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中西輝政研究コミュの63 金日成の朝鮮戦争擁護が目的の、林房雄『大東亜戦争肯定論』

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1、「北朝鮮―→朝総連―→笹原金次郎―→林房雄」
民族系の論客や団体は、日本の国益にとって、功罪あい半ばする。いや、罪のほうが多い。とりわけ、彼らが、日本の亡国を祈祷する“反日書の中の反日書”『大東亜戦争肯定論』(単行本は1964〜5年刊)を、さかさまにも日本国にとって“最良のバイブル”かのごとくに拝跪するにいたっては、民族系とは“国賊”以外の何者でもない。
英米との戦争における日本の敗北・亡国を讃美する林房雄的な異様なニヒリズムの狂気をモチーフとした『大東亜戦争肯定論』には、スターリン/金日成の韓国侵略戦争である、1950年6月の朝鮮戦争を肯定する目的が秘められている。林房雄本人が、朝鮮戦争美化にどれほどの熱情があったかどうかは不明。だが、林房雄に『大東亜戦争肯定論』を書かせた中央公論社側にとっては、失敗に終わった金日成の朝鮮戦争を「肯定」し「美化」してあげることが露骨な目的であった。
林房雄に「大東亜戦争肯定論」の連載をさせた男は、月刊誌『中央公論』誌の編集長の笹原金次郎だが、笹原とは血統では北朝鮮人。だから当り前だが、狂信的な金日成崇拝者だった。そればかりか、朝総連とも密接につながった、朝総連の“隠れた活動家”だった。この連載は1963年9月号に始まり65年6月号まで続いた、一年九ヶ月に及ぶものだった。林房雄を担当した編集者は利根川裕(のち『宴』などの作品を書いた作家に転身)だったが、この企画の実際の推進者はあくまでも編集長の笹原だし、その背後の北朝鮮の労働党独裁政権だった。
北朝鮮にとって、みずからが起こした朝鮮戦争が韓国全土占領とはならず、三十八度戦で膠着して元の木阿弥になったことは、「失敗しました」では済まされない事情があった。在日の北朝鮮人たちの動揺が大きなうねりとなっていたからである。しかも、1959年から61年にかけての、嘘キャンペーン「北朝鮮パラダイス」による在日の帰還運動も、1962年頃になると北朝鮮の酸鼻きわめる実情がバレバレになり、神格化された金日成の虚像は大きく崩れつつあった。さらに、1965年の日韓基本条約に向けて日韓の協議が進んでおり、韓国が正統政府となる直前であった。この連載の最終号の発売は1965年5月10日で、これで打ち切りとなったのは、日韓基本条約の調印は翌6月で、それ以上の連載は不要だったからである。
このように、朝総連傘下の在日の数十万人の北朝鮮人(当時は韓国系のほうが少数)の朝鮮戦争敗北への落胆と失望を転回させる秘策は、急を要していた。この秘策として考え付いたのが、米国相手の日本の大東亜戦争の敗北論を、北朝鮮の戦争敗北の正当化に活用することであった。「世界の強国であった日本ですら米国に敗北したのだから、小国の北朝鮮が米国相手に互角で戦っただけでも偉大である」という、アナロジーである。
だから、林房雄の論理が、「日本が対米戦争で負けることも亡国することもなんら問題でなく運命に従った正しい選択をしたのである」となっている。戦争敗北は、主権国家にとって許されない結末であり、首謀者は徹底的に断罪されねばならないものだが、これを転倒した詭弁で嘯いている。だが、林房雄の腐った人格から醸しだされる詭弁には甘い麻薬の煙が噴き出すため、歪な人間や未熟な矮小な人物は、これに酔う。
加えて、林の『大東亜戦争肯定論』は、その「大東亜」を「朝鮮」に置き換えれば、すぐに『朝鮮戦争肯定論』になる仕掛けになっているから、在日の北朝鮮人に対する、本国や指導者の金日成に対する憤懣や不満のガス抜きにそれ相当の効果をあげたのである。

2、大東亜戦争継承戦争だった「支那全土赤化の毛沢東の対蒋介石内戦/金日成の韓国侵略/北ベトナム赤化のホーチミンの対仏戦争」
 しかも、朝鮮戦争は、?アジアからの米英の追放と?アジア共産化を目的とした大東亜戦争を継承したのだから、大東亜戦争と朝鮮戦争のアナロジーは、こじ付けなどとはまったく異なった、学問的に的を射た的確なアナロジーである。この大東亜戦争の目的ついては、尾崎秀実が検事にベラベラと喋った調書に明らかだが、敗北した日本の大東亜戦争を継承してアジア共産化を果したアジア人とは、毛沢東/金日成/ホーチミンの、“スターリンの息子たち”である。
 大東亜戦争美化に狂う、西尾幹二や小堀桂一郎そして渡部昇一らの民族系評論家が、決してベトナム戦争や朝鮮戦争を非難しないのは、彼らは心底ではアジア共産化を支持する“畸型児的な左翼”だからである。
 大東亜戦争の第三の目的である?天皇制廃止については、共産党を脱党しても共産主義者でありつづけた林房雄は、論理的に矛盾せず、「大東亜戦争肯定=天皇制廃止」を貫いている。この林房雄を直系的に継承したのが西尾幹二で、コミュニストでもないしKGB工作員でもないのに、西尾は『大東亜戦争肯定論』の激した継承者であると同時に、狡猾な天皇制廃止論者である。この問題は、次回で論じるとしよう。
 小堀桂一郎と渡部昇一は、大東亜戦争肯定でありながら天皇制度の擁護派で、東條英機と同じである。論理的思考がまったくできない杜撰な頭の故であろう。その結果、8月15日未明の宮城クーデター事件で明らかなように、昭和天皇の軟禁と銃殺もしくはソ連軍への引渡しを目論んだ阿南惟幾・陸軍大臣ほか(ポスト東條の)陸軍中枢の天皇制廃止を正義と考えるコミュニスト軍団や、一九三〇年代以降の多くの極左学者・ジャーナリストとは、偶然的に一線を画すことになっただけだろう。
 大東亜戦争が天皇制廃止をもくろむ“悪魔に等しい日本最凶コミュニスト”近衛文麿によって主導されたように、戦争は敗北すれば王制をゆるがすことが第一次世界大戦で証明されたからである。オーストリー帝国のハプスブルグ家もロシア帝国(名目上は戦勝国だが、実態は敗戦国)のロマノフ家もドイツ帝国のホーエンツォレルン家も、第一次世界大戦の敗者として潰え去った。それらの歴史を青年時代に経験した近衛文麿が、アジア共産化/日本共産化とともに天皇制廃止を確実に達成する方策として勝手におっぱじめたのが大東亜戦争であり、大東亜戦争は必然的に敗北してくれないと困るのである。
 林房雄の『大東亜戦争肯定論』も、大東亜戦争の肯定ではなく、「大東亜戦争の敗北」の肯定に的を絞り、そこをクローズアップしているのは、近衛文麿の“悪魔の亡国”を継承しているからである。

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