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ほっこまい 高松純情シネマ コミュのストーリー(さぬき映画祭2007提出)

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えんぴつ劇場用ドラマ(上映予定時間・45〜50分)

大阪万博が開幕した1970年、香川県一の進学校に入学した高畑隆志は勉強などどこ吹く風、
暇を見てはせっせと映画館通い。
放課後、スポーツ新聞の映画欄を読んでいた隆志、周りに誰もいないのを確かめ、その記事を切り取り鞄にしまう。

数日後、オリオン座で次回上映作品(二本立て)のパンフレットを2冊とも買う隆志。
家に帰ると夕食の支度をしている母親の厚子に、
「日曜日に映画行くけん、おにぎり頼むで」
「また、映画かいな!」
「大丈夫や中間テストは古文のヤマ、バッチリだったけん。
今のうちに見とかな!
受験勉強始まったら、見れんようになるんやで。」
部屋に入るとパンフレットに目を通し、
おもむろに数日前に切り抜いた評論や宣伝欄を取り出しパンフレットの裏表紙に貼る。

オリオン座で「いちご白書」をウィンナを齧りおにぎりを頬張りながら見ている隆志。
ぶっ通しで2回見た隆志はアメリカの若者の真剣さに感動した。
「かわいい女の子に魅かれて運動に入るというのはよう分る」

食堂で早飯する隆志と保彦。
「こんどうどんが30円値上がりするんやて」
「なに!ほんまか、えらいこっちゃ!」
「こんど映画に千秋と行くんや。何がええかのう?」
「そんなら、<いちご白書>がええで」
「そうかそんなら、行ってみるわ」
さっさと教室に戻る保彦と入れ替わりに、川村が来て、いちご牛乳を飲む。
「僕もみたで<いちご白書>」
「お前、どうせ、権力の横暴を訴えるには描写が甘いと言いたいんやろ?」
「あんな軟弱な、女を目的に参加するような男がおるようでは権力にはとても勝てん。
 組織なんてのはな、要するに団結と個人の集中力なんや」
「そうやが、団結と個人の集中力や、ほんまや」
川村を置いて立ち去る。
便所で用を足しながら川村の意見に感心する隆志、「団結と個人の集中力か・・・(なるほど)」

数日後の11月25日、家を出る隆志、公園の植栽のところで立ち止まる。
近くの女子高の生徒、内田春奈が一人、赤い自転車を止めてブランコに揺られている。
やがて友達が自転車で来て、二人で仲良く走り去る。
隆志はせつなくその後ろ姿を見送り登校する。
校門前では制服の自由化を訴えるビラを千秋が配っている。

昼休み、隆志と保彦が近所のラーメン屋ごんなを目指してダッシュする。
店内でうまいぶんと餃子を食べている隆志と保彦。
「手紙渡したんは半月前やのに返事が来ん・・・、毎朝、公園で友達待っとるんや、赤い自転車乗って・・・」
「そりゃ隆志、舐められたらいかん。恋は一発ガンと押したものの勝ちや!」
「そやけどのう・・・」
「よし、俺が付きおうたるわ、お前とは幼稚園からの付き合いやからのう」

隆志が教室に戻り、クラスメートと馬鹿話をしていると川村が血相を変えて教室に入って来て
後の黒板に「三島由紀夫死す!」と大書した。
「おい!エライこっちゃ!三島由紀夫が死んだ、切腹したんやて!何でや・・・」
黒板を見つめるクラスメート。
誰かが呟いた「三島って誰や?」
チャイムと同時に英語教師の南原が教室に入ってきた。
黒板の文字に気付き「三島もアホなことしたのう・・・」
川村、立ち上がり、「先生!それより三島文学が永久に失われた事が悲しくないんですか!」
クラスの全員が川村の勢いに押されて「おぉ!」と感心した。

放課後、大楠木のところで川村と話す隆志。
「今年はビートルズも三島もおらんようになった。
 実は俺、<憂国>も<御用金>も見てるんや。
そんな三島由紀夫の結論が今日なんか?
四五才での自決が美学なんか?」
「本気でクーデター起きると思ったんやろうか?」
「大人になりたくなかったんや、三島は。
 でも、大衆に支持されん革命なんてできん。
今度の生徒会もそうや。
学生が冷めてるのに、生徒会だけで学校に対抗して何ができる。
学生の力ってたかが知れてるで。
<いちご白書>が現実というもんよ」

校内に張られた制服制帽の廃止ビラ。
揺れる公園のブランコを見つめている隆志。

赤い自転車を止め、ブランコに乗っている内田春奈。
覗っている隆志と保彦。
「早よいかんと友達が来るで、ガツンと行ってこい」
保彦に押し出される隆志。
とぼとぼブランコのとこに来て、
「おはよう、手紙にも書いたけど、もしよかったら映画どうやろうか?
なんか用事があるんなら、無理にとはいわんけど」
「じゃ、用事がある。ごめんね」

放課後、ブラスバンド部の練習でメロホンを吹く隆志。
「・・・そうかぁ、高畑君、もう勉強に力入れようというのねぇ。
あーあ、私も、ぼつぼつそうせんといかんのかなぁ・・・」
「・・・いや、その、まぁ、勉強もせないかんのかなぁと・・・いうくらいで、
えーと、クラブばっかりではちょっと、その・・・」

これで映画を見る時間を増やせるとオリオン座で次回上映のパンフをそそくさと買う。

ボーリングをする隆志、川村、保彦、剛。
情報通の保彦が煙草を吸いながらオリオン座が今年一杯で閉館してボーリング場になるらしいと話す。
驚き落ち込む隆志を川村は励ます。
「心配するな。映画は娯楽ビジネスでもあるが、同時に芸術でもあり文化でもあるんぞ。
残念ながらボーリングは娯楽ではあっても文化じゃない。
だから、必ずオリオン座は戻ってくる。
絶対やで」
来年からのことを考え途方に暮れている隆志。

保彦は落ち込む隆志に自主映画を作りを提案する。
脚本は千秋。
内容は制服の自由化をプロパガンダする映画。
「<いちご白書>やな」と川村が鋭く指摘する。
「なんじゃ千秋の尻に敷かれとんのか!」
「おれは隆志のために引き受けたんたんや。
 ヒロインは内田春奈や」
「誰なそれ?」
「お前の好きな娘やないか!」
「えっ!・・・やるわ」
「よっしゃ、川村は音楽担当。
 ビートルズファンやからのう」
「カメラはどうすんな」
「心配ない、手配済みや」

かくして、冬休みを利用して16ミリカメラによる本格的な映画がクランクイン。
試行錯誤を繰り返しながら作られた隆志たちの映画が完成。
なんと、オリオン座のスクリーンを借りて最後の上映会が行われた。
<END>






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