『海猿』『ブラックジャックによろしく』で知られ、手がけた作品を一話10円から販売するオンラインコミックサイト『漫画 on Web』を展開するマンガ家・佐藤秀峰。『ブラックジャックによろしく』が「モーニング」(講談社)から「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)への移籍するてん末などを公式サイトで暴露してきた彼がまたしても出版社との確執を暴露。今度は、現在「スピリッツ」に連載中の『新ブラックジャックによろしく』のコミックス第9巻の表紙であるカバーイラストを描くことをボイコットしたという。佐藤は公式サイトの日記でその理由を次のような点だと指摘した。
さらに、佐藤はマンガ編集者の間では定説である『編集者は漫画家を3人潰して1人前』というクリシェ(決まり文句)の存在を嘆き、「(小学館刊行で2008年休刊の)ヤングサンデーが潰れて、漫画家は大量に連載を失ったけど、編集者は一人も退社してないじゃん。漫画家って、どんだけお人好しなんだよ」と述懐。「僕はもう紙の本に興味を失ってしまいました。この『漫画 on Web』が、僕の表現の舞台であり、僕はここで発表をするために、漫画を描いています」と宣言した。
佐藤の『漫画 on Web』には、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に『日本沈没』を連載していた一色登希彦、「YOU」(集英社)に『胡蝶伝説』を連載の池田ユキオらが作品を公開し、今後も掲載するマンガ家を増やしていく予定だという。ipad、Kindleなど電子書籍リーダーの誕生により、有史以来の岐路に立たされている出版社。佐藤の主張が正しいのか? 自ら告げた締め切りを忘れる出版社が正しいのか? その答えは"時代"が自ずと出すことだろう。 (文=本城零次)