測)には、しばしば専門家以外にとってかなり難しく新しい導出を必要とする。
(4)それらの導出のための数学はわかりにくい。基本的な仮定とそれらの結果は不明瞭になる傾向がある。
 この論文では避けていた今述べた難問を含む全ての問題の集合について新しい観点を紹介する。以下がこの論文の要点である。
(5)最適推定と直行投影。Wiener問題は条件付の分布と期待値の観点からアプローチする。この方法ではWiener理論の基本的要素を高速で満たし、結果と基本的な仮定の範囲が明確に現れる。統計計算と結果は1次と2次の平均に基づいており、他の統計データを必要としないことがわかる。このように問題(4)を除外できる。この方法は確率理論(pp.75-78とpp.148-155のDoob[15]とpp.455-464のloeve[16]を参照)ではよく知られているが工学分野ではまだあまり使用されていなかった。
(6)確率過程のためのモデル。BodeとShannon[3]に従って、特に任意のランダムな信号は(2次平均の統計的な特性次第で)独立または関係のないランダムな信号(ホワイトノイズ)によって励起された線形動力学システムのように表される。これはウィナーの理論[2-7]の工学応用における標準的な手法です。ここで行われたアプローチは説明された線形動力学システムの方法におけるだけの従来のアプローチと異なる。私たちは状態と状態遷移の概念を強調します。言い換えると、線形システムは1次の差分(または微分)方程式のシステムによって表される。この観点は(5)で述べられた簡略化を利用するために自然でありさらに必要なものです。
(7)Wiener問題の解。状態遷移法を用いて、単一の過程で広く様々な問題、拡大、無限情報フィルタや定常、非定常統計等をカバーできます。例えば、問題(3)は解決します。推定問題(例えば、フィルタリングや予測等)の“状態”を正しく推測すると、最適推定誤差の共分散行列の差分(または微分)方程式が導かれる。これはWiener-Hoph方程式に類似している。共分散行列の方程式の解は最初に観測された時間t0に始まり、任意の時間tに方程式の解は間隔(t0,t)での観測によって与えられる最適推定誤差の共分散を表す。時間tでの共分散行列から更なる計算無しにすぐ、最適線形フィルタを特徴付ける係数(一般的に、時間変化する)を得ます。
(8)2重問題。Wiener問題の新しい公式化は“状態”の観点に基づいた制御システムの新しい理論の発展と関係付けられる[17-24]。驚くべきことに、Wiener問題は2重のノイズなしの最適レギュレータ問題であることがわかり、その問題は状態遷移法を大いに生かして筆者によって解かれていた[18,23,24]。2つの問題の数学的背景は同一であり、このことは最初から考えられていたが今までその類似性の証明は行われていなかった
(9)応用。新しい手法の効力は理論的な研究と複雑な実際の問題の数値解において最も明らかです。後者の場合、機械計算に頼るのが最善です。この形式の例は後で議論する。応用の雰囲気を示すと、非定常予測から2つ標準的例が含まれる。これらの場合、(7)で述べた非線形差分方程式の解は閉形式でさえ得ることができる。
 簡単な参考として、主な結果は定理の形で表す。定理3、4はオリジナルです。次の節と付録では主に現在の目的に適した形態でよく知られた資料を示す。
表記法の取り決め
 この論文を通して、主に離散動力学システムを扱う。他の言い方をすると、信号は一定間隔の時間(サンプリング時間)をおいて観測される。適した時間系を選ぶと、連続したサンプリング時間間の一定の間隔(サンプリング間隔)は単位元として選ばれる。したがって、t,t0,τ,Tのような時間を言及する変数は常に整数になる。離散動力学システムの制限は(少なくとも工学の観点からは)全く重要ではない。離散性を用いることによって、数学を厳密であるが簡単に扱うことができる。ベクトルは小文字の太字で表す。a,b,…,u,x,y,…ベクトル、より正確にはn-ベクトルはn個の数x1,…xnの集合です。xiはベクトルxの座標か成分です。
 行列は大文字の太字で表す。A,B,Q,Φ,Ψ,…これらは要素aij,bij,cij,…を持つm×n配列です。行列の転置(行と列を入れ替えること)はプライムによって表す。式を扱うとき、ベクトルを1列の行列とみなすことができ便利である。
行列乗算の従来の定義を用いると、2つのnベクトルx,yのスカラー積は

と書く。スカラー積は明らかにベクトル量ではなくスカラー量である。同様に、n×n行列Qで結合された正方型は

です。X’がmベクトル、yがnベクトルのとき表現xy’を要素xiyjを持つm×n行列と定義する。
確率ベクトルxの期待値をE(x)=Exと書く(付録参照)。Eの後の括弧は通常便利のため除外する。定数と演算子Eは交換可能なので簡単な場合混乱はしない。したがって、Exy’=要素E(xiyj)を持つ行列、ExEy’=要素E(xi)E(yj)を持つ行列となる。
参照するために、使用される主要な記号のリストを下に示す。
最適推定
t 一般的時間、現在時間
t0 観測を開始する時間
x1(t), x2(t) 標準の確率変数
y(t) 観測された確率変数
x1*(t1|t) y(t0), …, y(t)によるx1(t1)の最適推定
L 損失関数(独立変数による非確率関数)
ε 推定誤差(確率変数)
直行投射
Y(t) 確率変数y(t0),…,y(t)によって生じる線形多様体
xb(t1|t) Y(t)のx(t1)の直行投射
xt(t1|t) Y(t)に直行するx(t1)の成分
確率過程のためのモデル
Φ(t+1;t) 遷移行列
Q(t) 不規則励起の共分散
ウィナー問題の解
x(t) 標準の確率変数
y(t) 観測された確率変数
Y(t) y(t0),…,y(t)によって生じる線形多様体
Z(t) y(t|t-1)によって生じる線形多様体
x*(t1|t) Y(t)によるx(t1)の最適推定
xt(t1|t) Y(t)によるx(t1)の最適推定の誤差

コメント(5)

最適推定
 研究されるべき問題の形式化や明確な説明を行うために、以下の状況を考える。和y(t)= x1(t)+x2(t)だけが観測できる。正確にy(t)の値が観測によって得られたy(t0), …, y(t)と仮定する。t1がtより小さいか、等しいか、大きいかの(観測不可能な)t=t1の信号の値に関する情報から何を推測できるだろうか。t1<tのとき、これは平滑化(補間)問題である。t1=tのとき、これはフィルタリングと呼ばれる。t1>tのとき、予測問題となる。この処理はこれらとこれらに同様な問題を含むほど十分に一般的であるため、今後は共通して推定という言葉を用いる。
 Wiener[1]によって指摘されたように、推定問題の自然な設定は確立理論と統計学の範囲に属する。したがって、信号、ノイズとそれらの和は確率変数であり、その結果確率過程とみなされる。確率過程の確立学的説明から、信号とノイズの特殊なサンプルの発生する確率を決定できる。どんな確率変数y(t)の計測値η(t0),…,η(t)の集合が与えられても、原則として、確率変数x1(t1)の様々な値ξ1(t)の同時発生の確立も決定できる。これは条件付き確率分布関数である。
式(1)
確かに、F(ξ1)は確率変数y(t0),…,y(t)の計測が確率変数x1(t1)について伝えた全ての情報を表す。どんな確率変数x1(t1)の統計的推定値はいくつかのこの分布の関数でありそれゆえ確率変数y(t0),…,y(t)の(非確率)関数である。観測される確率変数や推定が必要とされる時間が前後関係から明らかなとき、この統計的推定値をX1(t1|t)、またはただX1(t1)、X1と表す。
 今、X1が確率変数y(t0),…,y(t)の一定の関数として与えられると仮定する。そのとき、X1はそれ自体確率変数であり、y(t0),…,y(t)の実際の値が分かるときはいつでもその実際の値も分かる。一般的に、X1(t1)の実際の値はx1(t1)の(未知の)実際の値とは異なる。X1を決定する合理的な方法に達するため、当然不正確な推定に失敗や損失を割り当てる。明らかに、損失は(i)正であり、(ii)推定誤差ε= x1(t1)-X1(t1)の非減少関数であるはずである。したがって、以下により損失関数を定義する。
式(2)
いくつかの一般的な損失関数の例はL(ε)=aε^2, aε^4, a|ε|, a[1-exp(-ε^2)]等である。ここでaは正の定数である。
 確率変数X1の自然な選択方法のひとつ(しかし決して唯一ではない)はその選択によって平均の損失やリスクが最小化することを必要とするということである。
式(3)
式(3)の右辺の最初の期待値はX1ではなくy(t0), …, y(t)だけに依存し、式(3)を最小化することは次式を最小化することと等しい。
式(4)
わずかな仮定を加えるだけで、簡単な方法で最適推定を特徴付けることができる。
 定理1. Lは式(2)の形式であると仮定すると式(1)によって定義される条件付き分布関数F(ξ)は以下である。
(A)平均値ξbについて対称:

 (B)ξ≦ξbで凸:

全てのξ1,ξ2≦ξbで0≦λ≦1
そのとき式(3)の平均損失を最小化する確率変数x 1*(t1|t)は条件付きの期待値
式(5)
である。
 証明:最近Sherman[25]によって指摘されたように、この定理はすぐに確率理論のよく知られた補題に従う。
 系. もし確率過程{x1(t)}, {x2(t)}と{y(t)}がガウス過程であるならば、定理1はこれを含む。
 証明:定理5(A)(付録参照)により、ガウス確率過程の条件付き分布はガウス過程である。したがって、定理1の必要条件は常に満たされる。
 制御システムの文献において、この定理はある方法でより制限された形式やそのほかの方法でより一般的な形式でたびたび現れる。
 理論 l-a. L(ε)=ε^2であるとき、定理1は仮定(A)、(B)がなくとも真である。
 証明:条件付き期待値(4)を拡張する。

そして、X1(t1)について微分する。これは完全に厳密な独立変数というわけではない。簡単で厳密な証明はpp.77-78のDoob[15]参照。
見解. (a)筆者の気付いている限りで、定理1の必要条件を満たす条件付き分布関数の確率過程{ x1(t)}, { x2(t)}の最も一般的な形式は知られていない。
(b)シャーマンの書記は別として、制御システムの文献において定理1は明らかにはっきりとは述べられていない。実際、一般的な式(2)の形式の損失関数を数学的に便利に扱うことができなくなる効果のある多くの陳述がある。
(c)結果として、私たちは主にベクトル評価された確率変数を扱わなければならない。この場合、推定問題はベクトル評価された確率過程{x(t)}と観測される確立変数y(t0), …, y(t)が与えられ、予期される損失E[L(‖x(t1)-X(t1)‖)]を最小化する推定値X(t1)を求める問題として述べられる。ここでy(t)=Mx(t)( Mは単行列である。言い方を変えるとx(t)の全ての座標が観測できるわけではない)である。‖ ‖はベクトルの平均である。
 定理1はベクトルの場合もまた真を保ち、もし必要な場合にはベクトルx(t1)のn座標の条件付き分布関数

はn変数ξ1-ξ1b, …, ξn-ξnbについて対称でこれら全ての変数が負になる領域で凸である。
直交射影
 観測された変数の関数のような最適推定の明確な推定は一般的に不可能である。過程{x1(t)},{x2(t)}はガウス過程であるという重要な例外がある。一方、L(ε)=ε^2の制限と推定が観測された確率変数の線形関数であるという追加の必要条件の下で最適推定を得ようとする場合、線形性の仮定や2次の損失関数をなしにガウス過程の場合の最適推定と等しい推定を得ることができる。線形評価で入手可能な結果は(i)確率過程がガウス過程の場合のみ非線形推定によって、さらに(ii)最小3次の確率分布関数と考えること(定理5(C)に示す)のみによってより良くすることができる。
今述べた特殊な場合には、推定問題の明確な解法は幾何学的描画を利用して最も容易に理解できる。これがこの節の対象である。
 (実数評価された)確率変数y(t0),…,y(t)を考える。実係数とこれら確率変数全ての線形結合の集合
式(6)
はY(t)で示すベクトル空間(線形多様体)を形成する。式(6)のどんな表現も抽象的にY(t)の”点”または”ベクトル”とみなす。この言葉”ベクトル”の使用はもちろん”ベクトル評価された”確率過程等と混合するべきでない。tの値(すなわち、可観測値の総数)を固定したくないので、Y(t)を全可観測値の有限次元の部分空間とみなす。
 どんなY(t)の2つのベクトルu,v (すなわち、式(6)で表される確率変数)が与えられた場合でも、Euv=0ならuとvは直交であると言える。p.151のDoob[15]やp.459のLoeve[16]によって例で説明されるように、Schmidtの直交化の手順を用いるとY(t)の直交正規基礎を選択することは容易です。これが意図されていることによってY(t)上のあらゆるベクトルのようなY(t)上のベクトルet0,…,etの集合はet0,…,etと次式との独自な線形結合として表すことができる。
式(7)
その結果Y(t)のどんなベクトルxbも次式によって与えられる。

そして係数aiはすぐに式(7)を利用して決定できる。
式(8)
 さらにどんな確率変数x(Y(t)上である必要はない)も独自に、Y(t)上の部分xbとY(t)に直行する部分xtの2つの部分に分けることができる。実際に、次式のように書ける。
式(9)
 このようにxbは等式(9)によって独自に決定され明らかにY(t)のベクトルである。したがってxtもまた独自に決定される。Y(t)に直交することを確かめておく。

 今基礎et0,…,etに関するxbの座標は式Exbei (式(8)のように)と式Exei(式(9)のように)のどちらでも与えられる。座標は独自であるのでExei=Exbei(I=t0,…,t)、したがってExbei=0とxtはあらゆる基礎ベクトルeiに直行であり、その結果Y(t)に直行である。xbをY(t)のxの直行投影と呼ぶ。
 直行投影を特徴づけることができるもう一つの方法がある。xbは2次の損失関数を最小にするY(t) (すなわち、確率変数y(t0),…,y(t)の線形関数)のベクトルである。実際に、たとえwbがY(t)のどんな他のベクトルであっても、次式のようになる。

 xtはY(t)のあらゆるベクトルに直行しているので、特にxb-wbに対し次式のようになる。
式(10)
これは、もしwbもまた2次の損失を最小とするなら、確率変数xbとwbが等しいということ意味する(確率が零になる組の場合を除いて)E(xb-wb)^2=0が成り立たなければならない。
 これらの結果は以下のようにまとめられる。
定理2.{x(t)},{y(t)}を零平均の確率過程とする(すなわち、全てのtについてEx(t)=Ey(t)=0)。y(t0),…,y(t)を観測する。
もし、(A)確率過程{x(t)},{y(t)}がガウス過程である場合、または
(B)最適推定が観測された確率変数の線形関数やL(ε)=ε^2となることを制限される場合、のどちらの場合でも以下のようになる。
式(11)
 これらの結果はよく知られているにもかかわらず制御システムの文献において理解するのは容易ではない。p.75-78のDoob[15]、Pugachev[26]を見よ。直行投影を次式によって表すことは時々便利である。

表記Ehはパート(b)の定理によって与えられる。問題の確率過程がガウス過程である時、直行投影は実際に条件付きの期待値と一致する。
証明. (A)これは(10)と関係する見解の直接的な結果である。
(B)x(t),y(t)は零平均の確率過程なので、線形多様体Y(t)に関するx(t1)の直行部分xt(t1|t)もまた零平均の確率過程であることは公式(9)から明らかである。零平均の直行確率変数は裏づけがない。さらにそれらがガウス過程である場合(定理5(B)から)、それらは独立である。その結果以下のようになる。

 見解. (d)t→∞のようなこの節の内容の厳密な公式化にはHilbert空間の定理からいくつかの初等の観念が必要である。Doob[15]とLoeve[16]を見よ。
 (e)定理2の物理的解釈は大部分が経験の問題である。ガウスの仮定について悩まなければ、パート(A)は直行投影が全ての道理にかなった損失関数の最適推定であることを示す。ガウスの仮定について悩むならば、たとえ線形推定だけを考えなくても、直行投影が多くの道理にかなった損失関数の最適推定ではないことが分かる。実際に、物理的起源の確率過程がガウス過程とどの程度相似しているかを確かめることは難しく、定理2が非常に一般的であるか非常に限られた意義しかないかを決めることは難しい。
(f)定理2はベクトル評価された確率変数の場合、すぐに一般化される。実際に、y(t0),…,y(t)によって生じる線形多様体Y()を確率ベクトルy(t0),…,y(t)それぞれm個の座標全ての線形結合の集合

と定義する。話の残りは前のように進める。
(g)実際に、定理2は(A)か(B)の状況下での最適推定が以前の観測値全ての線形結合であると示している。言い換えると、最適推定は実際に生じている可観測な確率変数の量である入力と線形フィルタの出力とみなすことができる。最適フィルタのインパルス応答の機械計算方法は定理2で与えられる。以前指摘したように、このインパルス応答の知識は問題の完全な解法ではない。この理由から、インパルス応答の計算の明確な公式は与えられていない。
確率過程のモデル
 物理的現象を扱うとき、経験上の説明だけでは十分でないが根本的な原因の考えがなければならない。ある意味で原因と結果を分けることはできない、すなわち、因果関係の仮定なくして、有効な結果はほとんど望めない。
 確立現象の初期の巨視的な入力は独立なガウス過程であるということはある程度一般的に認められた事実である。よく知られた例は熱運動のために抵抗で発生したノイズ電圧である。多くの場合、観測された確立現象は独立な確率変数によって記述できない。異なる時間に観測された確立信号の間の統計的依存(相関)は通常初期の確立入力とオブザーバーとの間の動力学システムの存在によって説明される。その結果、時間の確率関数は独立なガウス確率過程によって励起された動力学システムの出力として考えられる。
 ガウス確率信号の重要な特性はそれらが線形システムを通り抜けた後もガウス確率信号であることです(定理5(A))。独立なガウス初期確立入力を仮定すると、観測された確立信号もまたガウス確率信号であるとき、オブザーバーと初期入力とのあいだの動力学システムが線形であると仮定できる。観測された確立信号の統計的特性の詳細な知識の不足によってこの結論をとるのかもしれない。1次、2次の平均が分かっているどのような確率過程を与えられても、同じ特性のガウス確率過程を得る(定理5(C))。その結果、特に統計的データが不十分なとき、ガウス分布と線形動力学は自然で、互いに妥当な仮定である。
 動力学システム(線形または非線形)はどのように記述されるか。根本的発想は状態の考え方である。これは、巨視的に、システムの未来の振る舞いを予測するためにそのシステムの過去の振る舞いについて知らなければならないデータの最少量であるいくらかの定量的な情報(数値の集合や関数等)を意味する。そのとき動力学は状態遷移の項で記述される、すなわち、ある状態が時間の経過とともにどのように他の状態に変化するかを記述する。
線形動力学システムは一般的にベクトル微分方程式
式(12)
によって表される。ここでxはシステムの状態(xの要素xiは状態変数と呼ばれる)のn-ベクトル、u(t)はシステムの入力を表すm-ベクトル(m<=n)、F(t)とD(t)はそれぞれn×n、n×m行列である。F(t)、D(t)、M(t)の全ての係数が一定であるとき、動力学システム(12)は時間変化しないか静的である。最後に、y(t)はシステムの出力を表すp-ベクトル、M(t)はn×p行列、n<=pである。
 式(12)の物理的説明は他のところ[18,20,23]で詳細に議論する。図1のブロック線図を見ると役に立つ。これは通常の線図ではなく(信号の流れを示す太線によって表されるような)行列ブロック線図である。実際に、図1の積分器はそれぞれの出力が状態変数であるようなn個の積分器を表す。F(t)は積分器の出力がどのくらい積分器の入力にフィードバックされているかを表す。したがって、fij(t)はj番目の積分器がi番目の積分器の入力にフィードバックされる係数である。この形式を線形システム分析のより型にはまった方法に関連させることは難しくない。
 システム(12)が定常でありu(t)がどんなサンプリング期間においても定常であるとき、字式が成り立つ。
式(13)
そのとき式(12)は簡単により都合のよい離散形に変形できる。

ここで[18,20]より、


図2
図2を見よ。ラプラス変換法を用いて閉形式のexpFτでも表すことができる。u(t)が式(13)を満たすがシステム(12)は非定常であるとき、相似に次式のように書くことができる。
式(14)
しかしもちろん、今Φ(t+1;t),Δ(t)は一般に閉形式で表すことができない。式(14)の形式の方程式もまた複雑なサンプリングデータシステムの論文[22]でしばしば見られる。図2を見よ。
 Φ(t+1;t)はシステム(12)や(14)の遷移行列である。表記Φ(t2;t1)は(t2,t2=整数)は時間t1から時間t2への遷移を表す。明らかに、Φ(t;t)=I=単位行列。システム(12)が定常であるときΦ(t+1;t)=Φ(t+1-t)=Φ(1)=一定。積の決まり:Φ(t;s)Φ(s;r)=Φ(t;r)と逆行列の決まり:Φ-1(t;s) =Φ(s;t)も示す。ここでt,s,rは整数である。定常システムにおいて、Φ(t;τ)=expF(t-τ)。
 前の議論の結果として、確率現象を次式の形式によって表す。
式(15)
ここで{u(t)}は次式によって完全に記述されるベクトル評価され、独立な、零平均のガウス確率過程である(定理5(C)を参照)。

もちろん、x(t)もまた零平均のガウス確率過程だが、もはや独立ではない(定理5(A))。実際、定常状態で(定常システムであると仮定して)式(15)を考える時、言い換えると、初期状態x(t0)を無視する時、

したがって、t>=sのとき

その結果、線形動的モデルを仮定しガウス確率励起の統計的特性が分かっているとき、対応しているガウス確率過程{x(t)}の統計的特性は容易に得られる。
 しかしながら、実生活において、通常状況は反対である。共分散行列Ex(t)x’(s)が与えられ(またはむしろ、制限付統計データから行列を推定しようとし)、問題は式(15)とu(t)の統計的特性を得ることである。これは微妙で現在多くは実験的にもデータ演算でも解決されていない問題である。Wiener問題の工学文献の非常に大部分にあるように、式(15)の形式で始めてモデル自体を得る問題は分離問題とみなすのが便利である。確かに、二つの問題は可能なら一緒に最適化するべきである。筆者は気付かなかったが、連結最適化問題のどんな論文でもそのようである。
 要約すると、追従する仮定は確率過程で成り立っている。
 物理的な確率現象は動力学システムを励起する初期の確率入力のためと考えられる。初期入力は零平均の独立なガウス確率過程とみなせる。動力学システムは線形となる。したがって、確率過程は式(15)のようなモデルによって記述される。モデルを決定する数値を実験データからどのように得るかの問題は考えない。
全文の訳が完了しました。
2テラに入れときますのでみんな見てください。

少し疲れた。

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