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-夏の日に、夢見た、その風景-コミュの第二十九話「それも信頼の内」

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まったりと待っていると、外に見慣れた人が。
「…来たか」
九時…九分。直さん到着だ。
「お早う、隼」
「おう、お早う、直さん」
直さんは俺の左右を見て。
「…両手に花だな」
だな。素晴らしい花さ。
「羨ましいか?」
「…ああ…」
意外に素直だな。
「片方分けてやろうか?」
「…いや、俺は遠慮しておくさ」
「そうか」
羨ましいと言っておきながら受け取らない、ってのは直さんらしいな。
まあ、それだけじゃない気もするが。
直さんは外を向いて。
「二人が見えたら知らせる。見られると後が面倒だろう」
「済まないな」
直さんの気遣いに感謝しながら、またまったりとした空気に身を任せる。

「…隼、愛美だ。自転車に乗ってる、すぐ来るぞ」
直さんの忠告で我に返る。
「おう、起きろ、二人とも」
「…ふぇ…?」
「…あ、あれっ…?」
相変わらず目覚めの悪い命と、自分の状況に驚いている由希。
「愛美が来たから起きてくれ。後で弄られるのは俺だ」
…ま、酷い理由だがな。
「あ、うん」
由希は残念そうに離れ、命はまだ半目だ。
「…命、起きろ」
「…あぅ…お早う…ご…ざ…」
また寝そうだ。
「だあぁ!寝ないでくれ!」
慌てる時は慌てる癖に慌てないとまた寝るのか!
「やほー!おはよーん、直人ー」
「ま、愛美さん?」
外から聞こえた声に反応して起きた。
近しい人物が故に、恐ろしさは身に染み着いてるか。
「あ、みんな中にいたんだねー、おはよーん」
愛美は中に俺達が居る事に気付いて、顔を出した。
「おう、お早うさん」
「おはようございます、愛美さん」
「お、お早うございます、愛美さん」
まだ動揺してないか?
「あっちゃんはまだ?」
「ああ。まあ最初から予想してた事さ」
「そう言ってやるな、隼」
…だが事実なんだよな。
「いま何時?」
「…九時十四分。ギリギリだな」
正直、待ち合わせには相応しくないな。
「愛美、待ち合わせなんだからもう少し早く来たらどうだ?
言って直るとは思わないが言わせて貰うぞ」
直さんは明らかに不機嫌だ。まあその気持ちは解る。
「いいでしょー、時間前なんだしー」
「待ち合わせには時間の五分以上前に来い」
「…ま、そうくどくど言わずとも構わんだろ。
一応は…本当に一応だが、時間には着いてるんだし、電車が来るまであと十五分有るし」
…と寛容な事を言うと愛美が調子に乗りそうだな。
「そうそう、それにあっちゃんはまだ来てないし!」
確かに調子に乗りはしているが。
「…更なる問題が有ったな」
確かに明子はまだ来てないからな。
「そもそも『時間に来てない』という最大の問題だな」
全く以って話にならん。
「…あ、あれって明子さんじゃないかな?」
と由希が指を向けた先には。
「間違い無く明子だな」
適当に結った長い髪を風に靡かせながら、自転車でこっちに向かって来ている。
「…何時だ?」
「九時十五分。あと三秒で十六分だ」
「遅刻ですね…」
…明子…
「ま、まあ電車が来るまではまだ時間有るんだし」
由希のフォローは正直そんなにフォローになっていない。
「遅れる事前提の時間設定で正解だったな、隼」
「当然。遅れる事も想定して決めたからな」
どれだけ時間に関しての信頼が無いんだ。
「…そうやって想定される時点で終わってるな」
「そう言ってやるな、直さん」
さっきとは立場が逆転したな。
「いやっほぉー!おはよー」
「遅い」
「遅刻遅刻ー」
「…全く…」
「お早う御座います」
「おはようございます、明子さん」
四者四様。
…って言い方は普通はしないだろうが、人数が四人だしな。
「今何時だ?」
「えっと…九時十五分ジャスト」
「…時計見せてみろ」
明子の腕時計は確かに九時十五分だ。
「…隼、隼の時計は電波時計だよな」
「ああ。世界の何処でも正確な時刻になるぞ」
去年の誕生日にここ数年間空気以下の父から贈られた物だ。
その数年間、唯一の「空気以上の存在」になれた瞬間だったな。
「今何時だ?」
「九時十六分。そろそろ十七分だ」
「あちゃ、遅かったかー」
「まずは時計を直しておけ」
「はーい」
これで良いのか?
明子は時計の時刻設定を直し。
「さて、それじゃ行こっか」
「ああ、そうだ、ちょっと良いか?」
皆に言っておくべき事が有ったな。
「ん?どしたの?」
「俺と由希は水着を買ってから行きたいんだが、良いか?」
これこれ。
「あ、そうそう、良いかな?」
由希も遅れて。
「私もそうだよ」
「明子もか」
そんな感じはした様な…しなかった様な…
「俺もそうだ」
「直さんもなのか」
随分と仲間が増えたものだ。
「いや、言おうと思っていたんだが、全員揃ってから言った方が良いかと思ってな」
「私もそうしようかと思って」
「つまりは俺達と同じか」
俺と由希もそう思っていた訳だし。
「じゃあ、適当にどこかに寄ってこっか」
「そうしよう」
「あたしと命は頑張ってセクシーなの選んであげるからねー?」
「え、あ、あの、その…私…」
…自重しろ、愛美。命も反応に困っているじゃないか。
「んじゃ、飛びっきりのやつ一緒に探そうか」
明子は愛美に妙な笑顔を向けて。
「はいはい、おっけぇ〜い」
愛美は明子に薄気味悪い笑顔を返し。
「…俺達は関わらない方が身の為かもしれないな、隼」
「ああ。二人の暴走には触れぬが吉、だ」
変な方向に進まなければ良いんだがな…
「わ、私は…」
由希はどっちに付くべきか悩んでいる。
「…まあ、落ち着いて『普通の』を探したければこっちに付いた方が身の為だな」
愛美と明子にやらせると後が大変だろうからな。
「隼の言う通りだな。俺達に女性物を選ぶ事は出来ないだろうが、似合うかどうかの評価程度ならしよう」
「あ、うん、ありがとね」

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